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訓練と占いと:5

 やった出来たよ! 褒めて褒めて!!(謎の幼女感)


 すまない、いつもの時間帯に投稿できなかった。寝過ごしてしまったんだ、本当にすまない。


 これも全部、昨日俺を寝させてくれなかった俺が貯めてたラノベとアニメが悪い!(ぷんすか)


 ていうか何でかまちさんあんなに戦闘描写うまいの? 畜生! 俺も文才が欲しい! 理不尽だ!


 次の日。


 悠人たち勇者一行はシルヴィアに呼ばれて王城にある訓練場に来ていた。集まった悠人たちに向けてシルヴィアが声をかけた。


「皆さまにはこれから一ヶ月間、戦闘に必要な訓練を受けて貰います。戦闘術、魔法など一通りの訓練を受けて貰い、一ヶ月後ダンジョンに行くことになります」


 するとシルヴィアの横に控えていた甲冑を身に纏った一人の男性が一歩前に出て来た。胸板を右拳で叩くようなポーズを取ると、声を張り上げた。


「私が皆様の訓練を務めさせて頂く王国騎士団第三部隊隊長デリック=レイデントです。よろしくお願いします」


「「「はいっ!」」」


 一番最初に悠人たちが行ったのは自分にあった武器探しだった。


 スキルに適した武器をチョイスするらしいのだが、攻撃系統のスキルを持っていない悠人は取り合えず剣、刀、槍、弓、棍、斧、体術、盾術、抜刀術、二刀流など、一通りの武器を試した。


 最終的に悠人が選んだのは結局向こうの世界でもよく使っていた刀だった。曰く、日本人ならやっぱり刀だ! らしい。


 全員が武器を選び終えると、この国の由緒正しい鍛冶屋に打って貰った武器を渡された。


 なんやかんやあって、二週間の時間が流れた。これといって特筆することはないので、この場では割愛する。



「ハッ!」


 裂帛の声と共に弾丸の如く駆け出した。


 全身を使って一気に加速。練習相手の木の人形の前に躍り出ると、胴体に紅の燐光を纏った木刀を叩き込む。


 勢いを殺さないように一度回転すると、再び脇腹に一撃。ズバンッ! という乾いた音を鳴らした。


 ──初級スキルアーツ“炎月”


 一連の動作を流れるように行うと悠人は木刀で肩を軽く叩きながら口を開いた。


「……こんなもんか」


 一人事をいいながら自らが訓練に使った人形と木刀を片すとパンパンと手を叩いた。


「やあ、神崎くん」

「ん? ……何だ長谷川か……。何のようだ?」


 悠人の背後から声が掛かった。首を曲げて後ろを向くと長谷川が俺を見下すよう・・・・・に立っていたのが目に入る。彼の後ろには取り巻きの赤沢や高木などのクラスの男子たちもいるのがわかった。


「いや、たいしたことじゃないさ。神崎くん。僕と模擬戦をしないかい?」

「……何故だ?」

「なに、只の力試しだよ。……何か? 負けるのが怖いのかい?」


 悠人の事を嘲り笑いながら長谷川は立てかけてあった木刀に手を伸ばした。木刀を手で弄びながら訓練場の中央付近まで歩いていく。


 ……多分、これを断るとさらに面倒なことになるだろう。


 ここ最近──悠人たちがアークスフィアに召喚されて以降、長谷川は無駄に増長している。加えて、悠人が澪華たちと話しているのが気にくわないのだろう。彼をよくハブっている。


