幕間 蠢く帝国
お昼に上げたのは短い幕間を今、入れる為でした。前々回同様、短いのでごめんね?
エコ帝国のとある一室で数名の者だけいるだけで物が一脚の椅子のみといった殺風景な場所で唯一の椅子に座っている者が口を開く。
「勇者、美紅が結界から出たという知らせが入った事はこの場にいるものならだいぶ前から情報として掴んでいると思う」
人に命令し慣れた者の風格を臭わす壮年の男性がそう言うと廻りに居る者は何も言わずに頷く。
男はそれを見渡して確認すると続きを話し出す。
「勇者、美紅の戦闘利用を考えて、色々教育を施してきたが、命令服従させる事を限りなくできるところまではいったがどうしても戦闘だけはどうしてもさせることができなかった為、断念して結界の触媒にした」
男がそう言うと、あの役立たずだとか、無能、あの無駄飯食らいがっと罵る言葉が漏れる。
しかし、男が軽く手を上げると私語はピタリと止まる。
「だが、新たに掴んだ情報ではあの勇者が何度となく戦闘をしたという知らせが入った」
そんな馬鹿なだとか今までの我々の努力はなんだったのだと否定的なセリフが溢れる。
再び、手を上げるが今度はそれでは収まりがつかなかった。
「静まれ!まだ話の途中だ!」
そう言ってやっと落ち着きを取り戻す。
男は溜息を一つ吐くと話始める。
「確かに貴公ら憤りは分からんでもないが、落ち着いて考えて貰いたい。戦えるようになったと言う事は当初の戦闘利用が可能になるということに他ならない」
おお、素晴らしいと言う者もいれば、これで我らはこの大陸を支配するのも夢ではないと夢想する者まで現れた。
扱いやすい奴らではあるが、もう少し考えられる者がいないのかと男はこっそりと溜息を吐く。
「と言う訳で、美紅に命令するのに一番の適任者を呼ぶ事にする」
「しかし、あの者は今、獣人国の破壊工作を指揮しておりますが・・・」
まったくこの無能がっと叫びたい気持ちを飲み込み。
「優先事項は勇者の囲い込みだ。そちらは中断してでも呼び戻せ」
男は目の前の者に命令すると、他の者達にも細かく指示を出す。
「散れ、すぐに動きだすのだ」
慌てて出ていく無能達を見送ると男の顔には笑みが生まれる。
「諦めた道具が使えると分かると期待してなかった分、嬉しいものだな・・・逃がしはしない。我らがお前に投資した分は何倍にしてでも返してもらうぞ」
一人になった部屋で男は高笑いを響かせた。
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