表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
141/242

133話 戦略的撤退の間違った使い方

 危うく、この話をせずに次の話を書こうとしていた自分がいました。まあ、最悪忘れても、後で補完・・・なんかすっきりしない方法なんで書き直しが妥当な展開と判断しましたので、急遽、気付いて書き直しをした話なので粗いと思いますが、ごめんね?

 悲しかった出来事は犬に噛まれたと思って?あの熱い視線を寄こして、最後まで食らいついてきた獣人も犬だったような・・・いや、きっぱりと忘れて、俺は寝る事でリセットを図った。

 できたかどうかは置いておくとして、朝食を食べているとメイドからネリー達が呼んでいるから3人できてくれっと伝言を受けた俺達は食事を済ませるとネリー達がここのところ時間のほとんどを過ごしている会議室へと向かっていると美紅が挙動不審な事に気付き、俺は声をかけた。


「さすがに2日連続同じ手でやるほど性格は悪くないと思うぞ?」


 何か機会があればやってきそうだとは思うがっと言う言葉は飲み込みながら言う。


「私もそうは思うのですが、安心はできないという切迫感のようなものがあるんですよ・・・」


 それは忘れた頃にやられそうですねっと美紅は素直に言葉にして付け加えるところを見ると俺が飲み込んだ言葉を理解したようだ。

 俺と美紅は戦々恐々としているがルナは心ここに非ずといった感じで付いてきている。

 あれは憂いているという訳ではなく、お腹が膨れて少し眠くなってきてるだけである。会議が始まれば速攻で寝るのは間違いない。



 そうしていると会議室に着いて、ノックをしようと思ったら先にメイドに扉を開けられて、入室することになった。中に入ると昨日と違うメンバーが1人増えていた。エルザである。


「やあ、呼び出すような事して申し訳ないねぇ、3カ国統合最高責任者様?」


 からかってるのを隠す気もないエルザは俺に訳の分からない役職名をぶつけてくるので、最初は呆れて、俺の多分、肩書らしきモノだと気付いて頭痛がしてくる。


「何?その物々しい、3カ国統合最高責任者って?」


 俺がそう聞くとガンツが呆れた顔をして、言ってくる。


「それはお前の今後の公的な場でのお前の肩書じゃ。まさか、書類関係の明記にAランク冒険者、トールと書くつもりじゃったのか?」


 ええ、そのつもりでしたっとはとても言えない空気であったので答えを濁すことで流す事にした。


 隣で聞いているルナはよく分かってないようだが俺が困っているというのは理解できるのか、大丈夫?っと聞いてくるので俺は大丈夫っと示す意味を込めて頭を撫でながら苦笑する。

 美紅は俺の事なのに嬉しそうにして、ない胸を張っていたっと考えた瞬間に美紅がいる右側、つまり俺の右足に激痛が走るが声を上げるのを我慢して耐えた。


 俺、強い子っと自分を色んな意味で励ましながら、もう少し、すっきりした肩書にして貰えないかと願い出るとネリーに笑顔で拒絶される。


「何事も国同士のやり取りはハッタリは必要です。これでもトール様のご希望に添えるようにすっきりさせたほうです。本当ならもっと箔を付けたいところなんです。もう少し攻めてもいいですか?」


 それで構わないので、勘弁してくださいっと両手を上げて降参の意を示す。

 残念ですっと言う割にあっさり引き下がるあたりが俺が断るのを読んでいた証拠であろう。


「それで、俺達を呼んだ理由はこれか?」


 形勢不利と判断した俺は話の矛先を変える事にする。

 ネリー達も追及する気がないようで、説明してくれる。


「まず、トップとして受理して頂きたい案件をお伝えしようかと」


 ムズ痒さが復活っという具合だが、反応するとからかわれると自覚したので頷くと書類を渡される。


 内容を要約するとこうだ。


 1つ、エコ帝国は公式の場で3カ国へ向けて正式に謝罪をする。

 2つ、今回、3カ国に仕掛けた結果の損害賠償、慰謝料を支払う事。

 3つ、エコ帝国の奴隷制度廃止などを要求すると共に、その他の余罪を調べる為に3カ国の調査員の受け入れを容認する事。

 4つ、これらの3つを全てを果たした後、王には責任を果たす為に退位を求める。


 以上の4点を飲めないというのであれば、覚悟してね?これは最終勧告ですよ?って事らしい。


 1は国民へのアピールで実質は残り3つだろうと、さすがに俺でも分かる。これを突きつけられたエコ帝国はどんな顔をするのだろうか。

 ネリーにガンツ、エルフ王、きっとティティも来るだろうと予測してみると身震いをする。俺なら迷わず、土下座して1つだけでも免除を願うだろうが、今までの様子を考えるとエコ帝国は馬鹿やってこれ以上の要求を飲まされる事になるだろうと俺は思った。


