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とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
領土戦での日常
176/248

175.賭け

「作戦はあるのか」


「まあ、一応。月にカラスを刀夜たちの方に回してるから情報伝達も大丈夫よ」


「そうか……じゃあ、俺は何をすればいい」


「紅くんは鬼化してるけど、戦闘経験は活きてるわ。そうでなきゃ、刀夜たちがたかが獣に遅れを取るわけがない。あれの中にはまだ紅くんがいる。そこを利用するわ。よく聞いて。まずは……」


 ・・・

 ・・

 ・


「行けるか、輝雪」


「当たり前よお兄ちゃん。」


 輝雪の作戦は効いた。

 その作戦はこの場にいる全員に伝えられた。だが、殆どがバラバラに散った状態で伝えられている。

 ここまで不安なチームワークも珍しい。

 だが、成功させるしかない。


「さあお兄ちゃん! “紅くんを追い詰めるわよ”!」


「了解だ!」


 鎖は壊れ、手元に残るは小さな鎌のみ。

 おまけに体はガタガタ。この先は輝雪に任せきりになるだろう。

 だが、先ほどより気が楽だ。“殺す気で、全力で、手心を加えず、ただ戦えばいい”。

 目の間の紅い鬼に向かい、疾走する。


「ガアッ!」


 紅は風の砲弾……暴風(ストーム)一撃(・ブラスト)を放つ。

 至近距離で放たれたら避けるのは難しい。だが、今は輝雪がいる。


二重影(ダブル・シャドウ)。【風】【振動】……これで散れ!」


 影の利点は効果は薄いが、何でも特性が付けれるという面だ。

 そして輝雪なら、今の紅の風でも散らせる。

 今はただ、双子の片方を信じて、踏み込む!


「行ってお兄ちゃん!」


「鎌・影!」


 イメージは大鎌。

 影を束ねて刃を作り柄を作る。


「一気に行かせてもらうぞ!」


 俺は鎌を振る。

 だが、紅は鎌の内側へと踏み込んでくる。

 このままでは、先程と同じように一撃をくらうだろう。

 だが、今俺の後ろには、最強の相棒(パートナー)がいる。

 脇の下を通るように、漆黒の刃が伸びる。


「グアッ!?」


 流石に驚いた紅は、風を爆発させるようにして下がる。

 爆風によって動けない俺と輝雪だが、そこに援護射撃が入る。

 二発の閃光。刀夜だ。

 紅はそれを確認したのか、右腕を突き出す。


 ・

 ・・

 ・・・


「まずは紅くんを追い詰める」


「追い詰める?」


「ええ。全力全開でとにかく追い詰めるわ。そして、その中で確認することもある」


「とにかく紅を追い詰めるのはわかったが、確かめることとは何だ」


「それは、“紅くんが刀夜の銃撃を受けるか”という確認よ。私の勘が正しければ、紅くんは受け止めるはずよ」


 ・・・

 ・・

 ・


 真空状態を使い、刀夜の雷を逸らす。

 輝雪の予想通り、受けてきたか。これで次のステップに行ける。

 その為には、もっと追い詰めなければ。


「お兄ちゃん!」


「ああ!」


 紅は雷を逸らしたことでワンステップ飛ばして反撃に打って出る。


「ガアアアア!!」


 顔面に向けられた蹴りをしゃがんで回避する。今の紅の体は風の鎧で包まれている。下手に生身で触れれば千切れ飛ぶ。

 だが、紅の足は突然静止し、今度は風を推進力に踵落としをしてくる。

 輝雪からのフォローは無い。そして必要もない。

 手を地につき、それを軸に下段回し蹴りで相手の残った足を刈り取る。

 足から血が出るが、接触が一瞬ならギリギリ大丈夫だ。

 紅は安定を失い、体をゆっくりと倒して行く。

 そして、輝雪の追撃が入る。


多重影(マルチ・シャドウ)


 刀身から溢れ出るほどに大量の影が込められたその一撃は、風の鎧を貫き、紅の体を捉えた。


「グルゥ……!」


 だが、紅はその一撃を風を後方に吹かし、推進力にすることで耐えた。

 俺は立ち上がると同時にその首元に鎌を振る。

 そこで、人体には無理な行動を紅は取った。

 体を半分以上倒した状態で、蹴りを放ってきたのだ

 重心の位置からも普通なら無理だが、そろそろ俺の中で万能説が浮上してきそうな風の力で、それをこなす。


「がっ」


「お兄ちゃん!?」


 吹き飛びそうになった俺を輝雪がダイビングでキャッチし、クッションになる。

 助かったが、やはりすぐにその衝撃からは抜け出せない。

 だが、目の前にが紅が腕を振り上げていた。

 やばい!


「……紅!」


 紅の顔がすぐに別の方を向く。

 その方向には、刀夜がいた。

 そして、刀夜は紅が自分の方向を向いてるなどを確認せずに引き金を引き、紅は腕を突き出した。

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