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111話 事件は現場だが、情報はギルドから

 7章スタートになります。よろしくお願いします。

 6章のキャラ紹介は休みに纏めてから上げられるようなら更新しますのでお待ちください。

 俺達はモスの街を出て、夜を迎えたので野宿の準備に追われている時に料理中の美紅が何やら思い出したようで大きな声を上げて固まった。

 隣で手伝いをしていたテリアが驚いた顔して事情を聞く。


「どうしたの?急に叫んでっ?」

「トオル君にお知らせしてお願いしたい事があったのを忘れてました」


 申し訳なさそうにする美紅がどうやら俺に話があるということなんで俺は作業の手を止めて美紅の傍へと向かった。


 事情を聞くとなんでこんな事で申し訳なさそうにするのだろうっと思わされるような事であった。

 つまり、こう言う事らしい。クリミア王女の救出の為に冒険ギルドで馬を調達して貰い、手持ちがなかったからシーナさんに立て替えて貰ったと、更に替え馬も用意して貰ったから2頭分かかると申し訳なさそうに帰ったらまず冒険ギルドで支払いをっというだけの話。


「そんな顔するからとんでもない事でもしたのかと思ったら必要経費だろ?そういうのは」


 でもっと呟く美紅の頭を撫でながら、考える。本当にまだお金に困る事態にはなってない。何せ、このメンバーは贅沢というものに特に憧れがない。しいて言えばルナが食べる事に煩いぐらいだが所詮、食べる量が少ない為、誤差範囲でしかない。

 しかし、よくよく考えると俺達、ゴブリンキングの後、クリミア王女の護衛をしてから何も稼いでないなっと気付く。

 その状況が美紅に申し訳ない気持ちにさせているのかもしれないとやっと気付いた俺は提案してみる。


「クラウドに戻ってコルシアンさんがまだ戻ってないようなら、久しぶりにギルドで仕事しようか?」


 美紅は、はいっと元気よく答える。テリアはどっちでも良さそうな顔をしているがルナの表情が鬼気迫る顔をしていた。


「と、徹。そんなにピンチなの?ご飯は大丈夫なの?」


 馬鹿言うな、今まで通りなら1年働かなくても食っていけるわっ!と叫ぼうとしたが止める。そういや、ルナって・・・俺は事実とは違う事を伝える事にした。


「ああ、しばらくするとヤバいな・・・」

「ど、どれくらいなの?」


 戦々恐々するルナは俺に聞いてくる。

 俺は思わず笑ってしまいそうになる自分に喝を入れて耐えると続きを言う。


「もうそれはデザートどころじゃなくなるわ、まあ、あれだ、悪夢再びってやつ?」

「あく、悪夢っ?」


 俺は目が泳ぎまくっているルナの肩を掴み、瞳を覗き込むと既に涙目であった。しかし、俺は心を鬼にして伝える。


「1日、2食生活の復活だぁ!!」

「それだけは嫌なのっーーーー!!!」


 号泣する女神。泣く理由が誰かの為という美談ではなく、明日の献立を心配して泣くという歴史の裏へなかった事として封じられても文句は出ない理由であった。


 ルナはトラウマを刺激されたようで出来かけの食事を掻っ込むとリスのように頬を膨らませると寝るというジェスチャーするとテントに入る、5分ほど経つと寝息が聞こえてくるところがアイツの凄いところ。


「ねぇ、トールっ。そんなに懐事情悪いのっ?」


 どことなくバツ悪そうなテリアが聞いてくる。自分が便乗して圧迫してるのかもって思っているのだろう。

 美紅も再び、申し訳なさそうにしている。

 俺は首を横に振りながら笑う。


「違う、違う。ルナって食べれるなら仕事しなくてもいいのって言いそうな奴なんだよ。意外とさぼり魔なとこがあってな。でも、ああ言えば、頑張るからちょっとしたイタズラだよ」


 1年ぐらいなら寝て過ごせる余裕はあるよっと笑って伝える。


「ですが、稼げる時に稼いだほうがいいでしょうね。必要な時に稼ぎに行く時間があるとは限りませんし」


 それまで、ルナさんには申し訳ありませんが騙されたままに居て貰いましょうっと意外と計算高いセリフが出る美紅。


 そして、俺達も食事をしながら、俺がルナと一緒にアローラに来て、どんな仕事をして食事ができるようになると仕事をサボりたがったルナの話で盛り上がって夜が明けていった。



 次の日の朝、出発するとお昼前にクラウドに着く。

 着くや否や、ルナが入れ込んだ状態で騒ぎだす。


「すぐに冒険ギルドに行くの。時間は金なりなの。そして、何より大事なのは、美味しいご飯3食!さぁ~!徹も復唱っ!」


 俺はルナのやる気を持続させる為・・・といいつつピエロなルナが面白かったので俺もノッて復唱するとルナが満足気に頷く姿に噴き出しそうになるが頑張って耐えた。

 テリアにはトールさいてぇーと言われ、美紅には苦笑される。


 先頭を歩くルナに連れられるようにして俺達はルナを生温かい目で見つめながら冒険ギルドへと急いだ。



 冒険ギルドに着くと迷いもなしにシーナさんがいる受付に向かうとシーナさんが目の前にいる男と一緒に頭を悩ましているところを目撃する。

 よく見ると男はダングレスト、ダンさんであった。


 何をしてるんだろうっと思い、近づくと2人が近寄ってくる俺達に気付くと表情を明るくする。


「良い所で帰ってきてくれた!」


 俺に近づいてきたダンさんが俺を抱き締めて背中を叩く。

 ごめんなさい、ダンさんの気持ちは嬉しいですが俺はオッパイの大きな女の子がいいんですっと言いたくなるぐらいの歓迎をされる。

 俺が困っていると気付いているらしいシーナさんが助け舟を出してくれる。


「突然、騒がれてトールさんも困ってますよ。でも、本当に良い所で帰ってきてくれました。現クラウド最強パーティであるトールさん達にお頼みしたい依頼があります。どうか話を聞いて貰えませんか?」


