34.上げて落とす
「うおりゃああああああ!!!!」
「おいおい、戦闘中に大声出すなんて、素人のすることだぜ?」
剣道部なのか、竹刀を使って、向かってくるバカ。俺は余裕で避けて顔面に蹴りを食らわした。
あと、
「おっと」
「っ!?」
背後からの野球ボール。ピッチャーか。蝋梅してるおかげで、簡単に見つかった。
「らあっ!」
逆に投げ返してやる。流石に硬球で顔面を狙うのは気が引けたし、選手生命を奪う気も無いから、腹に向かって投げてやった。見事にクリーンヒット。
「シッ!」
「危ねえ!」
今度は横からパンチが繰り出される。が、軽くいなし、背後に回り込み、ガラ空きの背中を殴る。
「ぐっ、ひ、卑怯だぎゃっ!」
頭を踏み付ける。
「戦闘に卑怯もクソもあるか。試合じゃ無えんだぜ?お前、連んでる不良とか相手にする時も、『卑怯だから一対一で戦え』とでも言うつもりか?だとしたら、向いてねえよ、お前」
そう言って、俺は次の獲物へ向かう。
だいたい10分で片付いた。少し長かったな。
・・・
・・
・
さあ、これで全て解決!
…と、行きたかったなー。
「強い事は認める。だが!普段の行いはどうなんだ!」
勘弁してくれ!
「どうせ裏じゃタバコでも吸ってんだろ!」
「テストの点数はどうなんだよ!最下位だろ最下位!」
「そこまでバカじゃ無えよ!」
たしかに、晶と焔と一緒にいると、泣きたくなるくらい差があるが、最下位は無えよ。
「…こんなものがある」
…何、あれ?
九陰先輩が何か出したが、それは今の状況に必要なのか?
「黒木先輩。それは何ですか?」
と、誰かが聞いた。
「紅 紅当ての礼状。たくさんある」
「何で、そんなものが?」
うん。俺も全くの疑問だね。
「車に弾かれそうだった子どもを助けて、名前がわからなかったけど、制服から学校だけはわかったらしく、その子の親からきてる。紅と決める理由は黒髪に緑色の目という身体的特徴に加え、紅と友人関係にあり、よく一緒にいる火渡 焔と氷野 晶と捉えられる特徴の人物と一緒にいたという事が書かれているから。他にも十数枚ほどある」
「おい待て。どうして俺の手元に一枚も来ていない」
「先生が紅のはずがないと言う先入観から。私も先週まで知らなかった」
…俺の見た目って、そんな酷いの?
「成績についても問題無い。風紀委員は赤点取らなきゃ大丈夫だし、最低ラインとして、とりあえず二桁の順位であれば問題無い。紅は入学テストで50位だったし、赤点も無い」
「何で知ってんの!?」
俺の順位は晶と焔にしか言ってないはずだ。二人を見ても言ってないというジェスチャーが返ってきた。
「とにかく、普段の行いに関しても、特に問題になるような事はしていない。実力も先の通り。十分に素質はある。これ以上の反論があるなら私が直々に相手してあげる」
…怖いね。
こうして、俺は風紀委員となった。
・・・
・・
・
「これが活動表」
「…うわ」
結構ハードだ。
現在は九陰先輩に説明を受けていた。
二人きり?違う、和也と輝雪もいる。
「予想できたこと。説明を続ける」
「ねえ、九陰先輩」
「なに、輝雪」
「特許申請ってどうなるの?」
「明日にでもプリント配布される。それに特許の内容を書き、サインすれば完了」
「はーい」
こんな感じで続いたのだった。
・・・
・・
・
「あ~、かったりー」
「紅、そう言っちゃダメだよ」
「そうだよ!そのおかげでパズズが学校に来れるようになるんだよ!」
「へーへー」
律儀にも、俺が来るのを待っていた親友二人。ま、嬉しくないと言うと嘘になる。
「にしてもゴールデンウィークも近づいて来たねー」
「だからどうした」
「何処かに遊びに行きたいね!」
元気いいなお前。
その時、
♪~♪~
「電話?」
誰からだ?
特に確認せずに出る。
「もしもし」
『あ、もしもしお兄ちゃん』
「…どうして電話番号を知っている」
『愛の力だよ!』
「真面目に答えろ!」
『お父さんに猫なで声で「お父さん、教えてくださいにゃん」て言ったら一発だったよ』
あのくそ親父がー!
まあ、いい。妹からの電話ぐらいで取り乱すな俺。昔は普通に接してたじゃないか。
「…何の用だ?」
『そうそう、ゴールデンウィークそっちに行くから』
「…What is said?(何を言ってるんですか?)」
『うん、どうして急に英語になるのかな?』
「あ、ああ。悪い。理由を聞こうか」
『大丈夫。ただの素行調査だから』
「おい、待て!どういう事だ!」
『じゃ、そう事で』
「そういう事で、じゃねえ!おい!おい!」
…切れた。
「…紅、どうしたの?」
焔が声をかける。晶も不思議そうだ。
「…蒼が、来る」
二人の顔が絶望に変わった。




