6,俺様無双
主人公の初戦闘!その力をご覧あれ!
???side
「ええ。契約したわ。結構ギリギリだけど」
『そうか。とりあえず手は出すなよ。あとクラスメートだったな?戦闘後に保護して事情を話そう』
「協力するかはわからないわよ?」
『しないならしないでいいさ。元々は一般人だ』
「・・・そうね」
『じゃあ、電話切るぞ」
「わかったわ」
ブツッ
さーて、誰にも懐かなかったパズズが契約したのは嬉しい誤算ね。戦わないにしても、これであの子が危険な状況に置かれることは少なくなる。
それじゃあ見せてもらうわよ紅くん。君の実力を。
紅side
……やばいな。また見切り発車だ。ハッキリ言って風の発動のさせ方もわかんねえよ。
『大丈夫です」
「うお!?パズズか!?頭の中に声が響くんだけど!?」
『はい。現在私はあなたと融合してるような状況です。なのでこのような会話方法となります』
「そ、そうか。て、うお!?」
狼が動いた!
「チッ!」
狼の爪が俺目掛けて振り下ろされる。俺はナックルで受け流しながら狼の懐へと入り込む。
「今なら、いける!」
『あ!待っ』
パズズの言葉を最後まで聞かず思いっきり拳を振るった。て、痛え!?
「ッ!?」
狼が追撃してくる。俺は必死にダッシュして難を逃れる。
でもまあ、今はそんなことより…
「何もパワーアップしてねえ!」
どういうことだ!?服装まで変わってるのに体が軽い、とか、一撃で吹っ飛ぶ、とか、そんなことが全くねえ!力は湧き上がってくんのに!
『落ち着いてください。まだ、力の使い方がわかってないだけです』
「使い方?」
『今のあなたの状態はせいぜい服による防御力アップと体力が回復したぐらいです。身体能力は変わってません』
「んな!?だったら勝てねえだろ!?」
『だから落ち着いて下さい。まだ、力の使い方がわかってないだけと言ったでしょう』
「…どうすればいい」
『風を体に纏わせて下さい。現在あなたは大いなる風の加護を受けてる状態です。だから、風を体に纏わせれば身体能力や攻撃の威力が格段に強化されます』
「風の出し方は?」
『確固たるイメージを頭に浮かべればできます』
「イメージて、……」
『わかりにくいなら言霊を使って下さい』
「言霊?」
『はい。強い意思とちゃんとした意味を込めた言葉です。風を体に纏わせる、という意味を明確にし、それを最も強く感じる言葉を使って下さい。意味は自分だけがわかってればいいのでその気になれば〈おかわり〉や〈おはよう〉でも発動できます』
「便利だな。なら」
俺は集中し、何にするか言葉を考え、語感がいいのこれに決めた。
「風」
フオオーーー
「おお!」
『これで準備は終了です。これで思い切り戦えます』
「そうだな。て、狼全然攻撃してこないけど、何でだ?」
『力を溜めてるからでは?』
「は?」
俺は狼えを見る。…あの野郎、ビーム放つ気だ。
「そういうことは、早く言えええーーーーーーーーー!!!」
俺は足に力を込めて、横へ飛ん…だああーーーーーーー!?!?
「飛び過ぎだああーーーーーーへぶ!?」
壁に…激突した。超痛え。
「こ、この」
ここで気づく。
体が軽い。
『どうですか?』
「ああ。体が軽い。でも、力加減が難しそうだ」
『それは後々練習して行きましょう。今は、こいつを一撃で倒しましょう』
「…できるのかっと!」
今度は攻撃を避けながらの会話。…超動きにきい。飛び過ぎたりスピード出し過ぎたり。
『風を足と手に集中させて下さい。そうすればこの程度の相手楽勝です』
楽勝、ね。さっきまで苦戦してた相手に言うセリフじゃねーな。だが、決める!
「おらあ!」
「!?」
俺は狼の足を取りぶん投げる。今の俺にはそれができる!
ドガアアアーーーーーーーン!!!
「さーて、十分に距離はとれた。後は、ハアアアアアアーーーーーーーーーー!!」
集中しろ!右手、両足に集中させろ!
「風!」
大量の風が俺の右手と両足に集中する。
行くぜ!
「っらあ!」
俺は一気に距離を詰める。狼はどことなく驚愕の表情を浮かべてる気がした。
俺は新たなイメージを右手に集中させる!
初っ端から新技行くぜ!
「突風の一撃!」
大量の風の奔流が俺の右手から放たれる。
「これで……終わりだああああーーーーーーーーーーーーー!!!!」
狼は風に呑まれて空高く飛んでいく。
「チェック」
飛んだ狼は今度は落下してくる。
「メイト」
ドガアアアーーーーーーーーン!!!
狼の体は光となり四散した。そのどこな幻想的な光景を俺はただ見つめていた。
「なかなかやるじゃない。紅くん」
そして、俺を見下ろしていた存在もまた、動き出す。
風よ→風
修正