 先ほどまで使っていた木刀を手に取ると長谷川がいるところまで歩く。長谷川の目の前に着くと握っていた木刀を正眼に構える。


 長谷川は右半身を少し引くと、木刀を肩に担ぐように構えた。


 ジリジリと皮膚が熱を発し、靴で地面をにじる。


 痺れを切らしたのか、先に動いたのは長谷川だった。


「ふっ!」


 右足で地面を蹴ると悠人に肉薄。地面すれすれの軌道から顎目掛けて斬撃を放った。バックステップで剣閃を避け、カウンター気味に駆け出した。


「ラァッ!!」


 掛け声と共に長谷川の目の前に跳躍すると剣を横に振り抜いた。


 長谷川は剣を当てていなすと、顔に目掛けて突きをぶっ放してくる。顔を右にずらして避けると悠人は、体のバランスを崩した。


 長谷川がこの隙を逃すまいと大きく剣を振りかぶった。


 ニィッと悠人の口の端がつり上がる。


 悠人の右足を黄色の光が包みこんだ。バク転の要領で蹴りを放つと、大技を放とうとしていた長谷川の腹に黄色の軌跡を描いた蹴りが見事に命中、刹那の間宙に浮く。


 その隙に胴体に斬撃を食らわせると、後ろに駆け出して距離を取った。


「ゴハッ!」


 長谷川にダメージが通ったのを確認すると、木刀を肩に担いでトドメを刺すべくスキルアーツ発動モーションをとった。


「────クソがッ!

 世界を構成する五大元素の一つ、偉大なる始まりの炎、火の精霊よ。

 司るは南。その役は槍。

 我が元に集いて眼前の敵を焼き払え!」


 しかし長谷川は憎たらしげな視線を悠人に向けると、魔力を手のひらに集中させた。ゴウッと小さな炎が現れ、瞬く間に巨大な火の槍へと変化する。


「──潰せ、フレイムランス!」


「!? チィッ!」


 長谷川が魔法を使って来たことに驚くと同時に回避行動を取った。クソッ! 避けられねぇ!


 本能的に両腕をクロスする。そして、両腕を淡い水色が包みこみ火の槍が当たるより前に、全身を激痛が貫いた。


「あ、ガァァァアアアッ!!」


 ズガンッ!! と爆音を撒き散らしながら両腕に寸分違わずに直撃した。威力の余り、悠人の体は病葉の如く壁までぶっ飛ばされ、その勢いのまま壁に激突した。カハッ……と肺から空気が絞りだされ、地面に倒れこむ。


 立ち上がろうと腕に力を込めると、右腕に激痛が走った。カクンッ と糸が切れたように体から力が抜けた。


 着ていた服は焼き焦げ、右腕は有らぬ方向に折れ曲がっていた。しかし、王国から支給された服のお陰か、奇跡的に火傷は免れていた。

 ……ガ、ァ! クソが、腕が折れてやがる!


