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031 信仰心の高さ
試合終了後の鬼崎は40歳を超えたから続けている儀式をしていた。それは野球の神様との対話である。瞑想をしながら、自身の体に神を降臨させる行為は決して周りの人間が見ている以上に不自然な行いではない。自分自身の魂の中に神様がいると真面目に信じて、日々の練習に取り組む姿勢は鬼崎の内面に若さを生み出すエナジーとなっているのは言うまでもない。そもそも神様でいられれば、年齢など関係なくプレーを続けられる。彼は所謂不老不死なので、自分が追いも止めている生涯現役の言葉にぴったりなのだ。自分の体に野球の神様が乗り移っていると固く信じる事によって、必ずや成長できるのだと信じる訳だ。特にメジャーリーグにはキリスト教徒やユダヤ教徒などの信仰心の高い者はいくらでもいるので、鬼崎の行っている儀式は何ら不思議ではなく、むしろやって当然だと思われているレベルなのだった。




