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とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
普通じゃ無くなった日常
17/248

16.吹き飛ばす!

別サイトでの執筆と合わせていろいろ大変。

楽しいからいいけどな!

「…ハ!」


ザシュ


俺は数にしてもう500を超える魔獣を殺した。もう数は殆ど残っておらず、見た限り残り10体だろうか。


「シッ!」


鎖の先端の分銅に【貫通】の特性を付加させ、投擲する。2体の魔獣の体を貫き、【貫通】を解除して影を傘状に広げ抜けないようにする。

鎖を思い切り引っ張って、魔獣を引き寄せる。飛んで来た魔獣を【振動】を付加させてる鎌で胴体を切り捨てる。


「「ガアアアアアアーーーーーー!!!」」


背後から近づいて来た二体の魔獣。【切断】を付加させた鎖を巻きつけ千切りにする。


ドオオオオオオーーーーーーン!!!


六方向から飛んでくる黒いレーザー。俺は鎖を自分を中心に円錐状に展開。影を使って【鉄壁】の特性を付加させ防御する。


ドゴオオオオオオーーーーーーーーン!!!


音ほど俺の張った防御膜の中には影響は無い。それを確認した後、すぐに特性を変化。【貫通】を【伸縮】にする。鎖を伸ばし、魔獣を巻きつけ、空中へ飛ばす。さらに特性を変化。【伸縮】から【形状変化】へ。武器の形状を変える。が、


「…やはり難しいか」


【形状変化】は武器の形状を変えることにより、武器その物のステータスを変える。この効果はかなり強力で同時にかなり具体的な想像(イメージ)が必要になる。


「行くか。(カマ)(・カゲ)


言霊により想像(イメージ)を確立させ、形状を作る。鎖鎌は大鎌へとその形を変える。


「ハッ!」


空高く飛び、落ちてくる魔獣をすれ違いざまに切り捨てる。血が飛び、内蔵が飛び出し、咆哮が響く。

俺は血の海の中心に着地し周りを確認する。輝雪がいたら「本当に死神みたい」とか言いそうだな。


『流石だな』


「コクか」


『だが、(クレナイ)に何故、(ジェネラル)を任せた?お前なら倒せるだろ?』


(コウ)の実力を見ておきたいんだ」


『こんな魔獣(ザコ)相手に苦戦する奴だぞ?』


「たしかに、戦い方は雑。パズズに頼る力任せの技。戦闘経験は不良との喧嘩ぐらい。あまり役立つ人材とは言えないな」


『だったら』


「だが」


俺はコクの言葉を遮り言葉を紡ぐ。あいつには、俺たちに無い“何か”がある。


「パズズとあそこまで心を通わせたのはあいつが初めてだ。過去の3人。パズズはその誰とも戦闘以外で関わりを持とうとしなかった。(コウ)を除いてな」


俺の記憶の中にいるパズズはどこか機械めいていた。今のパズズは遥かに感情を感じさせる。生き生きしてるのがわかる。


「パズズがあそこまで変われたのは、(コウ)のおかげだ」


あそこまで強い繋がりはなかなかできるものではない。


『…だが、その肝心の(クレナイ)とパズズは何処に行った?』


「“下”だ」


『…は?』


本当に面白い事を考える。一歩間違えば死ぬというのに。提案したのはパズズだな。それを了承する(コウ)(コウ)だが。

(ジェネラル)の方を見る。今も動き辺りを破壊している。だが、その“下”から出ている巨大な力。それを認識した瞬間、その力が解放される。


ブオオオオオオオオオーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!


「…ぐ」


『な、何だあ!?』


(ジェネラル)の下から大量の風が出る。それはつまり、あの超重量級の(ジェネラル)が“持ち上げられている”ということ。さらに、放出されている風の勢いは凄まじい。支えが無ければ立っているのさえ難しい。


「…行け。(コウ)


人の咆哮が聞こえる。


紅side

俺は現在地面の下にいる。俺にははっきり言って技術が無い。それはパズズも理解している。今の俺はパズズに依存しているような状態だ。だから、そのパズズの力をフルに使う作戦。誰もが思いつくようなシンプルな作戦。同時に、失敗すれば死ぬ作戦。だが、今の俺には最大の作戦。

俺たちの問題は支えが無いこと。支えが無いために、相手の硬い皮膚を破壊する前にこちらの体が飛ばされる。

だったら支えを使えばいい。だが、そこらのビルでは心許ない。

だから俺たちは、“大地を支えにする”。


「行くぜ」


『全力です』


「…突風(ガスト)一撃(・インパクト)!」


ズドオオオオーーーーーーン!!!


