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とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
領土戦での日常
159/248

158.状況

 …………ん?

 ここは……エルボスか?

 俺は……そうだ。日差 太陽と戦ったあと、何故か舞さんに気絶させられて……。


「ああ!」


 そうだ!

 あの後は舞さんの試合があったはず!

 結局その試合はどうなったんだ! 何故エルボスにいるんだ! というか俺が気絶させられた理由は!?

 聞きたい事が山ほどある。とりあえず和也とかは……。


「ルナ。まずは落ち着け」


「いやいやいや。というかさっきの試合は何ですか!? 本部がうるさいんですよ!」


「しくじりましたね〜。……あと少しで殺れたのですが」


「惜しい」


「殺れたって何ですか!? 時乃さんに恨みでもあるんですか!?」


「……頭が痛い」


「カズ兄! 大丈夫ですか!? えーと、あ、膝枕!」


「モテモテですねー」


「……ルナ。そろそろカズ兄はやめろ」


「え? ……あ。……か、カズ……」


「……恥ずかしいならいい」


「い、いえ。いつかは名前で呼びたいので今から」


「私もいつか刀夜と……」


 ………………。

 ……寝よ。


「いや寝るな紅」


「んだよ気付いてたのかよ」


「当たり前だ」


 何だろうな。

 さっきまでいっぱい聞きたい事があったのに、今はこの状況の説明とか見知らぬ女の子とかの方が気になってしゃーない。


「……うにゅ?」


「輝雪も起きたか」


「あ、ユキ姉」


「あれ? 何でここにルナがいるの?」


 ん?

 ルナ?

 そういえば、さっきも和也がルナって。


「……まずは一旦落ち着こう」


 和也がそう切り出すのだった。


 ・・・

 ・・

 ・


「紅 紅さんとは初めましてになります。大空(オオゾラ) (ルナ)と言います。魔狩り本部に所属してます。先ほども動物を使って審判をやっておりました」


「………………」


「どうかしましたか?」


「あ、いや」


 あだ名じゃなくて本名か。

 ……ルナ、じゃなくて雪音……だと輝雪の苦手な相手だし、……あいつ名前被り過ぎだろ。


「ああ、月島 雪音さんの事ですね。ユキ姉に呼ばれたいが故に考えたあだ名が見事に私の名前と被ったとか」


「……そんなとこまで筒抜けかよ」


「え? そうだったの?」


 輝雪にバレたけどいいのだろうか。

 真っ赤になるル……ゆ……月島の顔が目に浮かぶようだ。


「紅 紅さんの事も存じております」


「あ、やっぱ?」


 時の迷子なんて大層な二つ名で呼ばれてマキナ・チャーチに狙われてるんだから、まあ当然だわな。


「ええ。一見不良ですが実際はお人好しのシスコンで、趣味は料理。見かけによらず家庭的な一面があるようですね。たしか一時期アパートの皆さんからお母さんと呼ばれてたとか」


「そこまで筒抜けじゃなくていい……」


 何だろう。この残念感。


「まあ、これで自己紹介も終わりか。なら、今の状況説明してくんね?」


「それは私が」


 おっと。

 ここで舞さんか。真面目モードでか。


「まずは紅くんに罰兼大人しくなるよう気絶させて」


 え? 俺それで気絶させられたの?


「その後は私が時乃 廻間と試合と見せかけた殺し合いを繰り広げました」


「あの。何で殺し合い何かを?」


「それは、廻間はマキナ・チャーチの一員だからです」


「……へ?」


「話を続けます。実は領土戦前に、私たちとマキナ・チャーチは激突し、タイミングからも確実にこの領土戦はマキナ・チャーチ……時乃 廻間に仕組まれたものだと判断しました」


「そんな報告は入ってません」


「和也くん。撫でてあげてください」


「ああ」


「そんな手はくいま……ふぅ」


 ………………。

 とりあえず話を聞こう。


「それで、マキナ・チャーチは確実に邪魔をしてくる。そのため、合流される前に時乃 廻間にはこの世のステージから降りてほしかったのですが……そこで、以前紅くんたちが倒したマキナ・チャーチが現れました」


「あいつが!?」


 たしか、ライ、と言ったはずだ。

 能力ははっきりとはわかってはいない。


「私が大技でトドメをさそうとした時に、私が使った技を“嘘”にされました」


「………………?」


 つまりは……どういう意味だ?


「彼は私が起こした事象を言葉にし、それを嘘と置くことで実際は無かった事にしたのです」


「……つまり、無効果されたってことか!?」


 舞さんの能力までも無効果だなんて……それってつまり、殆どの事象を消せるって意味じゃ。


「今のところ解決策はありません。しかもマキナ・チャーチに合流されたということもあります。今は少しでも時間が欲しく、エルボスに逃げ込み」


「そこに私が合流したということですね」


「流石愛の力」


『愛の力?』


「お前らは気にしなくていい」


 何だろう。

 凄い気になったけど、和也から一瞬、恐ろしい程の殺気を感じた。

 ……聞かない方がいいらしい。


「何か質問ありますか?」


「あ、はい」


「何ですか紅くん」


「その鎖なんですか」


 和也の鎖鎌の鎖。

 それはいい。

 だが、何故舞さんがそれをお腹に巻いているんだろう。


「ああ、これは治療です。深手を負いまして」


「へえ。そんなことも出来るのかって、ええ!? 舞さんが深手!?」


「私だって怪我ぐらいしますよ」


 そ、そうだよな。

 でも、やっぱ最強ってイメージが……。

 ……あれ?

 俺、まだ舞さんの戦闘見てなくね?


「じゃあ以上ですね。和也くん。確認ですが、こっちに護衛組はいませんね?」


「ああ、ちょっと待ってくれ」


 和也が目をつぶり集中する。

 まあ、いるわけねえだろ。

 と思った矢先、和也の目がカッと開く。な、なんだ?


「いる、いるぞ!」


『っ!!』


「数は全員。しかも知らない気配も確認した。多分戦闘中だ!」


「皆さん! ゲートを作ります! 和也くん、治療はもういいです!」


「だ、だが……わかった」


 鎖を解き、舞さんは体をおこす。

 だが、その姿は想像以上に痛々しい。


「行きます!」


 開かれたゲートに、皆はすぐに入り込んだ。

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