 まあ、知った事ではないと思った俺は、迷わず、3カ国統合最高責任者と書かれた隣にトールと明記した。


「次はアタイだね。冒険者ギルドとしては、数々の迷惑の処理にかかった費用と慰謝料、そして、今回の事で冒険者ギルドに不利益な事した者を洗い出す為に動く事を国から容認して徹底させる事だね。まあ、ようするに国から要求される事と歩調を合わせたってことさ。何より、暗黙の了解でバランスを取っていた国はAランク以上の者には犯罪者でもない限り、不介入という決まりを破って、今後、国とのバランス取りに苦労すると言う事を盾に取って挟み打ちの予定さね」


 まあ、今回の事で、俺とルナですら際どい話だが、美紅に至っては言い訳しようがない。グリードの思惑通りに進めば話は強引に進めてシラを切れたのだろうが・・・

 ニヤつくエルザを見て、俺は確信する。絶対、今回だけの話だけじゃなく色々見つけて削りにいくつもりだと・・・

 王族の女は怖いって言ってたけど、トップ周辺にいる女は怖いに変更させて頂きますね?


「まあ、ここまではこちらが話しておきたい事だったわけだが、アンタはこれからどうするね?」


 伝え終わったエルザが俺に聞いてくるとみんなが俺を注目する。美紅もルナも俺を見てくる。そういえば、2人にも話してなかったなっと思った俺は考えを伝える。


「後の事を丸投げして申し訳ないが、俺は初代勇者の足跡を追うよ。その為に俺達の旅の仲間のテリアという少女の一族のところにまずは行こうと思っている」


 テリアとの打ち合わせで、今回の事が終わったら俺からそっちに行くからと言ってある。

 俺がそう言うとルナが、あっ、テリアの事忘れてたっと酷い事を言って、乾いた笑いをしているのを見て、酷い奴だなっと思った。


「トール様が物見遊山で行かれるとは思いませんがどちらに?」


 ネリーが代表で聞いてくる。


「テリアに聞いた話では、予言の一族って言っていたよ」


 ネリーだけではなく、その場で給仕をしていたメイドですら、びっくりして動きを止めている。


「そこは獣人国に住む者にとって禁断の地、選ばれた者だけしか入れないのですが、強引に入る術はありますが、正規の方法で入るなら普通では入れない場所なのですが?」


 余談ですが、王の一族もそこからの出身なのです、何百年も前の話ですがっと言われる。


「テリアがそこの者らしく、しかも、予言で俺が来る事を示唆されていたらしいから、入れて貰えるって聞いてる」

「もう、お前が何をしでかしても驚かないつもりじゃったが、構えてても驚かされるから、自然に驚かされて楽しむ事にするわい」


 ガンツは、がははっと笑いながら俺の背中を叩いてくる。


「エルフ国にいる時でも思った事ですが、本当に忙しい人ですね。その様子だと、ここでの会話が終わったらすぐに行かれるのですよね?できれば、姫様に伝言を頂けませんか?きっと何もなく帰ったら、遊ばれる嫌な予感がしますので」


 ミザリーの言葉を聞いて、俺ってそんなに分かり易いのか?と苦笑する。

 割と深刻な表情で言ってくるミザリーに同情した俺は、伝言を頼む事にした。

 ティティに次に会える時を楽しみにしているっという事とAランクの時と今回の迅速な対応、有難うと伝えてくれとミザリーに頼んだ。


「じゃ、俺は行くよ。本当に悪いな。後の事は頼むよ」


 ガンツは黙って頷き、ミザリーは伝言を貰えて感謝を伝えてくる。


「任せておいてください。お礼は私の代わりに玉座にいずれ座る事でいいですから」


 ガンツ以外の面子は慌てる、ガンツとネリーは楽しそうに笑うという変な空間が生まれる。


 俺は逃げるが勝ちという言い訳を最大利用する。


「仲間を待たせてるから俺は行くわ。またな、みんな」


 俺は爽やかに挨拶をするとルナ達に行こうと手を掴むと俺は獣人国の城からの脱出をする事した。

 扉を出る時にはっきり聞こえた。


「あ、逃げた」


 ミザリーが呆れた声を吐き出すのに気付いたが振り向いたら、続行になると分かるから俺は振り向かずにそのまま出た。



 仕方がないのである。これは戦略的撤退なのですからっ!

 俺に引っ張られるようにして来るルナ達は、苦笑しながらついてくる。

 締まらないなっと思いつつも、2人を急かして、荷物を持つと俺はテリアの集落を目指して城を後にした。

 感想や誤字がありましたら、気楽に感想欄へお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