97話 俺とアイツのBad to meet you
74話の示された道に後書き話の・・・第何弾だっけ?(;一_一)
とりあえず、挙げましたので良かったら読んでみてください。
ミラさんに連れられてきた場所はとても広い草原といった場所に空中に浮いた扉がある以外、特に何も見当たらない場所であった。
ミラさんを見ても間違った場所に来たような雰囲気はない。迷わずどこかに向かって歩き出すので俺達はその後ろを着いて行った。
着いて行った先では草むらで寝ている白一色といった服装の初代勇者こと和也がいた。
俺はおもむろに足元に落ちてた小石を見つけて拾うと和也に向かって投げた。石は見事に額に当たるがピクリともしない。何か負けた気分にさせられた俺はもっと大きな石がないか辺りを見渡そうとするとミラさんが後ろから羽交い絞めするようにして俺を止めてくる。
「いきなり何をしてるんですか、和也も言ってましたがどうして直接会った事もない者同士でそこまで険悪なんですか?」
「まあ、フレイの事もありますが・・・なんとなく相容れない気がしまして」
「ん~、私から見ると2人ってっ、なんとなく似てる気がするっ。顔は勝負になってないけど・・・同じ変態というかっ?」
テリアがかなり失礼な事を言われているが俺は抵抗してる振りをしてるだけで必死に羽交い絞めしてくるミラさんの攻城破壊兵器を堪能していたので実は全然腹が立ってない。
ああ、はっきり言おう、めっさたまらんのですよ!
今度は失敗はしないと俺は幸せを堪能しているとテリアがジト目で言ってくる。
「なんか、アンタっ、抵抗してる振りだけじゃないっ?」
「そんな訳ないだろう。寝てる今がヤツを殺る好機だ!」
ミラさんのオーパーツを背中で受け止めて俺のメモリーは頑張って記録中でニヤけそうなのを必死に堪える。
「どうしてか、ヤルって言う言葉がとても剣呑な響きがあるのは気のせいでしょうか?」
見た目、とってもお姉さんって感じなのにどこか抜けてる感じがするミラさんは素敵です。もうちょっとだけ気付かずにいてください。
ミラさんは、ねっ?これからしばらく一緒にいる者同士なんだから仲良くしましょうね?ねっ?っと可愛らしく聞いてくる。
ついに俺の心の決壊が起き、ニヤけた時、テリアに気付かれる。
「ミラっ、トールは貴方の胸の感触を楽しんでるだけで抵抗なんてしてないっ!」
テリアの言葉を聞いたミラさんは、慌てて離れて顔を真っ赤にさせてとてもキュートです。
俺は白々しく、投げる為の石を捜すフリをする。
「いい加減にしないと本当にお説教しますよ!」
再び、メッ!を頂いた俺は1時間ぐらいならいいかなって思ってしまう。
しかし、そろそろ真面目に話を聞く事にしよう。
「分かりました。ヤツの出方次第で対応すると言っておきます。で、とりあえず話を聞かない事にはどうにもならないのでコイツを叩き起こしませんか?」
「確かにそのほうが話が早いのですが、もうちょっとは何をしても起きませんので私から説明をさせてもらいます」
さっきまでのほんわかしたお姉さんといった雰囲気がシャープになる。落ち着いて考えれば500年前に和也とフレイと共に魔神と戦った猛者である。あれ?今更だが、なんでミラさんは生きているんだ?エルフは俺の世界じゃ、長寿と一般で言われてるがアローラでは若い時代が長いだけで人間とそれほど寿命自体は変わらないはずである。
俺の考えてる事を理解したようで苦笑しながら言ってくる。
「まずは私の話からしましょうか。トールさんはフレイの記憶で少し知っているでしょうけど、初代勇者の和也と共に魔神封印に参加したエルフとは私の事です。私は特殊なエルフで、聞いた事はありませんか?時折生まれるエルフの個体の話を?」
確か、シーナさんがそうだったと言ってた気がしたので俺は頷く。
「私はその中でも鬼の子と言われる希少種でした。おおよそですが1000年に1人生まれるかどうかの確率で生まれてきます。とはいえ、500年も生きれたり、その当時の姿のままというのはありえません」
