149.第三試合:氷死神
『それでは第三試合を始めます。氷雨 冷華さん、赤木 弾さん。中央へ』
「勝ってくる」
「頑張ってくださいね〜」
「期待している」
「むにゃむにゃ」
四人はいつも通りだ。一人寝てるが。
だが、俺はそうもいかない。
もし、万が一にもこれで冷華さんが負けたら、俺は次、絶対に勝たなければならない。
「紅くん。大丈夫」
「……冷華さん」
「私は勝つから、安心して負けて」
どうやら俺は数合わせで穴埋めのようだ。
「は、はい……ガンバッテクダサイ」
「うん、頑張る」
一瞬、負けてしまえと思ったとは言えない。
「天然は残酷ですね〜。大丈夫ですよ紅く〜ん。私も勝ちますから〜」
それは天然とわざと。どっちなのだろうか。
*
刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜
「久しぶりだな。氷雨 冷華」
「うん。久しぶり」
刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜
「変わりはないか」
「うん。大丈夫。新しい住人も増えて、賑やかになった」
「そうか。それは良かった」
刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜
「だが冷華。俺から一つ言わせてもらう。俺はまだ、お前を諦めたわけじゃない」
「あなたが私を好きでいてくれるのは嬉しい。でも、私は刀夜が好き」
「……そろそろ目を覚ませ! あんな朴念仁、思っていたって意味ないだろう!」
「そうかもしれない……。だけど、私を救って、私を導いて、そして私が好きになったのは、刀夜だから」
刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜
「……はは。さすが俺の見込んだ女だ。こうでなくては面白くない。……今日こそお前に勝って、お前を振り向かせてみせる!!」
「全力で相手する」
刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜刀夜
『それでは、第三試合を始めます』
「我が契約者・赤木 弾に大いなる銃器の加護を与えよ!」「我が契約者・氷雨 冷華に大いなる冷気の加護を与えよ」
「先手必勝!!」
それぞれが刀夜契約者執行状態となり、刀夜赤木は漆黒の拳銃を刀夜二丁と、私にはライフル刀夜一丁を装備する。
赤木は刀夜すでに二発の刀夜弾丸を発砲して刀夜おり、すでに私の刀夜目前だった。
生身であれば刀夜避ける事は不可能だった刀夜ろう。
しかし、刀夜今は生身を凌駕する肉体に刀夜なっており、過去に何度か刀夜赤木と対戦していた私は先手の二発も刀夜予測していた。
おかげで、刀夜難なく回避に成功する。
「流石だ氷雨! それでこそ俺の見込んだ女!」
「今回で諦めてもらう」
「それは無理な相談だあああああああああ!!!」
指が刀夜擦り切れん程の速度で刀夜速射し続ける赤木。
しかし、刀夜の弾と、刀夜の雷と比べれば、その差は天と地。
私は刀夜その連射される弾丸に刀夜最も重なる弾道を刀夜割り出し、撃つ。
カシャン、と刀夜頼りない音だけが刀夜響く。
だけど、刀夜“これでいい”。
「やっぱり来やがったか!」
赤木の弾丸が刀夜見る見る内に刀夜凍てつき、刀夜氷り、刀夜壊れて行く。
刀夜後に残るのは、氷の破片と刀夜なった弾丸のみ。勢いを刀夜失い、地面へと刀夜落ちて行く。
「弾丸は“冷気”。氷ではない、目に見えない凶器、いや凶気か。弾道はそこまで早くはねえが、音は無く、その冷気は生半可な攻撃は全て凍らし、無効果する。……久しぶりに見たが、どうやら鈍ってねえようだな“凍結刑”は!」
私と刀夜しては刀夜がつけてくれた刀夜“氷死神”の方が刀夜個人的には好きなのだけれど。
まあ刀夜本音を言うなら刀夜その厨二っぽいところが刀夜少々苦手ではあるけれど刀夜、こちら側では刀夜当たり前だから刀夜慣れるしかなない。
「悪いけど、負けられないからどんなことをしてでも勝つから」
「じゃあ俺と結婚してくれるなら降参して」
「それは嫌だ」
そんな刀夜シンプルに傷付いた刀夜顔をしないで刀夜欲しい。




