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132.別れ?

「……何だこのカオスな状況は」


「何をやってるの?」


「お、刀夜たちか」


 やっとか帰ってき……なぜ刀夜は冷華さんに肩を貸してもらいながら歩いてんだ。


「刀夜は強い力を御しきれず長時間の戦闘、もしくは大量の力を使ったあとは動けなくなるくらい疲労するんだ」


 そんな疑問を思ってたら、和也が耳打ちをして教えてくれた。

 ……いや、でも待て。力で言ったらパズズも似たようなもんだろう。だったら俺も同じようになるんじゃないのか? もしかして、俺って刀夜よりも……


「……調子に乗るなよ」


「へ、へい」


 頬を掠める雷光に戦々恐々しながら答える。

 くっ、恐怖で思わず変な返事をしちまったよ!


「大丈夫だよ紅。安心して」


「何がだよ」


「私は全部知ってるから!」


「何を言ってんだルナ」


 いや、なんつーか、うん。……理解したくない。俺の脳が全力で理解する事を拒否している。


「まあ〜、皆さん揃いましたね〜」


 そこで、舞さんが仕切る。

 ほ、やっとか帰れるのか。


「皆さ〜ん。忘れ物はしてませんね〜? 落し物も確認してくださいね〜。ここに忘れたら大変なことになりますよ〜」


 まあ、たしかに。

 そういえばあまり意識したことないな。そういうの。……大切な物を落としてたらジ・エンドだな。

 そんな恐怖心のかられ、俺は自分の所持していたものを思い浮かべながらポケットを探す。


「紅の私物は晶が持ってたよ」


「紅が九陰先輩に飛ばされた時にね」


「お、さんきゅっ」


 ということは、俺に落し物はないな。

 みんなも確認したと首を縦にふる。


「それじゃあ飛びますよ〜。そりゃ〜」


 そんな間の抜けた声と共に出現した黒い空間に飲み込まれ、俺たちは飛んだ。


 ・・・

 ・・

 ・


「二回目の別れだな、蒼」


「会えてすぐに別れとか神は残酷なのです……」


「嘘つけ。会おうと思えばいつでも会いにくるだろうが」


「てへぺろ」


 妹補正で普通にうざく見える。

 あれだろうな、シスコンと世の中の男子なら可愛く見えるんだろうな。


音音(オトネ)もな。まあ、こっちの世界にいればまた会うだろ」


「死ねばいいのに」


「ひでっ!?」


「嘘です。死ぬよりも酷い目に会えばいいのに」


「更にひでえ!?」


「具体的に言うなら実の妹とヤりあって警察の御用にでもなって生き恥を晒してくれれば……」


「お、お兄ちゃん? 最初は葉乃矢さんがいいけど、どうしてもって言うなら……その、お兄ちゃんでも……」


「やらねえから!!!」


 なんか背後から冷たい視線や誰かに襲いかかる気配や微笑ましそうにしてる視線とか哀れみの視線とかいろいろ感じるけど全て無視。

 とりあえず葉乃矢は後で殺す。


 *


「っ!!」


「どうしたんだ葉乃矢」


「いや、なんか寒気を超えた恐怖が……」


「大丈夫か? 疲れてんじゃねーの?」


「いや……まあ、多分シスコンだろうな……」


「ん? 誰だって?」


「いや、気にすんな」


「そうか。疲れたなら言えよ?」


「そうだな。なら俺は疲れたから付き合い始めた二人のためにこの場は退散するとしよう」


『ちょっ!?』


 これ以上甘ったるい空間にいれるか。

 ……それよりも、あいつが帰ってきた時のために包帯とか用意しとかないとな。


 *


「お兄ちゃん、どうしました? 殺意で狂った目をしてますよ?」


「ああ、お前の彼氏をどう殺すか作戦を練ってたんだ」


「あらまあ大変。なら私は蘇生方法を考えませんと」


「いやいや、蘇生方法とか怖えよ。どんな禁術に手を出す気だよ」


「その前に会話が成立してるお前らがおかしい」


『どこが?』


「……いや、いい」


 和也に呆れられてしまった。

 何かおかしかったか?


「紅くんってどこかおかしいよね」


「蒼ちゃんのお兄ちゃんだからね」


「納得」


「まあ、紅だし」


「雌豚と一緒にいればああなる」


 なんか後方から酷い言葉が聞こえる。


「ま、とりあえずじゃあな、蒼。音音」


「そうだね。バイバイお兄ちゃん」


「……さようなら。“(コウ)先輩”」


「っ!」


 今……名前で……。


「……おう!」


 俺たちはまた会える。

 人との関わりは不思議な縁がある。

 この夏の日の出会いを忘れない。

 俺たちの日常は、またいつか混じり合う。

 もしかしたら、近いうちに……。


 -第十章・夏休みの日常〈完〉-






























「あの〜、まだ電車まで一時間あるんですけど〜」


『あっ』


 俺と音音がしばらく真っ赤になったのは言うまでもない。

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