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018 気持ちの変動
鬼崎はチームメイトとも距離を開いて野球に取り組んでいるため、尚更孤独感に苛まれるようになっていた。社会人として野球をするのならば馴れ合いはいらないと、先輩や後輩の食事の誘いもほとんど断って、自らを高めるための時間に費やしてきた。そのおかげで、70歳という高齢を迎えてもメジャーリーガーとして試合に出場できるようになっていたのだが、ここにきて他人との触れあいも多少は大事なんじゃないかと思えるようになった自分がそこにいた。昔は自分だけの事を考えていて、他人に時間を合わせるのが苦手としていた鬼崎が初めて女という生き物に興味を抱いてきた。この気持ちの変化は一体何なのか。しばらくは自問自答が続きそうである。




