12話 肉体改造?
梅雨でジメジメしますが自分の文章ぐらいスカっとしてみたい(願望)ものです。
では12話になります。よろしくお願いします。
ザックさんの依頼は俺だけでやったほうが良かったと思わされたと言う事を最初に語らせて貰おう。
ルナは掃除を始めるとゴミを生み出す奇跡を起こすらしく、ルナの後を着いていくように掃除をしていく所からスタートした。
ちょっと重たい物を持つと転ぶ、ルナ。俺が運んでる物の上にルナが落とした物を載せる現場の方々、ルナが物を壊したら、ザックさんに怒られ、謝る俺。
俺、苛められてねぇ?
そう、思うのは仕方がないのではないだろうか。
今もルナは鼻歌歌いながら、ゴミを量産している。そこの女神、前だけじゃなくて後ろも見てみろよ!って頭叩けたらどれだけ幸せだろうか。そんな事したら現場の方々に袋叩きにされる予感がする。ルナは現場の方々に愛されていた。褒められる度に、えへへ、と緩んだ顔して喜んでいた。しかし、この愛は告白して付き合うとかといったものではなく、現場の方々はルナに父性愛に目覚めさせたようだ。実際に子供がいる者は勿論、20歳に成り立てといった若い人までに目覚めさせるのルナの恐ろしさを垣間見た瞬間であった。
初めてのお使いといったやつを見てる人が、「だから、道路のでっかい石を事前に取っておかないから、あの子は転んだんだ」はたまた、「なんであの店の看板は分かりにくいとこなうえ、読みづらいようにしてるだ、スタッフもそこは空気読んでなんとかしとけよ」とか言ってる人と同じようなレベルなんだろう。現場の方々もそんな風にやられている。つまり、ルナ(こども)、俺ってことらしい。
俺は心を無にして終わる時間を切望しつつ、ルナの後を追うように掃除を再開した。
やっと地獄の時間が終わり、ザックさんから銀貨1枚を頂戴する。
「嬢ちゃん、頑張ったな、また来いよ」
「うん、頑張ったの、また、よろしくなの」
2度とこねぇ・・・
太陽の色が夕日に近づき始めた頃、俺達はマッチョの集い亭に帰ってきた。正直疲れていたってこともあるが依頼の達成報告は明日にすることにした。やはり本命は魔法を使う練習をミランダに受けるためである。
「ただいま~ミランダいる?」
学校から帰ったクソガキがオカンにオヤツを強請るようなノリで呼ぶ。
「あら、おかえり、ご飯にする?お風呂にする?それとも~」
「魔法でよろしく」
「もう、せっかちさんね、トールは」
セリフは困った感じなのに嬉しそうなミランダがいた。
「そういえば、風呂ってこの宿にあるの?」
「ないわよ。ノリで言ってみただけ。公衆浴場ならあるから行きたいなら行ってきたら?1回、銅貨5枚にワンドリンクよ」
そのうち行きたいな、やはり風呂がないってのはキツイしな、とは言え、予算がキツイ。ルナはあれでも女だからやっぱり入りたいって思うかもしれないな、後で聞くか。
「それはともかく、今、魔法教える時間取れる?」
「仕込みは済んでるし、夜の開店まで1時間ぐらいなら大丈夫よ」
ミランダの言を信じるなら、これで魔法使う入口に入れるはずである。ミランダは、適当な事を言わないように思うからきっと大丈夫な気がする。存在と性癖は大丈夫じゃないだけだ。
「早速、お願いします」
「任せて、手取り足取り、ついでに腰までやるわ」
どうしよう、とっても大丈夫じゃない予感がしてきて、凄い後悔しだしてるんですけど!
そんな後悔しながらミランダの魔法教室が開催された。
裏の井戸のある庭に来て、足を肩幅に開いて自然体で立つように言われる。まあ、ここはいい、しかし・・・
「なんでパンイチにならなきゃならんのだ!」
夕焼けが美しく彩られるそんな時間、パンイチの変態がそこにいた。
「今からトールに教えようとしてるのは身体強化の魔法なのよ。外気に触れてるほうが感じやすいから最適よ?大丈夫、トールは感覚派だから真面目にやればすぐできるようになるわ」
信じてもいいんだろうか?というか滅茶苦茶胡散臭い。だって、ミランダは興奮気味にガン見だし、ついでにルナは目を手で覆ってるつもりなのか指の隙間が目がはっきり見えるレベルで見てないアピールのつもりらしい。思いっきり、見えてるからな?手で仮面作って遊んでるの?ってレベルだからな!
