94話 加護との違い
今回は説明回のような感じなります。自分で言うのもなんですが忘れてる所の補完に思い出すつもりでお読みください。長くてごめんね(;一_一)
ルナ達と行動を別にしてお互いのやるべきことをする為に各自、動き始めて俺は東門抜けて歩いている。丁度、朝日が昇ってきてちょっと眩しい。
しばらく歩くとテリアが今更な質問をしてきた。
「で、どこに行くのっ?」
「テリアのご両親にご挨拶に」
後先考えなさ過ぎなテリアにちょっとしたイタズラをしてみた。
「ちょ、ちょっと待ってよ、そんな話聞いてないっ!そりゃ、トールが真剣だって言うなら会わせるぐらいならいいけどぅ!でも、待って、やっぱり心の準備がまだ会って間がないからっ!とりあえず、お友達からでっ!!」
「嘘に決まってるだろ?だいたい、俺はお前がどこから来たかすら知らないしな」
まったく、テリアちゃんったら、オマセさんっとデコを突っつく。
顔を真っ赤にさせて頬に両手を添えていたテリアはからかわれたと気付くと涙目になりながらフンっと怒りゲージマックスの蹴りを膝裏に入れると倒れた俺のガシガシと蹴ってくる。
「からかいすぎた、謝るから許してくれ」
そういうとなんとか止めてくれたが、あれはまだ安心できない。処置を間違ったら体力が切れるまで襲ってきそうだ。まさに核施設で臨界目前って感じだ。
一言謝ると俺はテリアに聞いてみる
「テリアの質問に答える前に初代勇者の事はどの程度知ってるか聞かせてくれ」
「初代勇者?魔神を封印して女神とのラブストーリーがあったとかないとかの話が有名で、姿を消したってぐらい?」
テリアはどうやら世間一般レベルでしか知らないようだ。
「俺はその初代勇者に会いに行こうとしてるんだ」
「アンタ、馬鹿っ?正確には分からないけど何百年前の話をしてるのっ?」
まあ、それが普通の反応だろうな。
テリアは再びからかわれてると思ったようで攻撃色が見えてくる。
「まあ、待て。そう思う気持ちは分かる。俺達は初代勇者の足跡を追いかけているが今は見ての通り中断中だが、その過程で初代勇者の死体も目撃されているという話も聞いている。だが、俺としては生きていてもおかしくはないと思っている」
俺の言葉に大丈夫か、こいつは?っといった失礼な視線を向けるテリアにイラっとしなかったと言えば嘘になるが気持ちはよく分かった。
テリアが何かを聞こうとしていたが掌を向けて、待って貰う。
「聞きたい事はなんとなく理解できるがちょっと続きを聞いて貰ったほうが無駄な説明が省けると思うから」
そう言うとテリアは聞く体勢になってくれた。
俺はどこから話そうかと思い、まずは最終決戦地に行った時の話からにしようと決める。
「初代勇者と魔神との最終決戦地へ、俺達は向かった。そこには初代勇者と共に魔神と戦ったエンシェント級のドラゴン、フレイドーラが俺、正解に言うならカラスとアオツキを持っている者が現れるのを待っていた」
俺はカラスとアオツキにそっと触れる。カラスから言葉なき想いが俺に伝わる。優しい目線で見つめてからテリアに視線を向ける。
「フレイドーラ、フレイはカラス達を持つ者の超えるべき壁として立ち塞がり、全力で戦い、力と想いを託して逝った」
思わず、思い出し泣きをしてしまいそうになるが鼻の頭に意識して力を入れる事で耐える。
「そして、フレイの記憶を見せられた。どうやら魔神封印してから1年後ぐらいらしい時のモノを見た。そこには初代勇者とフレイ、そして名も分からぬエルフの女性がいた。初代勇者は2人に頼みごとがあったようでフレイには剣を持ってきた者の超えるべき壁となり、その者の力となる為に死してカラスに自分の力を拭き込む事と初代勇者のメッセージを剣を持って現れた者以外に見られないように結界で阻止する事だった。エルフの女性に何を頼んだかは不明だ」
