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26.俺たちの戦いはこれからだ!的な?

「行けえええ!幸村ああああ!」


「ふん!私の六◯流の前にひれ伏しなさい!」


俺は現在、木崎双子の部屋でゲームをやっていた。戦国B◯S◯R◯で対戦していた。

何?前回から飛んでるって?意識が戻ってからやってんだからしょうがない。

今は俺と輝雪が戦っている。


「烈火ああああ!!」


「甘い!」


あ、やば。弾かれた。


「もらったあああああーーーーーー!!!」


この後、殺人級の攻撃力を持つ伊達の連続攻撃を受け、均等が崩れたところであっさり負けたのであった。


・・・

・・


「くそ!勝てん!」


「よっしゃ!連戦連勝!」


あれからも輝雪と戦い続けるが、最後の最後で勝てない。

途中まではいいとこ行くし、悔しさは倍増だ。


「私が使う伊達政宗に敵は無いわ」


自慢気に言う輝雪。ムカついても、実際勝てないしなー。


「なら、久しぶりに俺がやろう」


「え?和也さんもゲームやるんですか?」


「ちょっと意外ですね・・・」


「まあ、たまにな」


「ほー。て、輝雪。どうした?」


固まってるぞ?


「な、何でも無いわ!」


どう見ても何でもあるな。


「いつものルールでいいな」


「え、ええ」


「いつものルールって何だ?」


「俺はステップとか技を諸々禁止。通常攻撃と防御だけでプレイするというものだ」


「それ、和也だけがやるんですか?」


「大丈夫なの?」


「問題無い」


輝雪は政宗選択。和也は


「石田三成か」


そして始まる。


「りゃ!」


輝雪は一気に特攻を仕掛ける。


「甘いな」


が、和也は簡単に弾き返す。

さらに、そこからの連続攻撃。だが、通常技のためそこまでダメージは高くない。

攻撃の合間に逆に攻撃を輝雪は仕掛けるが、やはり弾かれ、和也の一方的な攻撃が続く。


「おい、これって」


「まさか…」


「うそぉ」


その後も展開は変わらず、和也のパーフェクトゲームとなった。


「もう!毎度毎度!何で簡単に弾き返しちゃうかなあ!」


「もっと裏をかけ」


「できるかあ!」


……和也って、結構チートだよな。


「にしても、お前らがやるゲームって、結構偏ってるよな」


「しょうがないわよ。作者の視野が狭いから、あまり多くのゲームやりたがらないし。その分、私たちがやれるゲームも少なくのよ。あー、ホラゲやりたい」


「そういうこと、あまり言うなよ」


リアルの都合を出すなって。


「それにしても、和也くんは強いねー」


「これぐらい当然だ」


「いや、当然では無いと思いますよ?」


「同感だ」


これが当然だったら、俺はすでに死んでいる。


「にしても、この後どうします?」


「…どうしましょうか?」


現在時刻は5:30。遅くも無く、早くも無く。家によっては飯を食べてる時間…か?


