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とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
風紀委員としての日常
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38.終わり良ければすべて良し

「それじゃあ、解散」


そう言って、俺たちは別れた。

輝雪は三階。紅は二階。じゃあ俺は、一階に行くとするか。

…体育館から嫌な気配がするんだが。


・・・

・・

俺こと木崎(キザキ) 和也(カズヤ)は、他の奴らより優れている事があることを自覚している。

気配だ。

バトルものでよくある、“気配を消す”“気配を感じる”と言った類のものだ。

普段から、無意識のうちに気配を消す、感じるを抑制しながら生きる俺は、制御はできてるためその気になれば相手の一挙一動全てを読み取り、自分の気配は相手に気づかれないように周囲の気配に同化させ、“そこにいることが普通と思わせる”レベルにまで達してしまった。

魔狩り関係で、その力を発揮する場面も沢山あった。そのため、周囲からはそのまま“影”と言われ、さらにはトップクラスの実力者しかもらえないはずの称号(実際のところ、嬉々としてもらう者はいない。強制的に魔狩りのトップに付けられるのだ)をもらってしまっている。

長くなったな。つまりだ。俺が何を言いたいかと言うと、優れた才能も場合によってはいらないと思ってしまう、ということだ。気配を察知、なんて事ができるせいで、風紀委員として活動するために、ついつい厄介事を探し当て、

…こんな面倒な事に巻き込まれるのだから。


・・・

・・


「木崎くんは私と帰るの!」


「いや!私と!」


「…いや。今は活動中だから帰れないんだが」


『木崎くんは黙ってて!』


「…………………………」


先ほど、自分が他より優れている事があることを自覚している。という事を話したが、付け足すと、非常に厄介な事に“モテる”が追加されるだろう。

…今、死ねとか思った奴。いいだろう。今すぐ俺と立場を交われ。

これがよくある、“そこまでモテないけど自分に好意を向けている人がいる”という状況ならまだいいかもしれない。特別な繋がりで構成されら関係。アクセ◯・ワールドのハ◯ユキみたいな。

だが、生まれ持っての顔か何かで、異性一般にモテるとなると話は違う。これには人によって意見が割れると思う。

その状況を上手くさばき、楽しむ。もしくはその状況を厄介と思い、苦になる。

残念ながら(?)俺は後者。女は本当に何を考えてるかわからん。

それ以前に、俺の話題のはずのなに、俺が口出しできないとはどういうことだ?

元々、俺は何か喧嘩が起きてると感じ取り来たが、場所に着いた瞬間に両腕を掴まれその場に固定。そのまま口喧嘩が再発。

…ああ、面倒くさい。


「…腕を離してくれないか?」


『嫌!』


誰の腕だと思ってる。

こいつらの頭はどうなってるんだ?誰か解明してくれ。

…それにしてもヤバイ。風紀委員としての役割を果たさなければ立場的に危うい。

他とは違い、俺は推薦で入った。期待度が違う。期待の星、と言うのは言い過ぎかもしれんが、それでも期待はされてるだろう。

ここで女の喧嘩に何もできず、時間が来たら俺は特許取り消しだろうし、九陰先輩も責任を取ることになる。迷惑をかけるわけにはいかない。

気配を消して立ち去るにも、問題を解決せずに放置したらそれも責任、何より彼女らが困惑する。…一番の問題は相手の視線から外れなければ気配を消しても認知されてるのですぐ看破されて終わり、というところなのだが。

…しょうがない。あまり好まない手だが。

気配を消す、同化させれるということは、逆に放出することもできるということ。

簡単に言えば、殺気なり何なり出して、威圧する、ということだ。

これは使うと何とも“脅し”“威喝”をしてるような感じで気分が悪い。これは必要なことだ、と自分を納得させる。


「…ハァ」


意識を集中。いつもの逆。気配を“抑える”では無く、気配を“出す”。


「ひっ!?」


「っ!?」


突然の空気の変化に驚き、いや恐怖し腕を離し距離をとる。


「…え、あ」


「おい」


「っ!はい!」


…流石にやり過ぎたか。まあ、風紀委員としての役目は果たしておかなければ。


「お前らの関係は何だ?」


「…友達です」


完全にやり過ぎたか。まあ、やることは変わらん。


「なら、何故喧嘩してる。聞いてるところ、俺が関係あるようだが」


『………』


「矛盾するようだが、喧嘩はいい。完璧な人間なんていない。どれだけ友好な関係を作ろうと、いや、友好な関係だからこそ、相手の考えや意見に反感を覚えるだろう。だが、喧嘩の理由が俺なら無視もできない。一応言うが、俺は彼女を作ったりする気は無いぞ」


ナルシストだと思った奴は一回殴らせろ。こいつらは口喧嘩で普通に俺が好きとか俺は自分のことを好いているとか言っている。色恋沙汰だと気付くし、二人の好意にだってすぐに気づく。気付かないならそいつは病気で脳外科と耳鼻科に行った方がいい。



「な、なんで!」


「私もダメなの!?」


何を持ってそのセリフを言うのか、本当に疑問だ。


「俺はやることがあり、それに打ち込みたい。だから、彼女を作ってる暇は無い。それに妹の輝雪だが、ちょっとした理由があって俺がそばにいてやらないとダメだ」


シスコンだと思うなら思え。俺にとっては大事な妹で、仲間(パートナー)だ。多分、何よりも大切な存在。

打ち込みたいことは勿論魔狩りのことだが、おれもいつ死ぬかわからん。彼女なんて作る暇は無い。


「これで喧嘩の種は消えたろ。一般生徒は帰る時間だ。悪いが、帰ってくれ」


これが俺の仕事。


「…ごめん」


「ごめんなさい」


「俺に謝るな。謝る相手は他にいるだろう?」


そう言って俺は二人を玄関に送り出した。

二人の友情はこれからも続くだろう。いつまでも、な。






































と、綺麗にまとめたが、実際の俺の思考は“面倒くさい”で埋め尽くされていた。

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