表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
領土戦での日常
158/248

157.最終兵器

「はぁ、はぁ」


「舞さん。大丈夫か」


「和也くん……大丈夫です」


 エルボス。

 本来は先に輝雪たちを拾う筈だった。

 しかし、今は時間が必要だと舞さんが判断したのだろう。

 なら、この時間を有効利用しなければ。


「【回復(ヒール)】」


 鎖に特性を付加。

 舞さんの今もなお血が流れ出るお腹に鎖を巻く。

 これで、少しでも塞がれば……。


「冷華さんは周囲の警戒を」


「任せて。本業は射撃手(スナイパー)だから。遠くまで警戒出来る」


「助かります」


 どれだけ時間が稼げるか。

 それが鍵だ。


「和也くん。あなたの影の能力は、イメージにその性能がかなり左右されます。焦らないでください。私は……大丈夫ですから〜」


「……舞さん」


 無理をしているのは明らかだ。

 だが、言うとおりではある。

 そもそも、俺は回復とはどういうイメージなのかがわからない。

 熱なら分子の高振動。盾なら攻撃を弾く。大鎌なら長い柄に内側に反った刃。

 なら、回復とは何だろう。

 傷を塞ぐ? 治癒能力の向上?

 言葉で言うのは簡単だ。だが、いつも俺自身の思考が邪魔をする。

 いつも、“殺し”しかした事がないくせに。


「和也くん。あまり、囚われてはいけませんよ」


 ……見透かされているか。


「それにしても、紅くんを気絶させたのは間違いでしたかね」


「いや、咄嗟に動くことは出来なかっただろうし、変に抵抗されてもロスだ。気絶させておいて正解だ」


 だが、戦力が落ちているのは否めない。

 何か、何か一つだけきっかけがあれば。


「あ、いいこと思いついた」


「いいこと? 何を思いついたんだ冷華さん」


「愛を叫ぶ」


「その心は」


「獣が来る」


「世界の中心でなんたらかんたらはいい」


「和也。叫んで」


「何がやりたいんだ……」


 というか、獣って何のことだ。魔獣か? 逆に呼んではダメだろう、それは。


「和也。叫んで」


「何故俺が……」


「和也はこの世界の(ことわり)を理解していない」


「何だと……」


 月島が言っていたこと以外にも、この世界には秘密があったと言うのか。


「それはね」


「それは?」


「御都合主義」


「………………」


 期待して損した気分だ。


「ほら、和也。愛を叫んで」


「なぜ俺が……」


「愛は次元を超える」


「冷華さんがやればいいだろ」


「刀夜とはまだ相思相愛になってない」


「いや、そんな本気で悲しそうな顔をするな。いやしないでください。俺が悪かったです。やりますから、やりますから泣かないでください」


「あらあら〜」


 どうしたこんな目に会うのだ。

 もういい。さっさと叫んで終わらせよう。


「好きだ」


 想像以上に恥ずかしい。

 顔から火が出そうだ。


「もっと」


「……好きだー」


 棒読みなのは許してほしい。


「気持ちを込めて」


「……手本を」


「刀夜ーーーー!! 大好きーーーーーー!!!」


「………………」


「和也。ワンモア」


 外堀を埋められてしまった。

 ……これって、叫ぶしかないのか?


「ワクワク」


「舞さん。録音やめてください」


 くそ。

 こうなったら心を閉ざ


「心は開いて気持ちを込めて」


 してはいけなんですか。

 ………………。

 恥ずかしさは、一瞬。


「すぅぅぅ……好きだーーーーーーーーーー!!!」


『おお!』


 はぁ、はぁ、叫んだぞ。

 ……。

 …………。

 ………………。


「何も起きないじゃないか!!」


「和也くん。落ち着いて」


「誰のせいだ誰」


『…………ぁ〜』


「の。……ん?」


 今、聞き覚えのある声が。


『……ですか〜!』


「来た」


「本当に来ちゃいましたね〜」


「ま、マジか」


 ……いや、なんで、ここに、あいつが!


「本当ですか〜〜!!」


(ルナ)!?」


 大空

 大空(オオゾラ) (ルナ)

 俺の彼女にして婚約者。

 動物を操る能力を持つ。

 本部に所属する魔狩りだ。


「がはっ!?」


「きゃんっ!?」


 上空何mかは知らんが、結構な上空から落ちてきたようで、その衝撃は恐ろしいものだった。


「……ぐ、あ」


「カズ兄カズ兄! 好きって本当ですか! 本当ですか!」


「あ、ああ。本当だ……だから一旦下りてくれ」


「あ、はい」


 しばらく立てそうにない。

 だが、意地で【回復(ヒール)】は継続させる。


「……大変ですね〜」


「愛こそ最終兵器」


「あ、愛!? あぅぅ〜……」


 ……どうするか、この状況。


 *


「っ!!!」


「どうしたの月島さん」


「また名前が被った気がする……」


「名前?」


「ルナってあだ名の方の」


「え? ……あ〜。そういえば和也の」


「いるんですか!? 教えてください九陰先輩!」


「お、落ち着いて」

作者のミスで大幅に修正しました。12/8

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