『紅さーん。ちょっといいですかー』


「舞さん?何の用だ?」


舞さんが俺を呼ぶ用…ふむ。わからん。


「行ってらっしゃい」


「ファイトー」


「気をつけてねー」


「無事を祈る」


「…お前ら」


どうして俺が行こうとすると、その不幸が起こるみたいな言い方になるんだ。


「んじゃ、行くか」


部屋を出て、階段を降りようとした。

…時だった。


「…は?」


何故か階段で寝ているパズズに寸前で気付いた俺は「何でこんなとこで寝てんの?」という思考を完全に無視し、とにかく足を前に出す。

一段飛ばしでパズズを回避はする。が、突然の事に完全にバランスを崩した俺は、そのまま階段を転げ落ち…


「ぎゃあああああああーーーーーーーーーーーー!!!!」


見事不幸が襲いかかるのだった。

ち、違う。これは〈俺がパズズを踏む〉というパズズに襲いかかる不幸を避けた結果こうなっただけだ。俺が不幸になったわけじゃ無い。

何?不幸に巻き込まれる事自体が珍しい?うっさいバーカ。

階段の上から晶たちから同情の目で見られた時は、すんごく悲しかった。


和也side

最後の最後でやってくれるな。紅は何処まで行っても紅なんだな。

紅が涙目で舞さんの所へ行くのを見届け、今は部屋に戻っていた。


「少し、いいですか?」


その時に、氷野が話を切り出す。


「なに?」


輝雪が応答する。こういう時は輝雪が応答した方がいい。俺は黙って話を聞く側に回る。


「紅に、ついてです」


火渡も真面目な顔をしている。


「紅くんがどうかしたの?」


「最近、紅が危険な事に首を突っ込んでると思うんです」


「それで、輝雪たちなら何か知ってると思って」


どうやらこの二人は、こんな短期間で紅の“日常の変化”に気付いたようだ。幼馴染は凄いな。いや、それだけじゃないか。二人はとても紅の事を心配しているという事だな。


「そう…残念だけど知らな」


「嘘だ!」


輝雪が白を切る所で、氷野の制止が入る。


「紅は、最近夜中はずっと外に出てる。輝雪と木崎くんも!帰ってくる時間帯はバラバラだけど、だからと言って、そこまで離れてる時間でも無かった!

それに、何となくわかるんだ。紅が何か、凄く危険な事をしてるって。昼に黒木先輩と手合わせした時も、どこか“戦士”みたいな、戦いに身を置いてる人の空気がわずかにだけど紅が出してた。ついこの間まではそんな気配、微塵も出して無かったのに。短期間での成長は、“本物の戦闘”を経験するしかない。つまり、紅は今、そんな戦いをしなければいけない状況にいるって事でしょ?」


「…たとえ紅くんが、本当にそんな状況にいたとして、私たちが関係しているという根拠は?」


「あなたたちからは、“殺し”の気配がする。何を殺しているかまではわからない。けど、紅もそれに巻き込まれてる。多分、自分からその渦の中に入って行ったんだろうけどね」


「…そうか」


「お兄ちゃん?」


こいつらの紅への思いは本物か。


「たしかに、紅は俺たちと関わりがあり、戦いに身を置いている。最近からだがな」


「お兄ちゃん!?」


輝雪が驚いている。まあ、こういうのは一般人には禁句だからな。だが、俺は話す。


「だが、それを知ってお前たちはどうする?」


「もちろん、やめさせるよ!」


火渡が叫ぶ。


「何故?」


「何故って、それは」


「紅が危険だから、か?」


「………………」


「無言は肯定と受け止る。お前らの予想通り、紅はいつ死んでもおかしくない状況だ。だが、お前らの知っている紅はどんな人間だ?お人好し、と言えばそうかもしれん。だが、俺は紅をただのお人好しだとは思わない」


