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20.氷雨 冷華②

3805アクセス、ユニーク1002人!いつもいつもこんな小説見てもらってありがとうございます!これからも頑張ります!

現在、俺たちは冷華さんの部屋にお邪魔してる。緊張しっぱなしだった焔も落ち着き、俺と晶も、あの微笑みですっかり毒気を抜かれてしまった。

今は冷華さんと自己紹介を始めるところだった。


「えーと、じゃあ私から。火渡(ヒワタリ) (ホムラ)です。紅と晶とは幼馴染で、好きなことは紅にぶら下がることです!」


「おいこら」


焔を小突く。こいつ、毎度毎度恥ずかしいんだからやめてくんねーかな。


「僕は氷野(ヒョウノ) (ショウ)。棍使えます。あと僕は男です」


「………」


冷華さんの目が大きく開く。やはり驚いたようだ。目に見えて落ち込む晶。


「最後は俺か。(クレナイ) (コウ)だ。趣味は料理」


普通にこれで終わる。だが、これだけでも十分に反応があった。


「そう。あなたが…」


自分たちには無かった反応に焔と晶はこちらを見る。俺はそれを無視する。


「次は私ね。私はヒサ」


その時だった。

バタン!と音が響く。俺の本能が危険を察知しそこから素早く離れる。

ザクッという音が耳に届く。俺が先程居た場所を包丁が貫いていた。


『……………………』


一同唖然。扉の方を見ると一人の少女が立っていた。

冷華さんと同じ色の瞳に髪。瞳は軽くだがつり上がり、髪はセミショートヘア。いかにも活発そうな少女だった。


「……………れろ」


「……は?」


少女は何かを言っているが、声が小さ過ぎて何を言ってるかわからん。しばらくの沈黙のあと、少女はまるで親の仇を見るような目でこちらを睨みつけ


「お姉ちゃんから離れろおおおおおーーーーーーーーー!!!!」


服の袖からハサミとコンパスを出し、持つとこちらに特攻してくる!?


「危ねえ!?」


少女はコンパスの針をこちらに突き出し、目を狙う。俺がそれを避けると、今度はハサミで喉元を狙う。俺は顔を後ろへと動かし、間一髪で避ける。

…こいつ、俺を殺す気だ!


「くそ!俺が何をしたってんだよ!」


「お姉ちゃんに近づいた!」


「だからどうした!」


「どうせエロい事考えてたんでしょ!お姉ちゃんに近づく男はみんなそう!」


「考えるかあああああーーーーーーーーーーーーー!!!」


「嘘!?あんた!お姉ちゃんに魅力が無いって言うの!?万死に値する!」


理不尽過ぎる!?


(ユカリ)!いい加減にしなさい!」


(ユカリ)て言うのか。


「わかった!今すぐ殺すね!」


発言がアウト過ぎる!?

さらに、(ユカリ)と言う少女は、宣言した瞬間にスカートから何か落ち、それをこっちに蹴る。これは…!


「シャーペン!?」


見事にこちらに芯が刺さるように蹴り飛ばしやがった。こいつ、何てコントロールだ!

さらに追い打ちをかけるように、指に定規を挟み、どこぞの六爪流みたいに構え、攻撃を仕掛ける。蹴りも容赦無い。


「くそ!スカートのくせに普通に蹴ってきやがって!」


「下はスパッツだから気にしない!」


そういう問題なのか!?


「男はいつもお姉ちゃんを狙う!だから男は死ね!」


こいつ、極度のシスコンにして男嫌いか!なんて厄介な!


「だったら、俺以外にも男はいるだろ!」


氷野 晶。正真正銘の男だ。


「は?何処にいるのよ?つまんない嘘言ってるんじゃないわよ!」


…………………………。


「こんな可愛い“女の子二人”を自慢して連れ歩くようなハーレム野郎に、絶対お姉ちゃんはやらないんだから!」


こいつ、自分の墓穴に気付いて無え。


「あんたはこの“美少女二人”とイチャイチャしてればいいのよ!だからお姉ちゃんには近づく…」


その時だった。

ズガンッ、という音がした瞬間、紫の指に挟んでた定規は全部折れていた。その現象に紫は言う途中のセリフを止め、警戒する。

だが、残念ながらあいつが怒った時点で負けだ。


「だ・れ・が、女の子、だって?」


ビクッと体を震わし、紫は背後の晶を見る。

晶の言葉はとても静かだった。同時に、何の感情も感じ取る事ができない。一言一言が、まるで氷の刃のように、冷たさと恐怖を覚えさせる。


「え……あの…」


完全にビビってるな。俺でさえ逃げ出したい。

晶は何時の間にか装備してる棍を構えて言う。


「僕は………男だあああああーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!」


それが、晶の魂からの主張(シンジツ)だった。


・・・

・・


「…………」ムスッ

「…………」ボロッ


晶の暴力(ダンザイ)が終わり、今は落ち着いていた。


「それじゃあ、改めて自己紹介。氷雨(ヒサメ) 冷華(レイカ)。好きなことは料理かな。よろしく」


そう言って微笑む冷華さん。うん。たしかにモテるだろうな。


「ほら、紫も」


「…氷雨(ヒサメ) (ユカリ)。好きな人はお姉ちゃん。嫌いなのはお姉ちゃんをたぶらかす男。得意なことは拷問」


これはこれは…俺の日常にヒビをいれるステータスの持ち主だこと。

問題は極度なシスコン。そして暴走癖。しかも、本気で殺しにくるところから見て、姉のためなら何でもやるだろうな。


「あ、そうだ!これどうぞ。私のお母さんが作ってくれたんです」


と言って、焔がシュークリームを渡す。すると、


「わー!シュークリームだ!ありがとー!」


一気に無邪気な子どもに大変身の紫。口元にクリームをつけながら食べる。


「わざわざありがとう。ほら、紫もお礼言いなさい。あと謝罪もね」


「う、うん。えと、シュークリームありがとう。あと、さっきはごめんね」


「いいえ。気にしてませんよ。今はね。昔から間違われることは多くて。慣れればいいんですけど、やっぱり抑えられなくて。こちらこそ、先ほどはすみませんでした」


「俺も別にいいよ。昔からトラックに引かれたり、鉄骨落ちて来たりなんか日常茶飯事だったし。でも、今後は勘弁してくれ」


「………晶さんはわかるけど、(コウ)さんはどういう人生送ってるのさ」


どういうって言われてもな。俺自身が不幸に合ってるわけじゃないし、自分から首突っ込んでるだけだしな。


「他の人たちの所には行った?」


「いや、これからですけど」


敬語なれないな。


「そう。刀夜はまだ帰ってこないと思うから、先にクインちゃんの所に言った方がいいかも」


「クイン?」


「うん。一葉高校2年、風紀委員長。…気をつけてね」


何に気をつければいいのやら。


「ありがとうございます。それじゃ、お邪魔しました」


「ううん。こちらこそ、迷惑かけてごめんなさい」


「いえ。それでは」


「バイバイ紫ちゃん」


「バイバーイ!」


そして、俺たちは部屋を後にした。

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