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DRAGON MASTER  作者: ALICE
ドラゴンと昇格審査
7/37

前日の最悪

昇格審査前日の朝、食堂には、4,5人の生徒しか居なかった。殆どの生徒は、朝から訓練に行っているようだ。

レイズはいつもの左から三番目、真ん中辺りの席に座ると、欠伸をしながらパンをかじっていた。

すると、赤くて少し長い髪を適当に後で結んだ、アミノが隣に座った。


「よ、レイズ!ああー、朝から疲れたーーぁあ!!」


「朝から元気だな…。訓練か?」


「そうそう。あ、ちょっと見てくれよこれ!!」


そう言ってアミノが見せたのは、厳重に包帯の巻かれた左腕だった。


「俺のドラゴンぜんっぜん言うこと聞かなくてさ!これもアイツのブレスがかすったんだ。」


「お前のドラゴン何て名前だっけ。」


「パズだよ。なぁ、お前急にリックと仲良くなったよな。どうやったんだ?」


アミノがそう聞くと、レイズはニヒッっと笑うと、


「『ドラゴンの気持ちになれ』。」


と言って席をたった。「あ、これサクラの受け売り。」


「え、おい、わかんねーよ!ってかサクラさんの受け売りってどう言うことだ!?」







食堂を出たレイズが獣舎に向かおうと歩いていると、中庭で大あくびをしているバリィを見つけた。


「あ、おーい、バリィ!!」


「おお、レイズ。おはよう。」


バリィはレイズに向かって、ヒラヒラと右手を振った。


「あ、そうだ。バリィ、ワイバーン用の騎乗帯ってどこにある?」


「えーっと、あっちの倉庫だったかな。俺もあんまり行ったことねぇから分かんないけど、多分あっちだぜ。」


バリィはそう言って獣舎の左側にある、大きな建物を指差した。


「オッケー、サンキュ!!」


「飛翔許可も忘れんなよー!!」


レイズはバリィに適当に手を振りながら、走っていった。







「えーっと…ワイバーン、ワイバーン用の騎乗帯はっと…。」


レイズが倉庫の中でガチャガチャと物を引っ掻き回していると、急に後から突き飛ばされた。


「うわっ!!」


勢い余ってレイズは尻餅を着いてしまった。

見上げたレイズが見たものは、くるっくるのオレンジの巻き毛に、猫のように吊ったマリンブルーの瞳を持つ、細身の少年だった。


「フリック!!何すんだよ!!」


レイズがそう怒鳴ると、フリックと呼ばれた少年は、


「ふん、お前みたいなのに騎乗帯は必要ねぇだろ。最近やっと上手くいってるようだが、そんなんじゃ次の審査もどうせダメだろ。」


と、レイズを完全に見下した眼で見てきた。

レイズがギリ、と歯を食い縛ると、フリックはそんなレイズを鼻で笑い、


「じゃーな、落ちこぼれ。せいぜい次の審査はドラゴンに触れるといいな。」


と、言ってドラゴンの騎乗帯を持ち、倉庫から出ていった。


「くっ……………っそぉ!!なんだよアイツ!!最近入ってきたばっかのくせしてぇ!!」


レイズは散々倉庫で怒りをぶちまけると、近くにあった騎乗帯をひっつかむと、どすどすと足音を鳴らしながら倉庫から出ていった。







「リック!!行くぞ!!これから飛翔訓練するからな!!」


リックはレイズの気迫に驚き、一瞬後ずさったが、大人しく背中に騎乗帯を付け、レイズを乗せた。


「よーし、リック、飛べ!!」


レイズがそう命じると、リックは力強く地面を蹴り、大空へ舞い上がった 。リックはぐんぐん高度をあげ、養成所が小さくなっていった。


「うわーー!!スッゲェ!!」


空からの景色は、地上で見るものとは違っていた。

青く、何処までも広がり、日の光をキラキラと反射する海。新緑に満ちる山々。眼下に広がる小さくなった街並み…

全てが新鮮で、美しいものだった。

そんな景色にレイズが見とれていると、リックが急に高度を下げ、右に逸れた。


「うわっ!リック、どうした!?」


するとその瞬間、さっきまでいた場所に巨大なブレスの弾が飛んできたのだ。

レイズが驚いて、言葉を失っていると、左側から楽しそうな笑い声がした。


「はははははっ!!なんだその避け方!おもしれー!!」


「フリック!!飛翔訓練中にブレスを吐くのは違反だぞ!!」


「はっ!!悔しかったらお前もやればいいジャン。」


そうフリックが挑発すると、リックが怒りだし、フリックに向かってブレスを吐こうとした。が、


「ダメだリック!!落ち着け!気にするな。養成所に戻ろう。」


と、レイズが止めた。リックは暫く興奮して落ち着きが無かったが、やっと冷静を取り戻し、養成所の方向へ向きを変えた。


「ふん、つまんねーの。逃げるんだ。」


「何とでも思えばいい。どうせ結果が出るのは明日だ。」


レイズはそう言うと、リックと共に養成所へ戻っていった。







その日の夜、レイズはアミノの部屋に来ていた。


「くっそ、絶対明日アイツの事見返してやる!!」


「そうだぜ!俺だってお前のアドバイスで今日だけでパズとかなり仲良くなったんだ!!俺らなら行ける!!」


「そうだよな!!よーっし!!絶対明日は二人で合格するぞ!!」


二人はそう言うと拳を高々と上げ、気合いを込めた。


明日は昇格審査。だが、空には怪しい雲が広がりつつあった…

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