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二度あることは三度ある(ただし二回目):4

すいません短いです

しかも説明会です


 ──『白』。


 圧倒的な『白』が、その場を支配していた。


 そこは、上下左右全てが『白』かった。足が床につく感覚がない。宙に浮いているようだ。


「ここはどこだ……?」


 全身を総毛立たせながら周囲に注意を払う。自らをその空間と同化させ、これによって真っ白の紙に炭を塗るときのように、周囲の気配が『理解できる』。


 そう。猫一匹逃げられない、はずだった。


「やあ、ユート・カンザキくん。元気?」


 唐突に告げられたその声に、全身が強張った。


 気がつけなかった。

 認識できなかった。

 理解、できなかった。


 ギギッ、と壊れた人形のように恐る恐る首をを曲げて後ろを向く。


 そこには、


 白い羽衣を纏った、純白の女性が立っていた。


「……お前は、何だ(・・・)?」


 俺は何時でも対処できるよう身構えながら相手を見据える。


「……神様に向かってその言い方はないんじゃないかなぁ? ……まあいいや、ボクは【輪廻転生と次元を司る神】ことみんなのアイドル・セラちゃんだよー!?」


「そうか【神】か。……テメェぶっ潰すぞこっから返しやがれ」


 悠人は勢いよく啖呵をきった。


 冷や汗でシャツが汗ばみ、ジリジリとバッシュで地面をにじった。なにが起こっても対処できるように、全身を研ぎ澄ます。


「いやー、その……ごめんなさい!」


 セラは勢いよく頭を下げたいた。


「…………なに?」


 流石にこれは予測できなかった。


 悠人はいきなり頭を下げたセラに対し、頓狂な声をあげた。目をまん丸にしながらセラを見つめる。


「さっき君達をこの世界に移した時、手違いで君にだけスキルを渡してなかったんだ。本当にごめん!」


「……いや、待てよ、確か俺のステータスにはスキルがあったぞ。【限界を超えて進化せよグレア・エヴォルツィア】ってのが」


 悠人は自分のステータスを思い出しながらそう問う。


「……それは君が元から持っているスキルだよ」


 ふむ、とセラは顎に手を置いて一頻り唸ったあと、思案顔にのままそう言った。悠人は眉根を寄せながらセラを見つめる。


「……どういうことだ?」


「えっと、まずはそうだね。人には魂があるのは知ってる? まぁ、知らなくてもいいんどけど、その魂は一人一人違うんだ。そしてその魂がスキルを持っていることがある。それがスキル。だから何かしらの条件を満たさないと増えることはないんだよ」


「そうか……。ならば今からただの【スキル】を付与することは出来ないのか?」


 俺は今、思い付いた疑問をセラにぶつける


「……ごめん無理」


「そうか……ならステータスはどうなんだ?」


 そう言うと俺はポケットにしまっていたステータスプレートを取り出すと「【ステータス】」と言って表示させてセラに放る。おっと、と両手を伸ばしてキャッチした。そのままステータスプレートへと視線を落とす。


「……な、何でこんなに高いのさ!? 私達、君に力を付与してないよね!?」


「知らん」


 即答だった。


「確かにアークスフィアと地球じゃ格が違うから能力値も桁違いになるはずだけどさ……。ボクたちがスキルを付与してないから、その恩恵を受けてないのにこの高さは何なのさ! ……君は一体何者何だい?」

「何処にでもいる普通の人間だ」

「いやそれはないから」



 ゴホンッとわざとらしく咳払いをすると、仕切り直しに質問をセラにぶつけた。


「それはともかく質問がある」

「いいよ、答えてあげる」


 セラはふふん、と無い胸を張りながらそう答えた。若干苦笑しながら、セラに質問を飛ばす。


「ここは何処だ? 何故俺はここにいる?」

「ここは次元の狭間。ここは私の一部でもあり、私はここの一部でもあるんだ。ここに君を呼んだのは謝罪とこの世界の説明をするためだよ」


「そうか、じゃあ始めてくれないか?」


「オーケー、それじゃあ始めようか。

 まず君たちがこの世界に呼ばれた理由からだね。

 君たちが住んでいた【地球】という世界はこの世界【アークスフィア】より上位に位置しているんだ。つまり、アークスフィアに存在している人達より、総じて【魂】の強度や器がとても大きい。だから君たちがアークスフィアに来る前にこの世界の魂の規格に合わせるんだけど……君にはやって無かったんだ。ごめんね」


「それはもういい。続けてくれ」


「うん。アークスフィアは地球でいう中世ヨーロッパ位の文明だよ。苦労するかもしれないけど魔法っていう優れものが在るからね。何とかなると思うよ。

 アークスフィアは人界、魔界、獣界の3つが存在していて人界と魔界は互いに対立しているんだ。あと次いでに神界っていうのもあるよ。まあ、これは完全に別の世界に存在しているんだけどね」


 セラは悠人が話について来られているのを確認すると笑みを深めながら、


「次にスキルと魔法。スキルっていうのは簡単にいってしまえば技能のことだよ。スキルにもレベルがあるんだ。Lv.1が才能があるっていうこと。スキルLv.2~3が初心者。スキルLv.4~5が一般的に一人前位。スキルLv.6が上級者でスキルLv.7が達人。スキルLv.8が化け物っていっても差し支え無いレベルだよ。あとスキルLv.9が伝説でスキルLv.10が神話だけどここまで来る人は殆どいないねぇ。ああ、あとスキルにはそれぞれ【スキルアーツ】っていうのがあるよ。これはレベルが上がるほど威力も種類も増えていくからね。ユニークスキルはさっきいったとうりだね。但しユニークスキルにはスキルLv.はないから気を付けてね。

 あとは魔法か。これはまぁ“マナ”って呼ばれる世界の生命力か、“オド”という自らの生命力を魔力に変えて『異世界のルール』を『この世界のルール』に適応させて神秘を起こす術式のことさ。君はまだ魔力回路が開いてないから魔法を使えないみたい。

 これで説明は殆ど終わったけどまだ質問はあるかい?」


「もちろん。まだまだあるぜ」


 悠人はセラにアークスフィアに対する質問や魔法の体系などありとあらゆる質問をした。


「……そういえば俺がこの世界で過ごしたとしても問題はないのか?」

「問題ないはずだよ。だけど今君の魂はアークスフィアの理を半分ほど越えてしまっているから、ステータスプレートには全部表示され無いけど……対したことじゃないから安心していいと思うよ」


「そうか、解った。それじゃあそろそろ帰してくれないか?」


「了解。それじゃあまたね」


 そう言うとセラは金色の粒子を纏わせた手を右から左に振り抜く。すると、ここに呼ばれた時と同じように目の前が白く塗り潰された。



 セラは一人、大きくため息をついた。口の端を吊り上げて楽しげに笑いながら、零す。


「あの子の才能が全て開花したら……ボクたち神なんて普通に越えてしまうだろうね。はぁ、また創造神さまに怒られちゃうよ……」


 ま~た説教か、とセラは愚痴る。


「まあ、いいさ。ボクたちを楽しませてくれよ。ユート・カンザキくん……」


 新しい玩具を見つけた子供のように楽しそうな瞳で虚空を見上げた。


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