94.ハーレム?
「紅くん!」
「はっきりしなよ紅!」
「紅、どういうこと」
「ねえ! どういうことなの紅!」
俺に迫る美少女四名。
九陰先輩、焔、輝雪、雪音。
いや、本当に、こういう状況でもなきゃちょっとにやけそうなほどハッピーな状況。
だが、この状況で俺の言えることはただ一つ。
「俺が知るか!!!」
俺はこんなフラグ建てた覚えは無い。
・
・・
・・・
遡ること数分前。
輝雪と一緒にアパートに帰り、生暖かい視線をその身に受けながら、とりあえず雪音の尋問はお開きになった。
問題が起こったのはその後。
「じゃあ紅、一緒にお風呂入ろ♪」
「ブフッ!?」
何言ってんの!? 雪音何言ってんの!?
「ちょっと! 何言ってんのよあんた!」
「え? 一緒にお風呂入ろって」
「そういう意味じゃ無い!!」
そして雪音に噛み付く勢いで講義を建てるのは輝雪。
いや、本当に助か
「じゃあ輝雪も入ろうよ」
「……ちょっと待って」
「いや、考えないで断われよ!!」
「いや、ちょっと惜しい気も……」
「何が惜しいの!?」
輝雪が壊れてる気がしないでもない。
「おい、月島」
「なに? 和也くん」
そんなやり取りをしていると、雪音は和也に呼ばれていた。なんだ?
「おま……あ……めると…………なか……か」
「い……けど…………こそぎ……り…………しょに……いん……よ」
「……んのい……いる……がむ……している……は」
「…………」
「……そうか」
何だ? よく聞こえん。
「ごめんごめん。待たせちゃった?」
その顔は少し曇っていた。何かあったのだろうか?
「待ってねえ。というか一緒に入る気もねえ」
「ケチッ!」
「ケチで結構! て、おい!」
腕に抱きつくな!
「ちょっと!」
「輝雪まで!?」
両腕が塞がった!?
やばい、こんなとこあいつらに見られたら「紅〜、いる〜?」マジかよ……。
「て、何やってるの!?」
「い、いやこれには深いわけが」
「私が紅と一緒に入るの!」
「あ、あんたなんかと入れさせるぐらいなら私が入るわよ!」
「……深いわけが、なに?」
「………………」
これは言い訳すればする程度坪にはまるパターンだと悟った。
ああ、もう、さっさと俺を解放してくれ。
「紅! 私と入るのよね!」
そもそもどちらとも入る気は微塵もない。
「だ、ダメよ! ……、そ、そもそも私は……コ、紅くんとキスだってしたんだからー!」
うん、そうそう輝雪とついさっきキスを……て、でええええええええええ!?
『えええええええええええええええええええええ!!?』
そこで驚く焔と何故か九陰先輩。
そして背後では生暖かい視線を送る舞さんと刀夜を襲う冷華さんに抵抗する刀夜。輝雪の顔は真っ赤だ。
というか、雪音は驚かないのか? と思い目を付けると、こっちも真っ赤になりながら口を震わす。
お、おい、お前、何を言うつもり……
「わ、私だって! 紅に告白してるんだからー!」
『えええええええええええええええええええええ!!?』
もう勘弁してー!!
「それってどういう意味!?」「そのままの意味よ!」「な、何で」「キスってどういうこと!?」「いつしたのよ!」「昼休みよ!」「二人とも行動早すぎ……!」「こ、告白!? ええ!?」「何であんたが!」「私のセリフ!」「な、何で……」「何なのよもう!」
口論を始める美少女。
雪音を見ながら訝しげな表情の和也。
微笑みながら見る舞さん。
貞操の危機の刀夜。
襲う冷華さん。
口論する美少女四名。
「紅くん!」
「はっきりしなよ紅!」
「紅、どういうこと」
「ねえ! どういうことなの紅!」
そして、現在。
「俺が知るか!!!」
この時、心の底から思った。
晶、助けてくんないかな。
と。
新たにアパートに加わった雪音。
こいつを中心にいろいろな騒ぎが勃発。
いや、本当に。どうにかして。
「もう風呂の中で話は聞くことにする!」「抜け駆けずるい輝雪!」「だ、ダメ! ハレンチ!」「そんなの絶対に認めないから!」
「ああもう! お前ら少しは静かにしやがれえええええええええええええええ!!!」
今の日々は、俺に優しくなかった。
-第八章・月島雪音との日常〈完〉-
ということで第八章終了です!
……おかしい。「月島雪音との日常」がこの章のタイトルなのに序盤は九陰が、後半は輝雪が目立ってる。何故だ。
そして全くの魔獣戦無し。いや〜、なんか新鮮。
さて、そろそろ締めたいと思います。
拙い文ではありますが、ここまで読んでくれている読者のみなさん。ありがとうございます。あなたたちが力の源です。
それでは、この調子で完結目指して頑張ります!