紅の戦う理由は自分の日常を守るため。

たしかに、あいつはお人好しだ。だが、優先順位ははっきりしてる。

見知らぬ人が死ぬのと、幼馴染が不良に襲われると言われたら、確実に幼馴染を優先する。どんなに幼馴染が強くて、自分の助けがいらなくても、だ。

そんな紅が戦うことを決めたんだ。それはつまり、譲れないものが、この戦いにある事になるなる。それはきっと、


「…紅の戦いは、僕たちにも被害はありますか?」


「かなり低い確率だ。普通にそんな事にも気付かず生きていられる確率の方がかなり高い。だが、無いとは言い切れない」


「私たちのため…?」


「だろうな」


それが紅の戦う理由。


「で、でも。死ぬかもしれないんでしょ?」


「ええ。いつ死んだっておかしくないわね」


「どうにかならないんですか?」


「大丈夫…かどうかはわからないけど、紅くんはちゃんと引き際を弁えてるわ。それに、紅くんのパートナーはとっても強いんだから」


「パー…トナー?」


「何も俺たちはこの状態で戦うわけじゃない。パートナーから力を借りて戦う」


「………そうですか」


氷野と火渡はホッとしたような表情を浮かべる。


「何か、興奮し過ぎましたね。すいません」


「しょうがないわよ。紅くんはあなたたちにとって、“特別な存在”なんでしょ?心配して当然」


「…あ、あの。紅のこと、頼んでもいいですか?」


「できる限りのことは、な」


これが最善の答え。いつも一緒に行動してるわけじゃ無い。すぐに助けに行けるわけでも無い。逃げ道を用意した最低にして最善の答え。


「そう、ですか」


理解はしているだろう。だが、この答えに二人は安堵を示してくれた。


「木崎く」


「和也だ」


「え?」


「輝雪が名前で俺が名字だとおかしいだろう。和也でいい」


「…うん。和也くん。ありがとう」


「ええ~。お兄ちゃんだけ~?」


何故ここで普通に終わらせることができないのだろうかこの妹は。


「ふふ。輝雪ちゃんも、だよ」


「どういたしまして」


『おーい。メシだー』


紅か。


「随分早いわね。料理の手伝いじゃなかったの?」


「盛り付けと料理を運んだだけだろう」


「成る程」


「みんな!早く行こう行こう!」


「焔。少し落ち着こうよ」


「火渡はいつもこうなのか?」


「焔でいいよー」


「焔は食欲が人一倍ありますね」


「残飯処理は火渡さんがいればOKね」


「それ酷くない!?あと、焔でいいよ」


「考えておくわ火渡さん」


「いつか名前で呼んでもらうんだからああああああーーーーーーーーー!!!!」


「黙れ」


『……はい』


「ははは……」


何故俺が悪いみたいになるんだ。


紅side

騒いでるなー。何話してるんだ?

俺は舞さんが料理終わったから盛り付けと料理運ぶのを手伝っていた。

他のみんなは手伝わないか聞いたら、本来一人でやれるらしいが、晶と焔が俺を手伝わせるよう言ったらしい。どういうことだ?…まあ、いいか。


「来たか」


「あ、紅!て、何か凄い豪華!?」


うん。俺もびっくりした。普段一般家庭じゃ見ることができないような料理がズラリと並んでいる。


「これは凄いね」


「凄いわー」


「…ふむ」


焔の後ろから晶、輝雪、和也と続く。


「晶、焔。なんで俺を舞さんに手伝わせるように言ったんだ?」


気にしてはないが素朴な疑問だった。


「ちょっとね。“和也”たちと話したい事があったんだ」


ん?晶は和也のこと、“木崎くん”って呼んでたような。何があったんだ?


「和也くんて意外と熱血だったんだねー」


「黙れ」


焔もだ。何話したんだ?


「なあ、話しって、何を」


『それは秘密』


二人が声を揃える。デスヨネー。

その後も黒木先輩、冷華さんに紫、刀夜と続き、席へとついた。


・・・

・・

「皆さーん。席につきましたかー?」


ゆっくりとした口調で舞さんが尋ねる。まあ、この話し方がデフォルトなんだが。


「ではー、料理をいただく前に私から言いたい事がありますー」


一拍置き、


「今日、紅さんたちが刀夜さん、冷華さん、紫ちゃん、九陰ちゃん、既に住んでいる住人たちへの挨拶も終わり、ようやく一段落ついたと言えますね」


舞さんが語り始める。いつもと違い、ゆっくりだが、語尾は伸びず、はっきりした言い方。


「一期一会、という言葉を知ってますね。私がアパートの大家を始めたのも、本来なんの繋がりも無い人と、この一度しか無い人生で繋がりたいと思ったからなんですよ?だから、私はあなたたちとの繋がりを大事にしたい。

そして、私の我儘から始まったアパートに、新たに紅くん、晶くん、焔ちゃん、和也くん、輝雪ちゃんが加わりました。本来、すれ違っても声すら掛けないような関係が、今では一つ屋根の下で暮らす者通しなんですよ。素敵な事だと思いません?

いつか、誰かはここを出て行くでしょう。いつか、このアパートから住人がいなくなるでしょう。いつか、このアパートが無くなるでしょう。ですが、いえ、だからこそ、今のメンバーで今しかできない事を沢山やりましょう。この1分1秒を最高の宝物にしましょう。

………終わりですー」


最後の最後で口調が戻ってしまったが、最後まで笑顔で、心を込めて伝えきった舞さん。

…なんか、こう、来るものがある。


「長くなりましたー。それでは、始めましょうかー」


ああ。ここから始まるんだ。

高校生活も魔狩りも風紀委員も何でもござれ、みたいな無茶苦茶な日常になっちまったけど、こんなのも悪くはない。…というか、慣れるしかない。


「それでは、いただきますー」


『いただきます!』














………まあ、死んだら元も子もないが。


-第三章・住居人の日常〈了〉-

第三章終了!次章は学校での生活メインで行きたいと思います!

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