121話 獣人国へ
シルバーウィーク初日ですが、今日、明日はバイブルが忙しいかもしれません。なんとか連日投稿できるようにはしますが、間に合わなかったり、誤字が多いかもしれませんが、ごめんね?
俺は胸に圧迫感からくる息苦しさから目を覚ますとルナが俺の胸を枕にして涎を垂らしながら気持ち良さそうに寝ていた。
おそらく、あのまま回復魔法を行使し続けて、そのまま寝てしまったのであろう。
俺は笑みを浮かべて、囁くようにありがとうっと言うとルナはむずかるようにすると反対側に顔を向けると再び規則正しい寝息が聞えてくる。
俺はずっと扉の前からこっちを窺っている者の存在に気付いていたが何かを言ってくるのを待っていたのだが、何も言わずにいるのでこちらから動く事にした。
「なあ、美紅。いつまでそこで突っ立ってるつもりだ?こっちにこいよ」
俺が気付いているのは分かっていただろうが、怒られた子供のようにビクっと首を竦める様を見て、小柄な美紅がすると本当に子供のようだと思った瞬間、いつもの怒らせた時の美紅の貫く視線が飛んできたような気がして、寝ているのに器用に俺も首を竦めた。
「その、トオル君。昨日の事、すいませんでした。謝って済む事じゃないのですけど・・・」
「うん、とっても痛かったぞ!今度、夕食でハンバーグが出てきたら半分所望する!」
俺は美紅に微笑みかけながら言う、俺を見て目を剥く。元々紅い目が今日は一段と紅かったところを見るとあれから寝ずに悶々としてたのだろうと気付くと、はぁぁっと大袈裟に溜息を吐いてみせる。
「美紅が多少気にする気持ちも理解しない訳じゃないが、そこまで気にされると俺という人間を信用されてないのかと悲しくなるぞ?」
ルナが寝ているから大きな声を出せないが静かな朝である事と個室の小さな部屋な為、充分に聞こえる。
聞こえているはずの美紅であるが俯いたまま、何も言ってこない。
「それによ、美紅が俺に言うべき言葉はすいませんや、ごめんなさいの謝罪の言葉じゃないだろ?ここは、止めてくれて有難うだろ?」
なぁ?っと俺は呼び掛けると顔を上げた美紅は泣いていた。
唇を噛み締めて声を殺して泣く美紅を見てヤレヤレと思った俺は美紅を手招きする。
俺の傍まで来た美紅に自分の口の横に手を置く。よく相手に内緒話をする時に見せる手の形を見せると美紅は理解したようで俺に耳を寄せてくる。
俺は美紅の視線が切れたのを確認するとニヤリと笑い、口の横に添えた手を持ち上げ、美紅の頬の肉を摘まんで引っ張る。
突然の俺の行動に目を白黒させて、流れてた涙が引っ込む。
「トオル君、何をするんですかっ!」
軽く摘まんでいるだけだからたいした痛みはないから普通に抗議してくる美紅を見て俺は微笑む。
「お仕置きして欲しいのかなって思ってな、俺も母さんに悪い事するとよくこうやって抓られて、引っ張られたなってな」
昔を思い出しながら言う俺を見てなんとも言えないような顔をしているが抓られてちょっと面白い顔になっている。
俺は美紅の頬をクニクニといじったり、軽く引っ張ると何気なく言った。
「美紅の肌、しっとりしてて、プニプニしてるな?年取ったら、意外と全体的にプニプ・・・」
寝ている俺の顔に容赦のない拳を打ち込む。
げはっ!っと息を吐き出すと揺れる俺の胸。その上で寝ていたルナが跳び起きる。
「何?何なの!何事なの!!」
肩をいからせて去る美紅と打ち抜かれて呻く俺を交互に見つつ、状況を確認してくる。
「俺は美紅に顔を拳で打ち抜かれて、美紅は俺に乙女の触れてはいけない領域を打ち抜かれたようだ」
俺はそういうと意識を手放した。
それから、1時間後、目を覚ますと美紅は勿論、ルナの姿もなく俺は腹が減った為、食事を出して貰う為、部屋を後にした。
いつものカウンターに行くと美紅は眉を寄せて、まだ、お怒りのようでお茶を飲んでいた。
ルナとテリアは、まるで馬鹿が来たと言いたげな顔で俺を見ている。おそらく美紅から聞きだしたのだろう。
俺はいつもの席に着くとミランダがパンとコーヒーを出してくれる。俺は紅茶のほうがいいのにっと呟くと、コーヒーの良さを分かる男になりなさいっと言われる。
「でも、普通なら昨日の今日だから、ギスギスとまで言わないけど、ぎこちなささが目立つと思うのだけど、いつもの風景になるって凄いわね」
トール、どんな魔法を使ったの?っと問いかけるミランダに素直に答えようとすると美紅から殺人光線のような視線に晒され、黙り込む。
クスクス笑うミランダに気付いて、俺は悟る。遊ばれたっと!