「…ぐ!?」


これは…予想…以上だ。

骨が軋む。足が地にめり込む。

俺は必死に手を伸ばす反対側の手も添える。

だが、数秒間の拮抗の後、俺は膝を曲げてしまう。


「まだ…だ…」


目論見は成功している。(ジェネラル)にもダメージは与えている。だがそれも微々たるものだ。

…情けねえ。

負けられねえ。多分、和也が俺に任せたのは実力を見るためだ。だったら、実力を見せなきゃいけねえ。

くそ!立て!立てよ紅紅!お前は何のために力を望んだ?何をやるために力を手に入れた?使えない力に意味は無え。…だったら、やるしかねえだろ!


「く……お…!」


集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ集中しろ!俺の全てを吐き出せ!この一発に全てを込めろ!

あまりの負荷に腕から血が吹き出る。体が唸りを上げる。

頭が真っ白になる。意識が遠ざかる。俺の命令を無視し体は行動を停止させていく。


「…………ん…あ」


沈み行く意識の中で、俺は一筋の光を見る。

その光の奥には三人の人影。俺はその三人を知らない。だが、明確な情報(イメージ)が頭に浮かぶ。

一人は欲を満たすため力を欲した者。

一人は正義のため力を欲した者。

一人は強くなるため力を欲した者。

この三人に繋がりは無い。ただ、全員望んだ力を得て、死んだ。

そして、その力は…パズズ。


(コウ)!』


声が聞こえた。


「っ!!」


意識が浮上する。…そうだ。まだ戦闘中だ!


「…らあ!」


さらに力を入れる。血が吹き出ようと関係無い。風の勢いが増し、ドスン、と衝撃ふぁ重くのしかかる。


「ぐお…お」


『紅!もういいです!後は和也たちがやってくます!もう休んで!』


パズズの制止が掛かるが無視し、風を放出し続ける。


『もうやめて!あなたが無理する理由なんて無いんです!』


たしかにそうだ。別に俺がここまでしてやる必要は無い。だけど、俺はやらなきゃならない。


「…俺は…お前に言ったんだ。…生き残る為なら何でもする。戦わない以外でな、て。だから…戦うのはやめない」


『そんなのどうでもいいです!あなたに死なれたら…』


「死なねえよ。…死ねない理由が…あるからな。いつまでも…うじうじ言ってんじゃ…無え。俺には力が無え。俺の力は…お前だ、パズズ。だから、俺に死なれたく無かったら、力を貸せ!」


今も、巨大な負荷が俺の体にのしかかる。だけど、俺は絶対にやめない。証明しなきゃならないからな。パズズの力は誰かを殺す力じゃ無い事を。


『…分かりました。力を…解放します』


パズズの封じ込めていた力が解放される。て、


「力、…封じ込めてたのか?」


『私の力がこの程度だと思ってましたか?』


何処までも人を馬鹿にするような言い方。こいつは全く、


「んなわけ、無えだろ!」


本当に、無茶苦茶だ。


ドクン


「っ!」


大量の力が俺の中に流れこんでくる。その力は体の中で渦巻き、暴れ、かき乱す。


「…うぉぉぉおおおおおおーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」


力を全て吐き出すように叫ぶ。風の勢いは増す。辺りを壊し、吹き飛ばす。全てを巻き込み、力を(ジェネラル)にのみ集中させる。

そして、(ジェネラル)の巨体が浮かぶ。


「行っけえええええーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」


大量の力が風となり、螺旋を描き、(ジェネラル)を空中へと打ち上げる。周囲は削れ、崩れ、折れ、それら全てを風は巻き込む。空へと昇る風は龍を彷彿させる。

(ジェネラル)はすでに目視するのも難しい所まで飛んでしまった。


「はあ、はあ、はあ。…やったぜ」


凄い疲れた。というか、パズズの力凄えな。


『何してるんですか!?早く逃げて下さい!』


「は?」


ああ、そう言えばこの作戦。(ジェネラル)を打ち上げたら、即刻離脱する手筈だったな。だが、重大な事に気付く。


「体………動かねえ」


『はあ!?』


立ってるのがやっとの満身創痍。喋るのも辛い。はっきり言って、逃げるとか無理。


『私の力じゃあなたは運べないし…どうして逃げる体力分残さないんですか!』


んなことする余裕なんかあるか!と、言いたいが、もうマジでキツい。だが、そこに


『…(ジェネラル)


ヤバイ。落ちてきた。確実に死ぬぞこれ。


『ちょっと!?どうにかしなきゃ!?紅!大丈夫ですか!紅!』


大丈夫だけど疲労感半端ない。だけど、こんなとこで死ぬわけにが行かない。何か、何か、何か何か何か何か何か何か何か何か何か…


『コーーーーーーーーーーーーーーーーーーーウ!!!』


あ、死んだわこれ。

耳をつんざく轟音と、全身に伝わる衝撃。瓦礫は飛び、(ジェネラル)は地面へと落下した。

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