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高校デビューに失敗して異世界デビュー  作者: バイブルさん
1章 こんにちは!アローラ
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9話 依頼の成否と三途の川

 9話です。よろしくお願いします。

 不思議なお姉さんに会って、街に戻ってきたら太陽は傾き、夕日になっていた。ギルドが何時までやってるか確認してなかったから、少し急ぎ足になりつつ向かっていた。

 そういえば、ルナは無事に済んでるだろうか?残念女神を1人で行かせた不安が襲ってきた。急ぎ足から駆け足になるのにそう時間はかからなかった。


 ギルドに着くと登録の時には閑散としていたが、俺と同じで依頼報告にきてると思われる冒険者で賑わっていた。待合所で騒いでる冒険者達を見て、よく考えたら定番のギルド内の酒場のような場所は存在していない。あの騒いでる冒険者も報告待ちしてるようで、報告の済んだ者はそのままギルドから出て行く。

 まあ、酒場など作って、ケンカなどの揉め事が起こればギルドが抱え込む事になるので雰囲気的にはあるのが自然に感じるがギルドが冒険者の揉め事に介入する気がなければないほうが良いのだろう。まして、街の飲食関係の者を敵にまわす必要などもっとない。そんなとこで客の取り合いなんてするものではないのであろう。


 周りをキョロキョロしていたら、受付嬢のオッパイさん(そういえば名前を聞いてなかったような気がする)が俺を見つけて手招きする。そんな素晴らしいオッパイに手招きされて無視できるやつなんているのだろう、否、いない!

 スキップ混じりで受付待ちしてる人に頭下げながら横入りさせてもらう。


「どうかなさいましたか?ちゃんと依頼は済ませて帰ってきましたよ?」


 俺は手に持った薬草の束を持ち上げて受付嬢に見せる。


「お疲れ様です。その依頼は受理して置きますので、薬草は預かります。トールさんが依頼を果たせた事は良かったんですが、ルナさんに少々問題が発生しまして・・・」


 あー、不安的中、やらかしましたか、ルナさんや。溜息1つ吐いて続きを聞く事にする。


「相手さんと一緒に今、奥の商談室にいますので顔を出してあげてくれませんか?」

「分かりました。それでは失礼します。オッパイさん」


 去ろうとしたその時、オッパイさんこと受付嬢の両手が俺の顔を指だけで掴む。この構図、何千年の暗殺拳の人がやってたやつに似てる気がする!


「オッパイさんとは私の事ですか?」


 シマッタ!マタヤラカシタ!

 異世界2度目のウッカリをやらかした。テヘペロって言ったら許してくれないかしら・・・無理だろうな、指がどんどん食い込んできてる。


「確かに名前を紹介した覚えがないのはこちらの落ち度かもしれませんが少々あんまりではないでしょうか?」


 声は落ち着いてるのに指のほうは全然落ち着いてないオッパイさんこと受付嬢は、ぼ、僕の目を覗きこむように話しかける。犬の躾をする時は目を覗きこんで染み込ませるように反復させると言ってた隣の犬好きのおじいちゃんを思い出していた。

 受付待ちしてた冒険者は引き気味になってる人もいれば、順番待ちする列を変える事で逃げた者もいる。さすが冒険者、危険に敏感である。見習わなければ、もちろん、明日を迎えられたの話である。


「すいません、立派で綺麗なオッパイだったもので、出来心で!」

「そんなこと言って許されると思ってるのですか?」


 顔にかかる力が更に加わる。

 ルナの場合はそれで許されましたとはとても言えない状況である。やっぱりルナさん、あんたはチョロかった!

 指からかかる圧力に肉体が限界を迎えようとしてるのか、2年前に逝った爺ちゃんが川の向こうで、こっちに来るなって叫んでる幻覚、幻覚だよね?を見始めた頃、顔にかかってた圧力がふっと消える。


「次はありませんよ?次にふざけた名前で呼んだら今より酷いですからね?」


 僕は、イエッス、マムっと軍隊式の敬礼付きで服従する。

 しかし、三途の川らしきを見るより酷いのって見るじゃなく渡る事になるってことに他ならずそういう事と認識する必要があるようだ。本当に異世界は危険で一杯である。


「失礼しました。お名前を教えていただけますか?」

「シーナといいます。以後お見知りおきを」


 オッパ、げふん、シーナさんは綺麗なお辞儀をしてくれる。


「では、ルナさんを迎えに行ってあげてください。トールさん」

「はい、すぐに向かわせて貰います」


 踵を返して商談室に向かう時に列に並んでた冒険者達の会話が聞えてきた。


「あいつ、初めて見る顔だな。新人のようだがスゲーな」

「あのシーナさんを怒らせる勇者がいたとは、俺はギルドマスター怒らせるよりシーナさんを怒らせるほうが怖い」

「命知らずの新人に関わらないほうがいいな」


 シーナさん、マジ、パネェーっす。絶対、敵にまわさないように気をつけよう。



 商談室についた俺はドアをノックする。思わすノックしたけど、この世界でも通じるマナーなんだろうか?思わずやっちゃったが余裕を持って反応を待つ。先程、大魔王と会話で恐怖が麻痺してるからな。

