1.俺の体質
俺の名は紅紅。…いつも思うが変な名前だ。
俺が現在向かってるのは俺が入学した高校、一葉高校だ。別にスポーツが有名とか、偏差値高いとか、そんな事は無い普通の高校だ。
俺がこの高校を選んだ理由、『帰ろうと思えばいつでも帰れるが家から離れてる』だ。
別に路上で暮らす訳じゃない。ちゃんとアパートも借りている。すでに挨拶もすましている。
つまりは一人暮らし。そんな事をやろうと思った理由はただ一つ。自分を見つめ直すこと、だ。
言っておくが変人の類では無いぞ?俺は少々厄介な体質でな、そのせいでいろいろ家族に迷惑をかけた。だから、一度親元を離れ、自分のこれからをゆっくり考えようと思ったわけだ。
「おーい!コーウ!」
「紅!こっちこっち!」
「…本当に来たのか、晶、焔」
こいつらの名前は上のセリフから氷野晶と火渡焔。俺の幼馴染だ。
人付き合いが苦手な俺にとっては好都合かもしれないが、こいつらといるのは苦手だ。理由は単に、二人の容姿だ。
焔は赤い髪に目。髪は長く、ポニーテールにしている。顔は整っており、可愛いと言えるだろう。中学時代、何度か告白されてたしな…。
そして晶だが…銀色の髪に青い目。髪は焔以上に長く、地面に付きそうだ。そしてなにより、こいつは童顔だ。端的に言おう。美少女にしか見えない。
だが、俺はと言うと、…不良だ。
別に俺が不良の訳ではない。見た目が暴力的だとか、そんな感じだ。
黒髪に緑の目。髪は無造作切られており目は鋭い。
ケンカは……あれは正当防衛だ。仕方ない。
「よっと」
「おいこら!この年になってまで乗るんじゃねえ!」
「いいじゃん♪ここは私の特等席なんだから♪」
「勝手に決めんな!」
簡単に言うと、焔が俺の背中にぶら下がってる。
俺の身長は168cm。焔は142cmと低い。20cmも身長に差がある。昔からそうだが、焔は俺の背中に乗りたがり、未だにやめない。
「…頼むから降りてくれ」
「だが断る」
「…テメエ」
「相変わらず仲いいね」
「晶も乗ればいいと思うよ?」
「遠慮しとくよ」
いつもと全く同じ雰囲気が作り出される。この三人でいる時が、何だかんだで一番落ち着くんだよな。
そんな時だった。
ププーーーー!!!
子どもが目の前で車に引かれそうになっていた。
「!!!」
俺の体は半ば勝手に動く。
前傾姿勢で一気の加速しダッシュする。体全体をバネにし勢いよく飛ぶ。子どもを抱え、車を避ける。
「っと」
とりあえず、一安心、かな。
・・・
・・
・
その後、俺の近くでいろんな事が起きる。ひったくり、強盗、犬が川で溺れてる……etc.
だが、おれは全ての出来事に対し、関係などしていない。
全て解決はしたが、関係無いものは関係無い。
昔からだった。俺の周りではいろんな事が起きる(特に夜)。
俺はこれを、“不幸を呼び寄せる体質”だと思っている。決して不幸体質ではない←ここ重要。
「にしても、早速だね」
「本当に紅の周りではいろんな事が起きるね」
少し真面目な顔をする二人。これが不幸体質ならまだ笑ってられるかもしれないけど、実際に不幸な目にあってるのは周りの奴らだ。
「いつもの事だろ?」
「そうだね。たしかに、君はいつも人を助けているね」
「紅のお人好し~♪」
「違うからな!?」
違う!断じて違う!俺はただ目の前で起こってる事なのに見て見ぬ振りとか、気分が悪くなるから行ってるだけだ。失敗した事だって少なくないし、これはもうただの偽善者だ。
「違うくないよ。紅は本心から助けたい、て思って助けてるもん。だから、絶対違う」
「ここでそんな宣言されても困るんだが…」
「まあ、僕たちもできる限りの事はするから、少しは安心して」
「……ありがとよ」
絶対こいつらの方がお人好しだ。普通なら、こんな面倒な事が周りで起きる奴となんて一緒にいないだろう。
「あ、学校だよ!」
焔が叫ぶ。おい、あまり叫ぶな。周りからの視線が痛いから!
こうして俺は、不安と期待が4:6ぐらいの割合の気持ちで、学校生活を始める。