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とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
普通だった日常
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7.これ、どこのクソゲー?

「はあ、はあ」


終わった…のか?


『はい。終わりました。“今夜は”」


「そっか。…今夜?」


夜にしか出ないのか?


『それについては後々説明していきます。それよりすみません。少し…眠…い……です』


それを最後に通信が途切れる。俺の体から光が放出される。それと同時に服装も戻る。放出された光は俺の目の前で形を作り始め元の女の子の姿へ戻る。

人の姿へと戻ったパズズは静かに寝息を立てている。


「今にして思えば、こいつ結構可愛いんだな」


猫を思わせるような黒髪。森下◯散と言えばわかる人もいるだろう。服装は漆黒のコート。肌は服に反比例するかのように白い。顔も整っており、一部の人なら放っておかないだろう。

ついでに俺はノーマルだ。


「にしても、景色が戻らねえ」


戦いは終わった。なのに景色が戻らない。どっかに離脱(リーブ)ポイント無えのかよ…。


「教えてあげようか?」


「おお!そりゃ助かる!」


「君がここに来る時最初に居た場所にあるわよ」


「最初に居た場所から戻れるって、仮面ライダー◯騎かよ」


「違う所はいつまでもこっちにいられる、敵を倒してからじゃないと出られない、こちらの内部時間は元の世界の約1千倍の三点かしら」


「1千倍て、どこの加速世界だよ」


「ついでに体の成長しないから安心よね」


「そりゃ安心だ」


「それより、そろそろ行かないの?」


「ああ、そうだった。教えてくれてありがお前誰だあああーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


「今更!?そして酷!?」


「く、自然に会話してくるから普通に話しちまってた。なんて話術だ」


「いやいや、君が鈍いだけでしょ。というか本当に気づかないのね」


気づかないて、ん?こいつどっかで…ああ!


「き、木崎!?どうしてここに!?」


そしてその「やっとか気付いたか」て感じの顔やめろ。


「それは私が“関係者”だからよ」


「か、関係者?」


「そ。まあ、詳しい説明は後にしましょうか。面倒だし」


おい。


「とりあえず明日…は休みか。だったら休み明けの学校でメアドでも交換しましょ。それじゃ」


「ちょ、待っ」


…本当に行きやがった。

にしても、“関係者”“武具になる少女”“巨大な狼”“異世界(?)”わからない事が多すぎる。

…まあ、いいか。とりあえず問題は、パズズだよな。どうすっか。

その時、パズズの体が光った。て、光った!?


「おいおい、戦闘は終わったぞ」


焦る俺をよそに、俺の予想とは全く違う方向に変化が起こった。

光が収縮し、別の形を作り始めた。そして実体化。


「…猫?」


うん。黒猫。魔女がいないのが惜しい。

にしても都合いいな。アパートのほうもペットOKだったし。…都合良過ぎるだろ。

まあ、いいか。帰ろう。


・・・

・・


「ただいまー」


(コウ)ー、お帰りーて、何その女神!?」


「は?女神?」


何言ってんだこいつ?焔は何を見てる…?


(コウ)それだよ」


「ん?」


晶が指差した先、俺の腕の中を見る。ああ、猫か。


「パズズか?」


「て、すでに名前決まってたの?」


露骨にガッカリすんな。


「あれ?紅、その名前誰が付けたんだい?」


「あ、それは」


そこを突っ込まれるとは思わなかった。


「訳ありかい?」


「ああ、まあ」


戦いのパートナーです。


「ならいいよ。とりあえず早く入ったら?」


こういう時、晶みたいな対処は助かる。


「おう」


「紅~、私にも抱っこさせて~」


それにしても、焔って猫煩悩だったんだな。


・・・

・・


朝、か。

やること無い。

でも二度寝はなー。

とりあえず体を伸ばし眠気を払拭する。二人は…まだ寝てるか。

とりあえずベランダに出るか。


「…おおー」


何か清々しい気持ちになるな。風も気持ちい。


「ふあ~」


隣の住人も起きたみたいだ。…ここのベランダしきりが無いからベランダ丸見えなんだよな。気にする事は無いにしてもちょっとは…ちょっと待て。


「…は?」

「…え?」


あっちも同じことを考えたみたいだ。


「何で木崎がいんの?」

「何で紅くんがいるの?」


わかりきった質問だ。同じアパートの隣同士の部屋を借りただけだ。

その時、俺の中で何かが崩れた。

俺が欲しているのは平和な日常。

俺が戦うのはその平和な日常を自分の手で手に入れるため。

俺にとっての平和な日常とは幼馴染とか友人とかとの平凡だけど楽しいひと時。

決して、昨日の化け物退治の“関係者”と部屋が隣同士になる事では無い。どちらかというと、いつもあの巨大な狼みたいな奴と戦う奴との日常なんて危険以外何者でも無い。

俺は膝から崩れ落ちた。


「え?何でそこで落ち込むの?私もビックリしたけどそのリアクションは傷付くんだけど!?おーい、おーい!」


俺の耳にはもう木崎の声は入ってこなかった。全く、これ、どこのクソゲー?

誰か、俺と立場変わってくれ。


-第一章・普通だった日常〈了〉-

これでプロローグ的な第一章は終了です。

次回からは二章です。これからも頑張ります!

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