114話 依頼完了報告、そして
今日、テッドとピクセルを見に行ってきます。もしかしたら硬派な小説が売りの高校デビューとさようならになる危険大です。
オッパイをネタにするようになったらきっと映画の影響ですね。
コルシアンさんを救出してクラウドへ帰ってくると依頼報告と元Bランクの『至る頂き』を引き渡す為にやってきた。
俺が職員に元Bランクの『至る頂き』を引き渡してる横目で見ているとあの問題のある美人メイド(♂)がコルシアンさんに近づくと無駄に面倒かけてんじゃねぇ!と殴ると、コルシアンさんがオヨヨっと言わんばかりの倒れてシナ作って泣き真似して許しを請うという変な空間が形成されていた。
コルシアンさんってアンタの雇い主だよね?っと思わず思ったがどっちも変態だから常識は通じないのだろうと思い、関わるのを止めた。
離れた所からコルシアン劇場を見ていた俺達は後ろから声をかけられて振り返った。
「お疲れ様でした。トールさん。やはり、あっさり解決されて助かりました。一応、決まりなので確認にアジトとされた場所と助けられた住人の確認に職員や調査依頼を出していますが、コルシアン公爵が無事におられる事とご本人の証言により査定が済んだということで報酬をお支払いさせて頂きますので受付まできてください」
シーナさんは現状報告と報酬支払の告知にわざわざ受付から離れて声をかけにきてくれた。
報酬と聞いたルナがご飯っと色めき立つ。
俺はルナに背中を押されて受付へと向かった。
受付に行くと本来の位置に戻ったシーナさんに笑顔で対応される。
「本当に有難うございました。しかも元とはいえクラウドのBランク冒険者が纏めてたという事実だけでも頭が痛いのにこれを帝国の軍や他ギルドに解決されていたら目も当てられない事態になってましたよ」
ヤレヤレと溜息を吐きながら言ってくる。
「それなのに以前、トールさんに難癖つけた人物にした処分の甘さから出たギルドの錆までお任せしてしまった事、申し訳ありません。ギルド長も報酬もそうですが何か形のある返しもさせて頂きたいとおっしゃってますので何かありましたらおっしゃってください。後、ギルド長が懲りずにまたおっしゃっておりましたが私の方でしっかりシメっておきましたのでご心配ありませんよ?ルナさん、美紅さん」
トールさんに悪い遊びを覚えさす訳にはいきませんからねっ!と言うシーナさんに頷くルナと美紅は全力阻止ですっと意気込む3人はとても暗い笑顔をしていた。
「トール、本当にアンタ考えて行動しないと命取りになりかねからねっ?」
言われなくても分かっている。今のあの3人に挑むぐらいなら裸で轟に特攻するほうがどれだけ気が楽か・・・
そんな事を考えて苦悩していると復帰したシーナさんが言ってくる。
「私でできることであれば何でもOKですよ?大金を寄こせとか言われると無理ですけど」
シーナさんがそう言うとルナ達が、絶句したり、裏切りですかっと呟く。
俺は男前な顔になり、再びあの秘儀を繰り出す。
「秘儀、千手観音!!」
俺の手がどれが本物か見切れるかっ!と目を見開く。
今度はルナだけでは無理と判断した美紅が対面につく。
「いい加減、無駄である事と後の事を考えて行動してください!」
お怒りな美紅がそう言ってくるが、後悔は後でするからであって今は関係ないのだよ。
ルナと美紅が必死にシーナさんは余裕な表情で頑張っている。その様子を見た俺はニヤリと笑う。
「3人ともそれが精一杯か?甘いな、俺が修業で何を重視で頑張ったと言ったか2人は忘れたのか?」
ルナは何を言い出しているのだろうという顔をするが美紅の表情に驚愕に包まれるのを確認すると堂々と宣言する。
「俺は和也に一発入れる為に手数を重視に頑張ってきたと言ったんだよ。もう俺は過去の俺ではないっ!千手観音X!!(ペケじゃありません)」
先程の倍の幻が3人を襲う。必死に払うが3人の処理を超えているらしくシーナさんの体にちょくちょく触れていく。
ふっふふ、後、少しだと直感した俺は高らかに叫ぶ。
「そのオッパイ貰った!!」
顔を歪める2人と、あらあら、まあまあっと楽しそうなシーナさんの防衛を潜り抜けてゲットの瞬間、予想外の伏兵が登場する。
