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DRAGON MASTER  作者: ALICE
ドラゴンと昇格審査
3/37

ドラゴンクイーン現る

どれくらいボーッとリックの小屋の前に居ただろうか。昼の合格者発表から見て、辺りは薄暗くなっていた。

他の生徒とドラゴンは訓練に行っているのだろう。獣舎のなかはしん、と静まり返っている。

すると、入り口の方から一人の足音が聞こえた。

誰か帰ってきたのか。そう思って後ろを向くと、見たこともない少女が立っていた。

黄色いシャツに白の短いベスト、ダークグリーンのショートパンツに、長い髪を一部リボンで止めている。レイズがポカーンと少女を見つめていると、少女もこちらに気付き、


「こんにちわ!!」


と、屈託のない笑顔で話し掛けてきた。


「ど、どうも…」


「こんなところで何してるの?」


いや、こっちの台詞だよ。と、レイズは思ったが、特に言う必要も無いだろうと思い、さっきの事を話した。

少女は少し悩んでから、


「ちょっと入るね。」


と言って、リックの小屋にいそいそと入っていった。


「ちょっ、待てって!アブねーよ!!」


慌てたレイズが必死に止めるも、少女は既にリックの目の前に立っていた。

もし、リックの機嫌が悪かったら、こんな華奢な少女など一撃で仕留めるだろう。

ましてや自分のようにグローブもドラゴン用のジャケットも着ていないので尚更だ。

レイズが慌てふためいているなか、少女は細い腕を躊躇なくリックに伸ばした。


“喰われる…!!”


レイズが小屋に飛び込もうとした、その時。

信じられない光景が現れた。

なんと、リックが少女の伸ばした腕に、頬を擦り付けているのだ。


「よしよし、いい子だね!」


少女はリックの頬を優しく撫でると、そっと小屋から出てきた。

少女は唖然としているレイズを見て、


「あの子、少し神経質みたいだから、接するときは優しくしてあげるといいと思うよ。」


そう言って、笑った。


「あ、ありがとう…」


レイズがそう言うと、少女は「じゃあね♪」と言って、手をヒラヒラと振り、立ち去っていった。


「誰だったんだ…、アイツ…」


レイズがそう呟くと、丁度夕食のチャイムが鳴った。







生徒達は夕食を全員で食堂で食べることになっている。今日の夕食は、パン、鶏肉のトマト煮、サラダだ。

レイズが6列あるテーブルの3列目、真ん中の辺りに座ると、隣に一人の少年が座ってきた。


「よっ!レイズ!また一緒だな!!」


「お前も落ちたのか、アミノ」


アミノと呼ばれた少年は、ははは、と笑ってパンにかじりついた。


「ふぁあ、へもへいふふぁいふぇ、ほふぁっふぁふぇ(まあ、でもレイズが居て良かったぜ)。」


「なに言ってっかわかんねーよ。」


レイズがアミノを適当にあしらった時、丁度食堂の扉が開かれた。

静まり返る食堂。開かれた扉からは、リドとバリィが入ってきた。


「そう言えば、ドラゴンクイーンが来るらしいな。」


そう言えばそうだった。レイズはそう思いながらも、自分には関係無い、と水の入ったコップを口に運んだ。


「えー、皆のなかにも既に知っている者も居るだろうが、今日からドラゴンクイーンであるサクラ殿に特別講師として、次の審査までおいでいただくことになった。お前達、失礼のないようにするように。

それでは、サクラ殿に挨拶を頂く。」


リドが横に退くと、扉が開き、一人の少女が入ってきた。


「ぅぶっっ!!えほっ!ゲホっゲホっ!!」


「うわっ!!汚ねぇ!!何すんだよ~!」


レイズは少女の姿を見た瞬間、盛大にむせた。そして、目の前のアミノの肩までの赤い髪に思い切りぶっかけた。

レイズがむせるのもしょうがない。

何故なら――

ドラゴンクイーンと呼ばれた少女は、夕方獣舎で出逢ったあの少女だったのだ。

少女はスカイブルーの瞳を細め、笑った。


「はじめまして!!今紹介にあがりました、サクラ・リスティエラです!よろしく!!」

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