 お願いしますっと大きく頭を下げるとオッパイも大きく上から下へと動いたので視線で追いかけてた俺は自然な形で頷いたように廻りから見える動きをしてしまう。


「有難うございます。トールさんならきっと聞いてくれると信じてました」


 あれよあれよっと外堀を埋められているような気がすると思っているとシーナさんの口の端が上がったような気がした。

 あれ?俺、嵌められた?もう気分はドナドナであった。

 別に断る気なんかなかったんだが酷く敗北感に包まれた。


 早速、俺達はシーナさんから事情を聞く事にした。


「おそらく帰ってきたばかりだと思うのですが、帰ってきて早々にお願いがあります。山賊達に攫われた人質の救出をお願いしたいのです」


 山賊?そんなの俺達が帰ってくる前に人数で潰すか、ダンさん達が動けばすぐ解決したんじゃ?っと俺が思っているとその疑問の答えも話してくれた。


「既にCランク以上のメンバーが20名ほどで挑みましたが全滅しました。調べた情報が少ないので多くは語れませんが、リーダー格は少なくともBランク相当の実力があり、配下も50名を超えるそうです」

「そこで俺達が有志を募って100名ほどで出張ったんだが、1度はアジトらしき場所を見つけ襲撃したが逃げられて終わったよ。相手が自分より劣る人数じゃないと決して襲ってこないし、挑まないようだ。おそらく、俺が20名ほどで挑んでもCランクのやつらと同じ末路だろうな」


 ダンさんがシーナさんの説明の補足を入れる。


「そこで1人でもそこに突っ込んでも涼しい顔して帰ってきそうなトールさん達にお願いしたいのです。どうか受けて頂けませんか?」


 酷い言われようだとは思うが確かにできるかできないかと聞かれたら3人ともできると答えれる。しかし、それはあくまで人質がいないっという状態であればである。

 俺達は戦う事だけで見れば、軍隊とだって張り合えるし、勝とうと思えば勝てるだろう。だが、囚われた人を助けると人質を盾にされて戦いが始まった場合の繊細な戦い方ができるかどうかは別物である。


「シーナ、これは依頼なの?」

「はい、正式なギルドとしての依頼になります」


 ルナはお仕事大事!そして、お仕事より3倍、ご飯は大事っと俺に詰め寄ってくる。

 シーナさんが出してきた依頼書を俺は取ると内容を読んで行くとある場所を読んだ所で俺は止まり、シーナさんに確認する。


「もしかして、攫われた人の中に貴族がいたりします?」

「はい、1人居られます」


 シーナさんにそう言われると俺は頭を抱える。

 その様子を不思議に思った美紅がどうしましたっと聞いてくるので依頼書を渡し、俺が注目した場所を指差す。


『依頼人  コルシアン公爵代理  メイド長 セシル』


 美紅もはぁっと溜息を吐く。


「分かりました。できるか分かりませんがどうやら俺達は色んな意味で受けないという選択肢がなくなりましたので」


 苦笑いをしながら俺はシーナさんに言うとシーナさんはどうしてなのか良く分からないようだが受けて貰えると分かり笑顔で俺の手を握って引っ張ると俺の二の腕を胸の谷間に挟んで上目使いでお願いしますね?っと言われて俺のテンションはマックスであった。

 後ろでルナが指を鳴らして、美紅が時間が出来た時にしっかりお説教をしないといけませんっと言ってるような気がするが俺は振り返らない!だって怖いんだもん。


「で、シーナさん、その山賊の居所などの情報はないんですか?」

「すいません、王都方面に向かう街道近くじゃないかという情報ぐらいしかないんです」


 シーナさんは申し訳なさそうに言ってくる。

 しかし、範囲が広すぎる。捜すのも骨だと思っていたら、俺達がいたカウンターに紙を叩きつける者が現れる。

 クラウド周辺の地図で王都方面の街道のある場所を赤マルされていた。これはまさか・・・


「これはまさか山賊のアジトの場所なのか・・・?」


 そう呼び掛けると少しだけ振りむいた、その方は・・・ツンデレさんっ!!

 その通りだと言わんばかりに手をヒラヒラさせて去っていく。

 ツンデレさんカッチョイイ!


「これで目的地は決まった準備済み次第行くぞっ!!」


 廻りの4人の乙女とダンさんが俺を残念そうに見つめる。

 しかし、代案がある訳でもないので誰も目的地に関しては何も言ってこなかった。

 俺の意見が通り、依頼を受けて、地図の場所へと向かう事になった。


「トールってやっぱり馬鹿よねっ?見極める相手がトールでいいのか本気で心配になってきたっ」


 テリアが何やら言ってたような気がするが俺は聞こえなかった事にした。

 感想や誤字などありましたら気楽に感想欄へよろしくお願いします。

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