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仮面舞踏会

作者: 衣乃 城太

仮面舞踏会、その昔貴族達が身分を隠して、夜の社交場を無礼講で楽しむ…………とまぁ、大体はそんな感じだ。

 今でも言葉は残っていて、僕はその、仮面舞踏会とやらにキョウハジメテ招かれた。実際は知り合いと喧嘩して、そんな気分ではなかったのだけれど、せっかくなので気分転換がわりにいってみることにした。


 持参するものは顔を隠すためのマスク。なんでもいいと書いてあったので、家に《たまたま》あったプロレス用の覆面マスクにした。浮くかな、と思ったけれど、会場に入ったらそんなことはなく、蝶のマスクから馬の被り物、普通の風邪のときにつけるマスクとサングラス、只パーカーを目深に被ってるだけの人もいる。

 舞踏会、とあったけれど踊ってる人はいない。立食形式のパーティーみたいな感じだ。これはちょうどいい食費が浮くと、僕は一番食べ堪えがありそうなローストビーフの前にふらふらと火に入る虫のように寄って行った。

 その時だった。皿の割れる音が響く。誰かが叫んだかもしれない。

 その場にいたほとんどの人が、音のした方へ向く。底には(マスクやらをしているけれど)目を血走らせた男達が何人も睨みあっていた。どうやら喧嘩らしい。



「俺は気に入らない! そもそもこれ自体がな!」

「お前らみたいなのはすぐにそう言う!」

「そもそもこんな物を加工したやつの気が知れない!」

「加工会社は悪くない! 悪いのはそれを作り出した奴だ!」

「なんだこれは! 箱だけか!」

「うるせぇんだよ! 気に食わねぇ奴は帰れ! 半端な気持ちで触るな!」

「販売会社の自社製品だろこんなの! 金が払えるか!」

「『振り込めない詐欺』って言ってたのは何処のどいつだ!」

「こんな売る価値もないものを!」



 五月蝿かった。折角のローストビーフの味が落ちる。文句を言おうと足を一歩前に出したところで

「やめておけ」

 ドレスを着た女性に止められた。この女性はインドとかにある前掛けで顔を隠しているが、なるほどこれはわからない。

 誰だ。

「あの喧嘩に誰が何を言おうと無駄さ。むしろ何を言っても油だ。火にしかならない。ここはこのパーティーが終わるまで待つしかないのさ」

 僕の美味しいローストビーフはどうなるのか

「我慢したまえ。そもそもあの喧嘩に終着点はない。自分達の言いたいことをただただ繰り返しているだけさ」

 誰も聞いてないなら言っても意味無いじゃないか

「意味は無くないさ。そもそも喋ることが目的なんだ。聞いてもらうことは目標にすらないさ」

 その二つ、ごちゃごちゃになるよな

「そうだね、中々いいセンスをしてる。さて、あの喧嘩、元々はなんの話だったかわかるかい?」

 ???

「宝石だよ。一つの宝石をめぐって上へ下への大喧嘩さ。全く惨めだ」

 なんでこんなことに

「そりゃ簡単、ここが仮面舞踏会だからさ。皆正体が分からない。自分が誰かさえもばれない。それなら言いたい暴言を言いたくなるのも当然だろう。まぁ、割ろうと思えば、ここにいる全員の素性なんかすぐにばれるけどね」

 そもそもこんなパーティーやめてしまえばいいのに

「確かにあんなのは日常茶飯事さ。だけどここは消えない。1つは完全に無くすにしては規模が大きすぎてしまうこと。もう1つは金になることだ」

 金に? 完全無料のこのパーティーが?

「完全無料な訳ではないさ。基本無料、というやつだ。ビール二杯目以降一杯100円とか。君の持ってるローストビーフの、新しく焼けたやつを優先的に食べられる権利100円とかね」

 それが金に?

「小さいと思うかい? でも塵も積もればなんとやらで、こういうお金が集まって、ここは一夜にしてものすごい数のお金が動くのさ。帰り際に外の物品を見てごらん。そこでも色んなものが売っている」

 はぁ、なるほど。

「まぁながったらしく語ったけれど、私が言いたいのはあそこの喧嘩は見苦しい。どうして『この宝石は美しい』の一言が言えないのか」

 美しいと思えないからじゃないのか? 美的感覚は人それぞれだ

「そうかもしれない。でも、モナリザをみて、『下手くそ』と罵るひとは一人もいないと思うんだ。あぁ、こんな時間か。では失礼するよ」

 女性は、時計を確認すると、持っていたグラスを僕に押し付け、言った。







 また明日。





はいどうも。衣乃城太でごさいます。

電脳ファンタジーシリーズ第2弾(今考えた)。

仮面舞踏会、如何だったでしょうか。

なにがいいたいかというと、コメント煩いんですよね

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