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とりあえず平和な日常をくれ!  作者: ネームレス
領土戦での日常
154/248

154.最終試合:時空

「紅! 無茶するなと言っただろう!」


「いでっ!」


 和也に殴られた。


「無茶はしてねーだろ無茶は!」


「どこがだ! なんど焼かれたと思ってる! 怪我を見せろ!」


 本気で心配してくれるのは嬉しいんだけど、“怪我”は無いんだよなー。


「大丈夫だって。もう治ったし」


「そんなわけが」


「和也くん。静かに」


「舞さん。だが……」


「大丈夫ですよ。ですね紅くん」


「……ああ」


 俺は光の龍に食われた(実際は焼かれただけだが)左足を見せる。

 そこにはすでに、傷の痕は残っていなかった。


「なっ……」


「俺が烈とやり合った時だ。マキナ・チャーチの野郎の雷で焼かれた時、俺はルナからツクヨミの【不死性】を少し分けてもらった。おかげで俺の体は多少のダメージはすぐに回復する。……立て続けにダメージを食らうか一撃で殺されれば意味を成さないがな」


「……そうか」


 今更ながら人間離れしてるな。

 自らトラックにぶち当たりに行く趣味は無いから、確かめようも無かったが。


「とりあえず紅くん。ちょっとこっちに来てください」


「ん? 何すか」


 俺は普通に舞さんの前に移動した。

 何も考えず、反射的に、ただ一歩踏み出した。

 この時気付いていれば良かった。

 舞さんの語尾が、伸びていないことに。


「セイ」


「がっ!? な……んで…………」


 無抵抗の腹に、強烈な一撃を入れられる。

 何故……。


「無茶した罰ですよ? 紅くん」


「……う」


 やはり舞さんも怒ってたようで、そのまま俺の意識は闇に沈んだ。


 *


「ふう。とりあえずしばらくは大人しくなりますね」


「……荒っぽいな」


「睡眠。かっこ物理」


「まあ、ここからは少々荒っぽいですので、気絶してもらった方が楽でしょう」


 紅くんは少々慌てっぽいところがありますしね。

 私の戦いはお世辞にも地味とは言えませんし、確実に紅くんはパニックになるでしょう。

 なら、いっそこうした方が早いでしょう。


『それでは最終試合を始めます。東雲 舞さん、時乃 廻間さん。中央へ』


「それでは行って来ます」


「無茶はしないで」


「………………」


「大丈夫ですよ和也くん。必ず勝ちますから」


「……ああ」


 こんなに心配してくれる人がいるなんて、幸せ者ですね。私は。


 ・・・

 ・・

 ・


「来たか」


「ええ」


 久しぶりの空気ですね。

 何とも言えない、戦場の空気感。


「時間と空間。時空、か。ある意味、お前の能力と俺の能力は根本的に似通ってるかもな」


「そうですね。昔から、いつだって引き分けてしまいました」


「勝敗は決まらず、お前は空間を壊し過ぎて、俺は体力を使い過ぎて能力を使えなくなる」


「互いにデメリットが多過ぎて、力の制御も難しい。おかげでいつも短期決戦が基本。それでいて決着は付かないのはどうしてでしょう」


「だが、それも今回までだ」


「ええ」


 今回は何時もとは違う次元の戦いになるでしょうね。

 どちらも、新しい力の使い方を身につけた。

 今までの経験は役に立たない。

 なら、


「すぐに決める」


「すぐに決めます」


 先に一撃当てた方の勝ち。

 後からの逆転も、見切りも、通じない。

 攻撃を当てる。

 たった一つの勝利条件。


『それでは、最終試合を始めます』

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