32.黒木 九陰は人気者
「ずーいぶんと余裕だな紅 紅!推薦されて風紀委員になったぐらいで調子に乗るなよ!」
と、言われた前回。
「お前、誰?」
「フッ、我こそは風紀委員の期待の星にして最強の刺客、あ」
「うっさい長い興味無いあと痛い。お前は生徒Bでいいよ」
「はあ!?ふざけんなよお前!」
だが、クラスメイトからは結構好評のようで、クラス内では笑いが溢れていた。
「てめえら笑ってんじゃねえ!ボコボコにすんぞ!」
「おいおい。風紀委員からは攻撃行動禁止だぜ。最初は話し合いからだぜ」
「ふん。話し合いで解決するなら警察いらねえよ」
「言語は人類の大いなる発明だぜ。それにこっちの氷野 晶。女扱いされるとすぐに暴れる危険人物という理由で風紀委員には向いてないって言われてるんだ。そんなこという奴が入れるとは思えねえがな」
「ちょっと!紅!」
高校初日の騒ぎ(輝雪のファンと言うなの変態どもを叩きのめした時のこと)を見てる、もしくは知ってて信じてる者は苦笑いをしていた。
「その氷野がどんくらい強いか知らんが、そんな平和的解決を望むのなんてどうせ下っ端」
「黒木先輩だが?」
「…………………嘘をつくな」
「言い訳はそれだけか?」
もう興味が薄れてきたんだが。
「紅、一応でいいから聞く態度持って」
「いや焔、こいつが風紀委員になりたいのって、ただ暴れたいだけだろ」
「ふん。それはお前らのことだろう。なんの根拠があって黒木様に選ばれると思ってる」
様って、引くわ~。
「なんのって、本人に言われたからだが」
フンッ、て鼻で笑う生徒B。
…不思議だ。負け犬の遠吠えにしか聞こえないから全然イラつかない。
「そんなことがあるわけ」
「失礼します」
生徒Bの動きがビタッと止まる。
小柄で、黒くて、可愛らしい声。でもどこか冷たい雰囲気が溢れる。
「どもっす黒木先輩」
「うん」
コクッ、と頷く黒木先輩。小動物を彷彿とさせる。
「失礼する」
「和也もいたのか。どうしたんだ?二人そろって」
「いやいや紅くん。私、紅くん、お兄ちゃんにさらに黒木先輩が来れば、もう十中八九あれでしょ」
ああ、風紀委員か。
「報告。今日生徒総会で風紀委員の選挙をやる。紅、輝雪、和也の三人は他の生徒より早めに体育館に来るように。椅子は一般生徒は持ってくるけど、三人は必要無し。あと、選挙の途中で三人は私の推薦ということで呼ばれるからその時は返事して立って」
「りょーかい」
「わかったわ」
「了解した」
そう言うと黒木先輩が去って、
「あ、あと私を呼ぶ時は名前で」
「何か意味あんのか?」
「別に。でも、風紀委員で一緒になるんだから学校外でも一緒になるだろうし、名前で呼び合う方が今後いいと思う。風紀委員の人は全員名前で呼ぶ」
ふーん。そういうもんか。
「それじゃ」
そう言って去っていく黒木…じゃなくて九陰先輩
「うっす」
「また後で!」
テンション高いなー、輝雪。
…さて、
「今のが証拠だが?」
「………認めない」
「おいおい」
ここまで来るとあれだな。ただのバカだな。
「認めないぞ!絶対!」
と言って、こっちに殴りかかる生徒B。
だが、
「…ぐっ」
「わり。加減できなかったわ」
崩れ落ちたのは生徒Bの方だった。
「おい、今のどういうことだ」
「ね、ねえ。今の見た?」
「うん。あれ?でも」
クラス内がザワザワと騒がしくなる。
「紅の奴、あいつより“後に動いてなかったか”?」
…いや、多分そっちの反応が正しいんだろうな。こっちだと
「紅、今反射で動いたろ。別にいいが、反射より予測で動けるようになってた方がいいぞ」
「そうだね。その反射が攻撃だと、無関係の人を傷つけないとも限らない」
「話し合いと言いながら防御より手が出るのはどうなのかしら」
「紅、手加減してあげようよ」
何故か俺の攻撃行動に対しダメ出しされていた。