俺は拗ねて、パンを齧ってコーヒーを口に含むと苦さに目を白黒させて慌ててミルクと砂糖を投下させる。
そんな俺の様子を見て、ミランダは苦笑した後、真面目な話をするために表情を改める。
「グリードを追いかけるのっと確認は取らないわ。グリードの部隊のある場所の説明をするわね。獣人国にあるフレッチュという街があるわ。そこは大きいとは言わないけど港があるの、グリードは海を使って部隊を動かしているそうよ」
つまり、俺達が目指す場所はその港町のフレッチュということになりそうである。
横を見ると美紅が机の上で拳を握り過ぎて、手が白くなっているのに気付くとそっと触れる。
「気持ちは分かるが焦りや力みは今は禁物だぜ?俺達は決着を付ける為に行くんだ。絶対に逃がしやしない」
例え、帝国に逃げ込めたところで、帝国に正面からケンカ売ってでもやり遂げてみせると腹に決め、美紅を見つめると肩や拳に入ってた力が緩んだようで、有難うございますっと微笑んでくれる。
「ミランダ、フレッチュに居るというは分かったけど、その部隊って言うぐらいだから隠れるのも容易じゃないはず、勿論、潜伏先を分かってるんだよな?」
「ええ、まあ部隊といっても、全部で100名ほどらしいけど、彼方此方に工作してるようで、半分も潜伏先にいないようだけどね」
俺はミランダからフレッチュに流れ込む川沿いの山の麓に集まっていると教えられる。
これで動けると俺は思い、みんなを見つめ、言う。
「準備を済ませて、馬車を調達したら出発しよう!」
「馬車はまだだけど、用意できてないの徹だけなの」
ルナの言葉に俺は固まる。
「えっ?マジで?」
「マジなの。徹が2度寝している間に準備を済ませたの。しょうがないから徹が用意してる間に馬車は3人で手配してくるから急いで準備するといいの」
俺は2度寝してた訳じゃ・・・と呟くと美紅の笑顔を見た瞬間、話題転換する。
「すまん、助かる。急いで準備するから馬車は頼んだっ!」
俺はマッチョの集い亭を飛び出す。
市場で携帯食糧買い、ああ、そういえば、カラスとかを拭く布も交換時だなっと古着屋に行く。
良さそうな布をゲットした俺は残り2枚になってた俺の服が昨日の事で遂に着替える服が無くなった事を思い出し、自分のサイズの会う服を掴むと一緒に会計をして貰った。
それから、細々としたものも買うとマッチョの集い亭に向かって走り出すとある事に気付いた。
「あ、俺、また黒の服を買ってしまった・・・」
きっと3人に、黒が好きなのだと疑惑から確信されそうだなっと項垂れながら俺は走り続けた。
マッチョの集い亭に着くと馬車が用意されていて、そこに新たな人が追加されていた。
本来なら今は冒険者ギルドの受付にいるはずのシーナさんだった。
「トールさん、獣人国に行くそうですね」
俺が近づくと単刀直入に聞いてくる。
頷く俺を見て、胸の谷間から手紙を出す。衝撃だった。リアルでそれを見れる日がくるとは思っていなかった為である。
「どれくらいのものが入るのですか?」
俺は疑問に感じた事を素直に言ったように聞こえるように意識づけて、手を突っ込もうとするが、美紅の剣が俺の首に添えられる。
「今なら迷わず斬れる自信があります。試してみますか?」
俺は涙を流しながら両手を上げる。
そんな様子を見て、残りの面子は苦笑いをしていた。
シーナさんは手紙を俺に渡すと言ってくる。
「これはギルド間で通じる紹介状みたいなものです。獣人国のギルドを頼りたくなったら、これを見せたら向こうのギルド長と話の場を持つ事は可能のはずです」
うちのギルド長の印も入っていますが、どの程度効果あるか怪しいですけどねっと悪戯っ子のように笑うシーナさんは魅力的だった。
「有難うございます。何かあったら使わせて貰います」
俺はカバンに手紙を仕舞うとルナ達に声をかけられる。
「徹、そろそろ出発しようなの!シーナ行ってくるね!」
ルナの言葉を皮切りにシーナに挨拶をする。
ずっと黙っていたミランダが俺に近寄ると言ってきた。
「美紅ちゃんは持ち直したように見えるけど、まだ揺れ動いているわ。トールがしっかりと掴んであげるのよ?それができない私のトールじゃないでしょ?」
うん、ミランダのじゃないけど、できるぜ?っと言うとミランダがイケズねっとシナを作るのを見て、お互い笑う。
「後、テリアちゃんにも気を付けてあげてね」
えっ?っと思った俺は何故なのか、聞こうとするとルナに早くと急かされる。
「さあ、いってらっしゃい。ちゃんと無事に帰ってくるのよ?」
俺はミランダに手を振って見送られ、ルナに引っ張られた為聞き返す事ができずに馬車に乗り込み、獣人国のフレッチュを目指して出発した。
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