64.休み明け
今回もサクサク頑張っていきたいと思います!
「じゃあね、お兄ちゃん」
ゴールデンウィーク最終日。俺たちは蒼を送り出し、
「キス嬉しかったよ♪」
「どういうこと紅!?」
爆発した焔を相手に、
「ああ、紅か」
「紅くんおはよう」
「おはよう紅」
和也たちとの心の距離が離れた事を自覚しつつ、
「紅、今日から学校だよ!」
今日、学校に向かうのであった。
「怠い。休む」
「ダメだからね!?」
晶…俺はもう疲れたよ。
・・・
・・
・
さて、今日の弁当はどうすっかな。
「とりあえず卵焼きか。野菜は…面倒だな。もやし茹でればいいか。ギョウザの具は昨日のうちに作ってるからあと皮で包んで焼いて…。ご飯はもう少しで炊けるよな」
いつも通り、俺、焔、晶の三人分の弁当をちゃちゃっと作って行く。
…何だろう。料理してる時が一番落ち着く。
そんな思考を他所に、卵焼きを作って行く。
そこに、
「あ」
「ん?九陰先輩」
九陰先輩が起きてきた。
蒼の一件以来、なんか避けられてたような気がしたから、会ったら逃げられると思ったのだが、
「………………」
何故か、こちらの手元…詳しくはギョウザの具を凝視していた。
「…弁当、作りましょうか?」
「………」
ドタドタと上に行く九陰先輩。
少しして、弁当箱を取って俺のところに来る。
「………………」
「…作っておきます」
「ありがとう」
そう言って、先に居間の方へ行く。
…あれ?
弁当作るために俺は4時起きだ。漫画のキャラみたいに1秒で料理を作るような芸当は出来ないから、それなりに時間もかかるためだ。
それに、九陰先輩の弁当はたまに舞さんが作るくらいで、基本的には学校の購買でパンを買うらしい。そもそも弁当箱を持ってきてない。
俺が何を言いたいかというと、九陰先輩が起きるには今の時間は早過ぎるのだ。
「…何なんだ?」
卵焼き一個を作ったところで、一同作業を中断し居間を少し覗いてみる。
すると、九陰先輩は刀夜と何か真剣な顔で話していた。
(マキナ・チャーチについてか?まあ、俺らだけで持つわけにはいかん内容だが…)
必要なら俺のとこにも話が来るだろうと、俺はまた料理に取り掛かるのだった。
「…ぅあっち!?」
まだ集中しきれてなかったようだ。
・・・
・・
・
「九陰先輩。ほい弁当」
「…ありがとう」
舞さんの作るご飯を全員食べた後、俺は舞さんの洗い物を手伝いながら九陰先輩と焔、晶に弁当を渡す。
「え?紅、九陰先輩にも作ったの?」
「ん?ああ、そうだよ」
「そういえば、九陰先輩前に紅の味付け好みとか言ってたよね」
「うん」
「ふーん。…じゃあ、これからも作ろうか?三人も四人も変わんねえし」
「いいの?」
「いいって言ってんの」
「…じゃ、じゃあお願い」
「あいよ」
?
なんか九陰先輩の頬が少し赤いような?
「ふん!」
「痛あ!?」
焔に足を踏みつけられた!?
不意打ちとは卑怯な!…ノリで言ったが不意打ちは俺もいっぱいしてたわ。
というか何で!?
「何すんだ焔!?」
「知らない!弁当ありがと!」
「はぁ??」
全く、わけがわからない。
「はは、紅は相変わらずだねえ」
「どういうことだよ」
「さ〜ね〜。行こう、九陰先輩」
「ん」
そう言って、晶と九陰先輩もまた弁当を受け取って学校へ行く。
「…何なんだよ、マジで」
一人わけがわからず、呆然とするのが、ゴールデンウィーク明けの俺がとった行動だった。
※作者は料理が苦手です




