41.妹
「良かったー。おかしいのが昨日だけで」
「本当よね」
「まさか、天井に吊り下げるとは」
あの後、青水組とかいう奴らは処分された。城之内先生の温情により、退学にはならなかったが、それでも長期間の停学に特権の剥奪という罰を受けた。
青水先輩も処分された。…あの連中をスカウトした理由が未だにわからないが、見る目が無かったという事だな。
で、今は二日目だ。和也と輝雪と共に校内を探索中だ。まあ、事件は起こってないが。
「ねえ、明日何する?」
「今から明日の事かよ」
「いやあ、だってゴールデンウィークよ?」
「…休みたい」
和也がぼやく。まあ、俺も同意だが。
…はて。何か忘れてるような?
「何にしても、そろそろ解散だろ」
「時間も時間だしね。やった!家に帰れる!」
「ああ。コク、帰るぞ」
特権により連れて来れるようになった。猫’s。パズズは俺の頭。クロは輝雪の肩。コクは和也の後ろだ。
「…今日の晩飯何だろうな」
舞さんのご飯は美味い。だから楽しみの一つ。帰れると思うと、ついつい頭に浮かんでしまう。
だが、俺はもっと早くに思い出すべきだった。そうすれば、それなりの対応も取れたはずだった…。
・・・
・・
・
『………』
異様な光景だった。俺が自分の部屋に入ると、そこには異様過ぎる光景が広がっていた。
そして瞬時に自分の忘れていた事を思い出した。
暴れた跡が残る部屋、傷だらけの壁、ズタズタの床。頭を抱えて怯える焔。棍を構える晶。
そして、晶と相対する黒髪の少女。髪は長く、ツインテールに結ばれていた。こちらに気付き、振り向く。整った顔立ち。男よりの服装。スカートなど履いていたという記憶は無い。そして、意思の強そうな”緑目、俺と同じ色の目”。
ああ、確定だ。こいつは、
「おかえり、お兄ちゃん」
花が咲いたような明るい笑顔でこちらを向く少女。
こいつは、“紅 蒼”。
俺の、実の血の繋がった妹。
俺の平和は、静かに壊れていった。
-第五章・風紀委員としての日常〈了〉-
前回に引き続きGUDAGUDAでしたね!…全話かもしれませんが。
次回より新しい章に入ります。少しでも中身ある小説にするよう頑張ります!