「弱い、ねぇッ!」

「ガッ!」


 そう言って長谷川は俺の腹を蹴ると再度体は宙を舞った。壁に当たって一度リバウンドすると再び地面に倒れこむ。

 グガァ……ッ! と悠人は全身を蝕む激痛の余り低く呻いた。


「何をしているんですか!」


 訓練所のドアが勢いよく開くと、怒気の混ざった声が訓練所に響いた。


 長谷川が驚いてドアの方を向くと、一層驚愕に顔を歪ませた。悠人も首だけを曲げてドアの方を向くとシルヴィア姫がこちらへ走って来るのが目に入った。


「ユートさん! 大丈夫ですか?」

「く、シルヴィア姫……」

「ハセガワさん! あなた何をしているんですか!」


 シルヴィア姫は俺に走り寄り、悠人の怪我を見ると顔が怒りに染まっていくのが解る。キッと長谷川を睨むとそう問い詰めた。


「只の訓練ですよ。それにコイツが弱いのが悪いんですよ。なあ────皆ぁっ!」


 長谷川はシルヴィア姫の尋問をのらりくらりとかわすと大仰に両腕を伸ばして大声で叫ぶ。それに同調するようにして後ろの取り巻きからも賛成の声が飛んだ。


「そうだそうだ!」

「スキルがねぇんだもんな!」

「ククッ! ダッセェー」


「あなたたちっ!」


 シルヴィアは下唇を噛むと、悠人を抱きかかえながら悔しげに呻いた。


 長谷川たちはクラスの中でもトップクラスの実力を持っている。恐らくシルヴィアでは手も足も出ないだろう。返り討ちにされるのがオチだ。


「……大丈夫です、シルヴィア姫。これは、只の訓練ですから」

「……しかし!」

「……俺は、大丈夫だから」


 地面に木刀を突き立てて杖代わりにして立ち上がると、シルヴィアに向かって弱々しく微笑んだ。


 それをみたシルヴィアは何かを諦めたように一度ため息をつくと、優しげな微笑を浮かべた。


「はぁ……解りました。せめて、治療くらいは受けてください」


 ふらふらと揺れている悠人に肩を貸そうとするが、それを遮るようにして長谷川が声を上げた。


「あれ? なにをしているんですかシルヴィア姫。そんな敗者に付き合ってないでこっちに来てくださいよ」

「……あなたという人は本当に……ッ!」


「大丈夫です、一人で行けますから」


 シルヴィアが怒りを見せる前にそう言うと、長谷川たちに聞こえない声量で囁いた。


「(ここで貴女が俺につくと、後でシルヴィア姫の立場が危うくなります。俺は大丈夫なので、気にしないでください)」

「(気にしないでって、あなたは一体なにをいって……!)」


 一方的にそう言い切ってシルヴィアの肩に手を置くと、訓練所を出て、すぐ近くにある治療室へと赴いた。


 治療室に常駐している治癒魔法使いに頼んで傷を治して貰うと、自室に戻って何をする間もなくベッドへと倒れこんだ。




 ✳︎✳︎✳︎




「……で、これはどういう状況だ?」


 悠人は目の前で瞬く間に展開されていく現状を見て頭が痛い、とでもいうように眉間に人差し指を当てながら、一人呟いた。


 下町で有名な服屋で澪華たちが服を選んでいるのはいい。その選ばれる対象が悠人でなければ、の話だが。


 着回し人形の如く様々な服を着ては脱ぐこと指では数え切れないほど繰り返し、最終的に選ばれた服装は小豆色のカーディガンに灰色のニット、黒のチノパンだった。


 それはもう過ぎたことだから別にいいのだが。ただSAN値をガリガリ削られただけであって、問題はそこではなかった。


 それは、澪華と詩織先輩に両腕を取られている、ということだった。なおかつ二人の間で火花が散っている気がするのは気のせいだろうか。気のせいだと思う。異論反論があれば認める。


「悠くんは私と一緒に歩くんです!」

「いや、ここは年長者である私の出番だろう」

「なにおう! 私が一番付き合いが長いんだからここは私の出番です!」

「ほほう? 言うじゃないか」


 道のど真ん中で二人の美女・美少女が言い争っていたら注目を集めてしまう。その間に挟まれてる悠人に男からの視線が突き刺さるのは突然の帰結だった。


 なんやかんやで結局二人が言い争っているうちに結局瑠夏が悠人の手を握って歩いていくことになっていた。しかも、背中には霞がのかっていた。なんだこの状況?


「あ、ゆうくんあれあれ! あれ食べたい!」

「わかったわかった。行くから腕を引っ張るな」

「れっつご〜〜」


 瑠夏が悠人の腕を掴んで屋台の一つに向かって引っ張っていく。それを苦笑いしながら着いていく悠人。その背中に乗っかっている霞は覇気の無い声でそういいながら指でそこを指していた。あまり気にしていないのさ。ちょくちょく胸が後頭部に当たっている。ヤベェよヤベェよヤベェって。なにがヤベェってよくわからん。

 

「うふふふ……ゆうくん? ……なにをしているのかな?」

「う、うらやましい……」


 ……そうだ。俺はなにも聞いていない。


 修羅場と化したその場所に立つ悠人は、全身を、男たちの嫉妬の視線で貫かれていた。当の本人である悠人はそれ機にする余裕すらなかった。


 屋台でバケットサンドのようなものとドリンクを人数分購入すると、近くにあった広場へと向かった。



「「ゆ、ゆう(悠人)くん!」」

「なんだ?」

「私のタマゴサンド、食べる!?」

「私のレタスサンドを食べるかい?」

「そうだな、頂こう」

「あ、ゆうくん。私のも食べる?」

「…………(スッ」


 目の前に突き出された四つのバケットサンドに対して、お、おう……と若干戸惑っていると、より一層強く押し付けられた。


「…………一つ聞きたいのだが」

「ん? どうした?」

「どうして、瑠夏と霞は俺の膝の上に?」


 そう、何故か二人は悠人の膝の上におり、先程のやり取りも全て膝の上で行われていた。澪華と詩織は腕に絡みつきながら双方ともにニッコリ笑顔で微笑みあっている。ナンダコレ。