もう脱いでしまったからには覚悟を決めて教わる事にしよう。
「トールは魔力を感じて動かすとこまでは大丈夫なのね?」
ミランダは、俺の学習状況を確認する。
「ああ、そこまではできるようになっている」
「じゃ、魔力を薄く伸ばすように、全身に浸透させるように広げてみて」
言われた事をやろうとするが、これが難しい。なんとなく、後ちょっとで、できそうな感じはする。
「これは難しいな」
「補助をするから、頑張ってみて。私の指を・・・感じて?」
悪寒が背筋に走る。予感を信じるなら逃げるべきなのだが、魔法に対する憧れがそれを邪魔をする。
徹が躊躇してる間に徹の右手の先からミランダは撫でるように触っていく。
「ぎゃー、気持ち悪いからやめてくれー」
「ダメよ、我慢してトール。目を瞑って、自分の体を感じるの。鏡に映る自分をしっかりイメージに焼き付けるのよ」
奥歯を噛んで耐える。ミランダに触られてる事により見えないはずの自分が認識できていく。
「イメージが出来始めたら、魔力を伸ばし、全身にくまなく浸透させる」
言われるがまま、やっていく。なるほど、さっきまでの俺は自分の体から突き出してた魔力が結構あったんだろうな。内に納めて、留まらせるのが大変なんだろう。自分の皮膚下ギリギリまで伸ばしていく。すると魔力が流れようという動きを感じた。なんとなくその動きを堰き止めないほうが良い気がして、流れに乗せる。
「あら、もう、お楽しみタイムは終了?言う前に魔力の循環までさせてるし、残念だわ。じゃ、そろそろ店も開けないとダメだからシメにかかるわよ」
自然体のまま、俺はミランダの言葉を待つ。
「あなたが最強って思える存在が突然強くなったり、本気を出すイメージをしてごらんなさい。そして、叫ぶのよ、自分がそのイメージに相応しい存在と信じて。」
そんなこと言われたら、俺は1人しか思いつかない。
「オラの体もってくれよ。界●拳!!」
叫んだ直後に全身を駆け巡るように魔力が加速する。すると循環させていた魔力が体中に浸透した。
「やっぱり、トールは感覚派だからあっさり覚えたわね。それを慣らしたら生活魔法の練習したらすぐに使えるようになるわ。後、次からは身体強化は叫ばなくても使いたいって思えば使えるから叫ぶ必要はないわ」
毎回叫ばないととかだったら、正直辛かったから助かる。
しかし、なんとなく違うって分かるがどれほど違うんだろう?
「なんとなく、変わったような気がするけど、どう変わったか分からないぞ?」
「殴ったり、蹴ったりすると分かるんだけど、物を壊されると困るから思いっきりジャンプしてみたら?」
アドバイス通りにジャンプしてみる。2階の部屋の高さまで跳んでびっくりしてしまった。
「いきなり、そこまで身体強化の効果が出るなんて、それなりに使ってる人よりも凄いかもね」
ミランダが俺見て、褒めてくれる。俺は褒められると成長する、と同時に増長もします。
「そろそろ、店を開ける準備をするから私は戻るわね。トールも魔力切れする前にやめて、中に戻ってくるのよ」
ミランダは宿の中に戻っていく、その後ろをルナがついていく。アレはきっと味見係に名乗り出てツマミ食いするつもりだな。
今はルナの事はどうでもいい。ついに魔法、まあ希望してたのとは違ったが使う事ができた。俺は嬉しくて跳ね回る。
結局、俺は日が落ちて、ルナが食事に呼びに来るまで飛び跳ねていた。
後日、夕闇の中、パンイチで飛び跳ねる怪人が現れたと住人の間で囁かれた事は俺は知らない。
用事があるので1日空けさせてもらいます。
感想などありましたら、よろしくお願いします。