苦笑いしているミラさんを見て、今の現状にしてるのか、過去の鬼の子と呼ばれてた頃の事を思い出してなのか分からない。シーナさんですら村で居心地が悪かったらしいから、ミラさんはもっと酷かったのではないだろうか。
「和也の話だと、トールさんはオルデールの記憶もご覧になられてると聞いてますが?和也が死んでインプに飛ばされるのは見てますか?」
「ええ、ポックリ逝くのを見てました。今から思うと胸がスッとします」
「どうしてっ、アンタっは、そんなに初代勇者だけには辛辣なのっ?」
テリアが呆れた様子で言ってくるがミラさんは苦笑しながら和也も似たような事を言ってますがどうしてなんでしょうね?っと首を傾げている。
きっと魂のレベルでお互いが嫌いなんだろうと俺は確信している。
「その時に、インプとしていた契約を発動させた和也は数々のモノを代償に命を拾いました。まずは1日、1時間だけの活動時間と1時間経つと死んで、再び生き返るという永遠の苦痛を受けるというもの。そして、数々の記憶の封印、いえ、伝える事ができない呪いを受けています。それは私も同様で貴方に知ってる限りの事を伝えたいのですが伝える事ができない呪いを受けてます」
和也は喋れても貴方だけには伝えて楽にさせるのは癪だと怒ってましたけどねっと苦笑する。
はっはは、上等だ、アイツだけは今回の修業で呪いでなく俺の手で楽にしてやると心に秘めた。
「アンタっ、思ってる事がダダ漏れよっ?」
テリアは呆れた顔をしてこっちを見ている。
「しかし、1日1時間だけだとまともに修行なんかできないだろう?」
なんでコイツは俺を呼んだんだ?っと俺は疑問に思う。
ミラさんは拳を掌でポンと可愛らしく叩くと説明してくる。
「そうですね、これも説明しとかないと来た意味がわからなくなりますね」
そう言うと、最初に気付いた扉を指差す。
「あの扉の向こうはこっちの1時間を1日にしてしまう世界らしいです。時間を遅延させてるのか加速させているのか理屈はさっぱりですが1日1回だけ使えます」
エクレシアンの女王に和也が依頼して造って貰ったそうですっと言うの聞いて、俺はミラさんに聞いてみる。
「ミラさんはエクレシアンの女王を知っているのですか?」
「はい、知ってますし、会った事もありますが、これ以上は・・・」
呪いの為と繋がるのであろうと思い、俺は引き下がる。
アイツは魔神封印後、四方走り回って打てる手を必死にやっていたのが分かる。まだ途中だが足跡を追っているだけでもアイツは先読みするが如く、手かがりを置いている。
いくら、超人といえ、それだけの事をするのに労苦はありませんでしたっとは言えないだろう。
アイツは何がしたいのであろう。あのメッセージに書かれてたように神を殺す事なのだろうか?
チャンスがあれば聞きだしてみよう。呪いの範囲外かも・・・いや、範囲内でもアイツが苦しむ分にはいいような気がするから聞いてみよう。
「ですので1日1時間は和也と特訓して頂きます。で、残りの時間を使って、私がトールさんの魔法の特訓をさせて頂きます」
な、なんだと、ミラさんの個人授業だと!とっても魅惑的な響きです。
「ミラさんの個人授業だけで良い気がしてきました!」
「こ、個人授業?よく分かりませんが剣は私はさっぱりなので和也にお任せするしかないんですよ」
もう、この際、剣は諦めて魔法一本でいくのはどうだろうか?
ー主よ、それはあんまりだと思うぞー
カラスに苦言を挙げられて俺はグゥの音も出なかったりする。
(欲望に突っ走りました。ごめんな)
そう伝えるとカラスをポンポンと叩くと許してくれたような気がする。
「ミラさんの個人授業の為に我慢して1時間はアイツにくれてやりますよ、ええ」
俺は絶対、剣の腕を上げてアイツをコテンパンにしてやると誓う。
すると、後ろから誰かに背中を蹴られ、前のめりに倒れる。
「誰が我慢だ?我慢するのはこっちのほうだ」
もう誰と分かっているが振り返ると無駄にイケメンのアイツが俺を見下ろしていた。
「やっときたか、会いたくなかったぜ、ヘナチョコ」
「ああ、俺もだぜ、クソ野郎」
これが俺達のファーストコンタクトであった。
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