「……むふぅ。……ここ、特等席」


 なんか勝手に決められていた件について。霞、特等席もなにも、そもそも悠人は椅子ではない。頼むから普通の椅子に座ってくれ。心臓に悪い。瑠夏もコクコク頷くな。


「椅子なら他にもあるだろう」

「……違う。……座り心地もいいけど、それじゃない」


 そう言って霞は悠人に背中を預けて首を曲げて悠人の顔を真正面から見つめる。花のような笑みを浮かべていった。


「……なによりも、悠人が近くにいる。……これが、何よりの贅沢」

「そ、そうか」


 プシューとでもいう感じに悠人の顔が真っ赤になった。それを見た澪華、詩織の二人が二の腕を抓った。


「うふふふふふふふ……」

「……(ギリギリ」


 怖い。




 女子四人で話し合いがある、ということで厄介払いされた悠人は一人寂しく大通りを見て回っていた。


 ナイフでジャグリングしている大道芸人や、地面に風呂敷を広げてその上に道具の類を乗せて売っている者。珍しい食材や料理を見て、ほう、と悠人は感嘆の声を漏らす。


 それでも先程まで悠人の周りにあった、喧騒が嘘の消え去っていて、少し寂しかった。


 トボトボと一人歩いていると、そこの御仁、と後ろから声。首を傾げて声の主の方を向くとローブを纏った老婆が座っていた。


「一つ、占っていかんかね?」

「結構だ」

「そう言いなさるな。すぐ済む」


 無言の威圧をかけてくる老婆に対して一度ため息をつくと、踵を返して座っていた机の前まで歩く。


「幾らだ?」

「二〇〇コルじゃ」


 ポケットから取り出した金を机の上に置く。すると老婆はそれを掴んでローブの中にしまい、悠人に椅子に座るように勧めた。

 悠人が椅子に座ったのを見ると、


「よし、では、始めるぞい」


 老婆は水晶に手を当てた。お主も手を置きなされ、と促されたので、悠人も左手を水晶に添えた。


 水晶から暖かい何かが体に入りこんできた。『それ』はグルグルと全身を巡り、何周かすると、まだ開ききっていないホースに強引に水を流し込むようにして、何かが開いた。


 ビリビリビリビリッ!! と全身を電気が駆け抜けるような衝撃が貫いた。続いて、身体中の至る所が熱を発し始め、体の内側から火であぶられるような激痛が走る。


「──あ、ガァァァァァァァアアアアアアアッ!!」


 思わず声を張り上げてしまった。目の前にいた老婆が目を見開くと、グッと全身に力を込めた。


 体の中に流れていた『何か』が急速にその形を変えていく。


 その『熱』が何秒くらい続いたのかわからなかったが、急速にそれが引いていき全身を蝕んでいた激痛も嘘のように消え去った。


(──何、だ。今のは)


 目の前にいる老婆を質問攻めにしたい衝動に駆られたが、全身を貫いた熱の余韻で喋るほどの余力が残っていなかった。


「ほう、お主はとても強い光を放つ星を持っておるの。

 星──というのは、魂を表わしたものじゃ。そして、それを見るのが、この占いじゃ。

 お主の星は、力強い深紅の光を、黒に近い青が押さえ込むようにして包み込んでおる。形は澱みのない球体じゃ。

 ……恐らくお主は、近いうちに闇の中に堕とされる。しかし、そこで諦めてはならん。その中で光を見つけるのじゃ。

 そして、深く、大きい翼を身につけることとなる。その翼は健やかに成長し、全てを包み込むほどの物になるじゃろう。多くの人の希望となるか、絶望となるか……それはお主次第じゃ」


 何を言っているのか全く分からないが、貶されてはいないようなので良しとする。


「じゃが、まあ、今の話は無数に分岐する未来の中の一つにしか過ぎん。ワシの話を聞いたことでその未来に近付いただけじゃ。幸運を祈るぞい」


 そう言って老婆の前にあった水晶が一度、淡く光ったかと思うと、全身に力が漲った。


 なん……っ!? と、声にならない声を上げかけながら何度か瞬きすると、目の前にいた老婆は消えていた。


 元からそこには、何もなかった、とでもいうように。


書いてて悶え死にたくなりました。恋愛シーン恥ずい。


 感想、評価、誤字脱字の指摘、お待ちしてます、

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