テリアは一生懸命理解しようと努力しながら聞いている。そこで気になった事が出たらしく聞いてきた。
「初代勇者のメッセージってなんだったのっ?勿論見てきたんでしょっ?」
「ああ、そこにあったメッセージは要約するとエクレシアンの女王に会えってことが書かれていたよ」
あっ、と短く叫ぶと掌を叩くテリアが詰め寄るように聞いてくる。
「アンタがドワーフ国で手に入れた鍵がエクレシアンじゃなかった?」
「そうだ、俺達はエクレシアンの女王にどうやって会えばいいのか分からなかったから記憶で見たエルフの女性がヒントかもしれないと、エルフ国に行こうとしたところ、緊急依頼のモンスターパニックが起きた」
あの時はシーナさんの取り乱しようが酷かったなって思い出す。それをあの時に汲み取ってあげられない程に俺もおかしかった。今から思い出すと恥ずかしさがあるが冒険ギルドで啖呵切って有志を募って救出に行って良かったと思う。そのおかげで俺はティティという可愛い妹と出会う事になったのだから。
「うんっ、村を助けた時にエルフ国のお姫様に出会って一緒に王都に行ったら王都もモンスターの襲撃があってっ、アンタが馬鹿やって城に繋がる橋を前で1人でモンスターとやり合ったって美紅が頭を抱えながら説明してくれたっ」
美紅はいらない事言わないでもいいのにっと俺はそこはボカして話そうと思ってたのに・・・
「まあ、そういう事だ。その後、俺はユグドラシルに会って、ある洞窟に国境沿いの村と王都にモンスターを呼んだ者がいると教えられて行くんだが、そいつだけじゃなく、そこにとんでもないヤツもいたんだ。ここで会ったヤツがある意味、初代勇者が生きていてもおかしくないと思わされる存在だった」
俺の説明を聞いて、えっ?さっきの話は本当の事言ってたの?と言った顔をしていた。まあ、普通は信じられる話じゃない。
「そこで会ったのは2代目勇者。魔神討伐間際の最終調整で訪れた洞窟で姿を消して以来、死んだと思われてた。ちなみにその洞窟は因縁か向かった先の洞窟だったよ」
「どうやって生きてたって言うのっ!」
ここからの話は自分の予想もかなり混じる話だとテリアに伝えてから続きを話始める。
「2代目勇者は魔神の加護を受けて、おそらく不老不死に近い状態になっているようなんだ。俺がそれを突っ込んだ時、アイツは否定しなかった。違ったら馬鹿にしてるヤツだからな」
「そういえば、2代目勇者の話って聞いた事なかったかもっ」
俺はエコ帝国により情報封鎖されていて、知ってるのは一部の者だけらしいと教えてやる。
「初代勇者が生きてるかもしれないという話の根拠なんだが・・・」
「まさかっ!」
「ああ、初代勇者は女神から加護を受けていた。俺の予想通りだと不老不死に近い存在になってるとしたら生きてるかもしれないと思ってな。後、これは証明しようがないんだが、2代目勇者に俺は完膚なきまでにやられた。そして、生死の境を彷徨ってる時に俺は初代勇者に戦う為の力を付けさせてやるって言われてたんだ」
できれば、世話になりたくなかったんだがなっと吐き捨てるように俺は言う。
テリアは俺の説明を聞き終えると心なしか震えているようだ。
「怖くなったのなら今からでも引き返せ。恥ずかしい事じゃないぞ?」
「違うっ!そんな事じゃないっ。ねぇ、トール。加護ってなんなの?」
俺は、ああっと心の中でコイツも気付いてしまったかっと思う。ルナや美紅ですら気付いた風に見えなかった。もし、こいつも俺と同じ結論に至ってるなら震えるのも分かる。
俺は何も言わず、前を向くと目的地の神殿跡が見えてくる。
テリアは俺の服の背中の所を摘まんで引っ張る。
「加護って呪いと何が違うのっ?」
テリアの問いかけに俺は返す言葉がなかった。
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