63.明日は蒼帰宅
「…マキナ・チャーチ、か」
「和也。なんか知ってるのか?」
「少しだけな。たしか…魔狩りを抜けた一部の連中が作った組織のはずだ」
「中には、パートナーが出来ず落ちこぼれた人もいるらしいわ」
「…そうか」
元・魔狩りか。
「パートナーに恵まれない、か。“エクス・ギア”てのは、そういう奴らにとって都合が良かったのかね」
「多分、そう。実際、私たちの周りにも消えた人は何人かいる。もしかしたら、マキナ・チャーチに属してるのかも」
「なるほどな」
「…お姉ちゃん」
「ん?どうした九陰先輩?」
「ううん、何でも無い」
何でも無い…のか?
「でもまさか、こんなとこで聞く事になるとはね」
「全くです。というか、何で私まで狙われなきゃいけないんですか」
「…そういや、何でだろうな」
蒼の死体を何に使うつもりだったんだ?
「あれでしょ、やっぱ。テンプレで、ゾンビ兵的な」
「蒼の肉体で兵を作ろうとしたと?」
「…悪趣味な。最悪ですね」
…本当にな。
だが、“時の迷子”とは一体…?
「お兄ちゃん。難しい事考えるのはお兄ちゃんに合ってないよ」
「何気に傷付くぞ蒼!?」
「馬鹿で愚鈍な兄にはちょうどいいです」
「お前なんか口調が酷くなってない?なってるよな?」
「私の口を塞ぐには一つしか方法はありませんよお兄ちゃん♪」
「は?どうすんだ?」
「もう一回キスしてください」
「「「………………」」」
爆弾が投下された。
「私、お兄ちゃんに初めてを奪われてから、こう、あそこがムズムズしちゃって…だからお兄ちゃん。もう一度キスを…」
「いや待て待つんだ蒼。なんか絶対に誤解されるから!」
「紅くん、最低」
「紅…堕ちたか」
「…助けなきゃよかった」
「違あああああああああああああああああああああああう!!!」
やばい!このままだと「妹とキスしたシスコン野郎」というあだ名が…
「初めてがあんな激しいなんて…ポッ」
「お前ちょっと黙ってろ!」
「「「………………」」」
こいつは俺をどうしたいんだ!?
「陵辱」
「鬼畜」
「変態」
「うがあああああああああああああああああああああああ!!!」
違うからな!本当に違うんだ!
「私のことを好きとも言ってくれました。キスの後は俺と一緒にいろなんて…きゃー♪」
「変なとこだけチョイスすんなあああああああああああ!!」
「「「………………」」」
あ、なんかが終わった気がする。
「変態」
「下衆」
「クズ」
「………」
泣いていいかな?俺、泣いてもいいよね?
「さ、みんな帰ろう。変態は捨てて」
「「おー」」
「九陰先輩!?」
「ごめん…名前呼ばないで」
「ひでえ!?」
なんか、いろいろボロボロだよ。
「…とりあえず蒼と紅さんも早く来たら?」
「紅、早くしろ」
「距離を置くなよてめえら!ぶっ飛ばすぞ!」
なんか、もうキレる寸前だは、マジで。
「きゃー♪キチクレナイが怒ったぞー♪」
「鬼畜と紅を混ぜるな輝雪!待ってろ!お望み通り今ぶん殴ってやるよおおおお!」
体の疲れは何処に行ったか、俺は輝雪の元へと疾走する。
…筋肉痛だな、こりゃ。
「まあ、早く戻るのは得策」
「明後日から学校だしな」
和也の言葉に俺と輝雪は固まる。
…学校?
「明後日から?」
「明後日からだな」
「お兄ちゃん、病院行く?」
「その返しは斬新だな」
「ああ、そっか、学校か」
「ふふ、学校かー」
あはは、と俺と輝雪が笑い合う。
ああ、本当に、
「「めんどくせえええええええええええええええええええええええええええええ!!!」」
GW。
長期休暇。
休んだ記憶は…殆ど無かった。
-第六章・ゴールデンウィークでの日常〈了〉-
これでゴールデンウィーク終わりです。
なんか下手な伏線すいません。
これからも、頑張って投稿していきたいと思うので、ぜひ読んでください!