「あら、いやん。トールって大胆ね?」
俺は鷲掴みにした。スキンヘッドのマッチョの胸を・・・
音を立てて、俺はその場に崩れ落ちる。
「ミランダさん、そろそろ来られる頃だと思いました」
シーナさんは良い笑顔でそう言ってくる。
ルナ達は状況が飲み込めないようだが、真っ白になった俺はどうでも良かった。
「もしかして、ミランダさんがそろそろ来ると知っていたからトオル君をからかったんですか?」
少し、怒った顔でシーナさんに詰め寄る美紅をごめんなさいねっと片目を瞑って謝る。
ルナも漸く飲み込めたようで頬を膨らませていた。
「美紅ちゃんも怒らないの。ギルド長への出前も済んだから帰るわね。部屋は用意できてるから終わったら寄り道しないで帰ってくるのよ」
そう言うと嵐は去っていった。
それからシーナさんとの報酬説明と受け渡しは淡々と進み、報酬を受け取ると俺は受付から離れるとコルシアンさんが待っていた。
「やぁ?お疲れ様」
「ええ、最後に物凄く疲れました」
コルシアンさんは山賊に殴られた頬より反対側のあのメイドに殴られたほうが酷い事になっていたが本人はまったく気にしてないあたりがさすがだなっと思う。
「それでね、申し訳ないんだけど、キーワードを見つけるところまではいったんだけど、まだ解析がこれからなんだ。そこまで時間はかからないと思うけど、もうしばらく待ってくれないかな?」
いきなり謝ってくるから何かと思えば、初代勇者が残した足跡の話だと分かると納得した。
「はい、時間がたっぷりあればいいのですが急かしてもどうにもならないとは分かってますのでよろしくお願いします。それもコルシアンさんにお聞きした事ではあったのですが、今回は別件もあります」
コルシアンさんは俺の目を見つめると溜息を吐いてくる。
「余り楽しい話ではなさそうだね。ここでというは困るから明日にでも私の屋敷に来て貰えるかな?」
俺は頷いて、分かりましたと言うとコルシアンさんはメイドを引き連れ、手をヒラヒラさせて去って行った。
さて、俺達も帰るかと言うとルナが俺に声をかけてくる。
「ねぇねぇ、徹。これでご飯は大丈夫?」
受けた報酬は金貨10枚。元の世界で言うところで1000万ぐらいだろうか?
「そうだな、3日ぐらいは大丈夫かな?」
「そうなの?なら3日は働かなくても・・・」
早速、サボろうとするルナに俺は牽制を入れる。
「3日じゃ大変だから2食にして3カ月ぐらいに引き延ばし・・・」
「お仕事大事、ご飯は3食大事!頑張るぞ!」
慌てるルナはギルドを飛び出しておそらくマッチョの集い亭へと走って行った。
「金貨10枚あってなんで3日の食事で2食にしたら3カ月持つとかっ、おかしすぎるでしょ!」
ルナって計算できないのっ?っと美紅に聞くと苦笑しながら答える。
「ルナさんは基本、身内の言葉を疑いませんからね。それを分かってるのに楽しそうに言うトオル君が酷いんですよ」
ちょっと、美紅さん酷いんでないかい?そうなると分かってて黙ってたのも同罪じゃないの?っと言おうとすると俺を見つめる瞳が紅く煌めいたように感じると俺は目線を反らした。
触れたらヤバいと本能が訴えてくるので俺は突っ込むのを止めた。決して美紅様が怖かったからという事実はなかった。
「さて、俺達も帰るか?」
冒険ギルドを出るとそろそろ日付も替わろうとしていそうな時間になっていた。
俺は欠伸を噛み締めながらマッチョの集い亭へと歩いて行きながら考えていた。
コルシアンさんも俺が何を話そうとしてたか察している気がする。本人もできれば口にしたくない話なのかもしれないがどうしても聞いておいたほうが良いと俺のカンが囁く。
でも、あの轟にラブストーリーなんてあったんだっと俺は驚きを隠せないが、もしあったのだったら、どうしてこんな結果になっているのだろうと俺は疑問を感じずにはいられない。
明日は何やら自分の心がブレる恐れがありそうな予感がする。でも、どんな理由があろうが今、轟がやっている事は許された事ではない。俺は心を鬼にする覚悟で明日、コルシアンさんの下へと向かう事を決意した。
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