 なんて、くだらないことを考えてたら、どうぞって返事が返ってきた。どうやら世界共通だったようだ。


 失礼しますっと言い、中に入るとなんとなく想像してた状況と違う気がする。正直、中ではルナの対面でしかめ面した依頼人がいてルナが俯いてるとかの構図を予測してたのだが、ルナが半泣きなとこが違うだけでルナは予想通りではあったが依頼人らしき人の対応が予想を裏切っていた。

 依頼人は30代後半といったガタイのいい強面の現場職の監督といった感じの人でなんとかルナを泣きやませようとオロオロしてる人であった。元の世界でも見た事あるな。や●ざ?って思ってしまう人が子供が泣いてる横でオロオロしてる図、ルナって精神年齢低そうだからツボに入ってしまったぽい。

 俺を見た依頼人も半泣きに近い顔を近づけて


「お前の連れだろ?なんとかしてくれ」

「なんとなく予想はつくんですが、ルナが現場でやらかしたんですか?」

「ああ、凄く一生懸命で、やってくれるんだが、何をやらせても失敗続きで目も当てられない状態だった。普通ならここで現場の人間に怒鳴られて追い出されるといった感じになるんだが、あの一生懸命ぶりを見てるとな、俺だけじゃなくて現場の人間もキツイ事言えなくてな。でも、うまくいかず仕事の終わりの時間になって、明日こそ、挽回させてくださいって言われて困ってるんだ」


 神徳?というべきか、精神年齢の低いせいかで救われてるようだ。しかし、この人も分かってるようだが、明日もやらしても結果は変わらないだろう。


「現場の人間もチャンスをやってくれと言われてるんだが、そこで相談なんだが、あの子の相棒が務まってるお前がフォロー入れたらなんとなるんじゃないか?」


 正直、弁償の話になるかもと構えていた所、挽回のチャンスの話になっているとは思わず、びっくりしていた。


「期待して貰って嬉しいのですが正直難しいと思いますよ?」


 弁償の話にならないならとばかりに俺は逃げ腰になる。

 ルナにオロオロしてる人だったから思わず、俺は甘く見ていたようだ。俺の肩に腕を回し、耳元で俺だけに聞こえる声で話しだす。


「坊主、ガタガタ言うなら銀貨10枚請求してもいいんだぞ?それぐらいならギルドも口を挟んでこない賠償額として話をすすめることはできる」


 どうするよ?とドスを利かせた声で俺に話かける。俺に選択肢はないようだ。

 溜息を吐いて、


「喜んで、行かせて頂きます。何時行かせてもらえばいいですか?」

「おう、明日は朝から2人でこい。二人で銀貨1枚出してやるからきばれよ。お嬢ちゃん、明日こそ頼むぜ?」

「はい、明日こそはちゃんとやるの!」


 ルナは子供のように泣き顔から、にへらといった風に笑いながら返事する。

 先程、俺を脅してた人と同一人物と認識しづらい優しい苦笑を浮かべてルナに笑いかける。


「そうそう、俺の名前はザックだ。坊主の名前は?」

「トールです。明日はよろしくお願いします」


 ザックさんは女子供には優しいや●ざのような人だ、明日は気合いを入れて行かないと恐ろしい目に合わされそうである。頑張ろう。


 鼻をスンスン言わせながら、えへへ、明日は頑張るの!って気合い入れながら笑ってるルナを連れて商談室から出るとシーナさんがいて、薬草の報酬の銅貨30枚を渡してくれる。その時に俺に見せたシーナさんの顔はとても優しい表情していた。頑張ってねっと応援された。

 本当に何故かルナを怒る気になれない自分がいる。きっとザックさん達も同じような理由なんだろう。とはいえ、最終的な迷惑の行き着く先が俺という路線はルナと別れて旅を始めない限り変わらなそうである。

 そんなつもりもないのに益体もないことを考える俺がいた。もしかしたら俺はツンデレの才能があるかもしれない。


 くだらない事を考えつつ、明日の仕事の辛さを考えないようにした俺はお腹が減った女神が今日の夕飯に夢を描き、俺の手を引っ張ってマッチョの集い亭に向かう道すがら夕食後にルナとする今後の事と買い物などの話をどうするかと悩みつつ、ギルドを後にした。

 感想などありましたらよろしくお願いします。

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