73.葉乃矢防衛戦
「よお」
「あ、先輩」
「もう先輩じゃ無いだろ。…じゃ、行くか」
「こちら紅。護衛対象移動」
ただいま葉乃矢護衛中。
『こちら輝雪。私はやる気がありません』
…こんにゃろう。
「まあ、そうでしょうよ。普通」
うっせえパズズ。
『こちら焔。同じくやる気がありません。暇です。なので本屋行ってきます』
自由行動を許した覚えは無い。
『こちら晶。…みんな、少しはやる気出してあげようよ』
『こちら九陰。護衛対象確認』
流石は優等生コンビ。話がわかる。
『こちら和也。帰る』
「おいテメ!」
ブツッ。つーつー
「…蒼ってこんな人望無いっけが」
『…そりゃあ、いきなり襲われたら…ねえ?』
『雌豚に労力を割くほど私の体力は多くない』
「よし、焔覚えてろよ」
『輝雪は!?』
『ふっふーん。これが人徳ってやつよ』
「エルボスでは覚えとけよ」
『殺す気!?私を殺す気!?』
「まあ、輝雪なら大丈夫…て、護衛対象移動。追跡する」
『…確認。こっちも追う』
『ちょっとー!…全くもう』
まあ、冗談はこんぐらいにして、
「実際、どうするか…」
相手は蒼。はっきり言って、守れる気がしないのが現状。
…ゴリ押しでも通れそうだよな。
「…はぁ。これ終わったらみんなにケーキ作るよ」
和也には無いが。
『こちら輝雪。対象確認。まわりに不穏な気配無し』
『こちら焔。雌豚が考えそうな事こっちでも考えとく』
変わり身早っ!?
『あ、紅!』
「どうした晶!」
『女の子のスカートがめくれて葉乃矢くんが真っ赤になってるよ!』
「どうでもいいわ!」
なにそのイベント。あいつギャルゲーの主人公なの?あの子って攻略対象なの?
売り出すなら【白羽の矢が立つのは君】
…我ながら酷いネーミングセンスだ。売り上げは期待出来ないな。
『…紅』
「どうした九陰先輩」
『女の子が道に転がってる瓶を踏んづけて』
「はいはい転んだね」
テンプレのオンパレードだな。
『まだある』
「…は?」
『瓶を踏んづけて転んで目の前の脚立に当たって上からペンキ持った人が落ちて見事にペンキに当たって真っ赤になったと思ったら上から鳥の糞が落ちてきて最後に犬に吠えられてた』
「…多分、あいつが不幸なんd」
「おい大丈夫か!?お前、普段怖いぐらいに幸運なのになんでそんな不幸なわけ!?」
「わ、わかりませ〜ん」
「………」
『周りが不幸になる体質』
「輝雪うっせえぞ!」
『まさか、あそこまでピンポイントに』
『集中砲火』
『紅、酷い』
「待て待て待て!俺が悪い前提で話すな!」
『『『『だってねー』』』』
「…く」
済まん見知らぬ女の子よ。万が一、億が一だと思うが多分俺のせいだ。
『紅、どうやら服屋さんに行くみたい』
「そうか。焔、潜入」
『任せて!』
はぁ、蒼の介入以前の問題か。
〜1時間後〜
「お金、本当にいいんですか?」
「気にすんなこんくらい」
「…顔、引きつってますよ」
『こちら晶。対象確認』
「…ちっ、何やってんだ焔は」
焔は二人に気づかれないように店へと入ったが、一向に連絡が取れない。トラブルか?
…トラ、ブル?
店に入るだけで?連絡も取れないような?
………。
『…ねえ。私、すっごく嫌な予感するんだけど』
「奇遇だな。俺もだ」
『…僕も』
『…私も』
満場一致だった。
「…一度俺が中に入って確認を『その必要はありません』…やはり蒼か」
『ふふ、流石です』
…ついに来てしまったか。
「みんな、いいな」
『…ええ』
『うん』
『………』
『さあ。いっぱい遊びましょう、皆さん』
………。
あれ?何で蒼がラスボスっぽくなってんの?




