表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
804/856

803:筋肉の輝きを胸に秘め


 リトルグレイのテルメリアスは、人類の数十倍の視力を持つらしい。なんせリトルグレイだし。

 天仙の長たるカーサ・レミグラスも、これまた常人とは比較にならない視力の持ち主だとか。いまはなぜか赤ブルマ体操着ランドセル少女だけど。

 まだ敵方の空間戦車の隊列とはかなりの距離があるが、この二人には、その細かいとこまで、ハッキリ見えているようで。


『あれ、図体の割に、ずいぶん正面投影面積の小さい乗り物ね。とことん避弾径始にこだわってるみたい。正面からじゃ、私でも撃ち抜けないかも』

『それに、複数の装甲材質を組み合わせて、とんでもない強度を確保しておる。わしが素手でぶん殴っても、一発ぐらいは耐えるじゃろうな』

『ハイブリッド装甲ってやつよね。どう攻めるべきかしら?』

『正面は避けて、側面から叩くしかあるまい。砲塔と車体の継ぎ目あたりをうまく狙えば、そこな、ハネリン……じゃったか。おぬしの矢でも、損傷を与えることが可能であろう』

『ホント? うん、わたし、がんばる!』

『まずは距離を詰めて、弱いところを見極めて撃ち抜くしかなさそうね』


 なんか物凄い会話をしている。朝鮮半島でバズーカ抱えてソビエト製戦車に肉迫した米兵かおまえら。それにカーサとやら、見ただけで、装甲材質の分析までやってのけるとは。さすが大仙女というべきか、なんというか。


「敵に新たな動きがあります!」

「この反応は――電磁気?」

「――レールガンです! 一斉射撃、来ます!」


 オペレーター席から警告が響く。今度はレールガンか。テルメリアスのシールドで防げればいいが。

 モニターに映る空間戦車の隊列が、一斉に光る物体を放つ。電磁気を帯びた金属弾、およそ十発。ビームほどの速度はないが、それでも極音速でハネリンたちのもとへ飛んでゆく――。


『させないっ! 宇宙シールドっ!』


 テルメリアスの浮遊シールドが、それらを防ぎにかかる。

 と、見えたところに――。


『うおおおおー! 出遅れたぁぁー!!』


 いきなり上空から小さな人影が降ってきて、シールドの前方に、ひたと静止した。


『こんなもの、か弱き乙女の敵じゃなーいっ!』


 叫びつつ手足を大の字に広げ、飛来してきた金属弾十発を、その全身で、がっしりと受け止め、ぼよん、と弾き返してしまった。……生身で。全部。


『ふっ! この筋肉の輝きを恐れぬならば、かかってこいっ!』


 なんかビシッとポーズを決めて、見得切りまで飛び出した……。



(期間限定SSR)無敵鋼娘ダイタニア3

職業:超剛筋魂

種族:人間(23・女)

戦闘力:36192

二身合体:可

備考:筋肉こそ力、力こそ筋肉。筋肉あらばすべて解決。そんな信念のもと、世のため人のため、いろいろな野望を打ち砕くダイタニア・バージョン3。秋の期間限定バージョンにつき、通常時よりコスチュームの表面積が三割減、筋肉量は三割増しの特別悩殺サービスでお届け!



 期間限定って、名前欄のうしろに3って付いただけじゃねーか?

 もともとかなり際どいビキニアーマーが筋肉で弾け飛ばんばかりの格好だったが、そのアーマーの表面積が大幅に減って、いわゆるマイクロビキニ化したうえ、さらに全身の筋肉がモリモリに膨れあがって、もはや全裸にしか見えん。それも全然嬉しくないやつ。別の意味で視線が釘付けになるわ。というか本当に人間なのか? なんか当たり前みたいに空飛んでるんだが、魔法とか使ってる様子はない。どういう理屈だ。


『いやー、ごめんね、いつものワセリン、きらしちゃっててさー、おかげで、おめかしに時間かかっちゃって』


 そうテルメリアスへ笑いかけるダイタニア。ワセリン……ああ、たしかに無駄にてかてか輝いてるな。筋肉が。おめかし……。


『いいのよ。女の化粧は時間がかかるものだしね』


 微笑むテルメリアス、首をかしげるカーサ。


『そうなのか? わし、お化粧とか、したことないんじゃが』

『そりゃ、その見ためなら、必要ないでしょう。どう見ても小○生だし……』

『ハネリン、お化粧したことあるよ! 倒した相手の返り血を顔に塗るんでしょ?』

『それはなにか違う意味の風習じゃないかしら?』


 戦闘中に、なんの話をしてんだよあいつらは! ハネリンのいう化粧って、翼人の戦士の風習だろうか? どこの野蛮人だよ。


『ねえ、そんなことより、動きだしたよ!』


 ダイタニアが彼方の空間戦車隊を指さす。敵の動向が、きっちり見えてるらしい。あいつも人外の視力の持ち主かよ。どうなってんだブランシーカーの連中は。


『ほう、今度は列を組んで前進してくるようじゃな。一気に距離を詰めようというハラかの?』

『遠距離攻撃だけじゃ埒があかないと判断したようね。こちらにとっては、むしろ好都合だけど』

『いや、そうも言っていられないんじゃない? あちらの狙いって、そこのお城を攻撃することじゃないの?』

『むむ。わしらを無視して、ひたすら城へ突っ込むということか』

『だったら食い止めないとね!』


 そういう間にも、空間戦車隊は列を組み直し、巨大な円錐型のような隊形を取った。前面から中性子ビーム砲と思しき青い光線を放ちつつ、前進を開始する。


『宇宙シールドっ!』

『筋肉の盾っ!』


 テルメリアスとダイタニアが素早く前に出て、それらの攻撃をそれぞれの方法で受け止める……というかダイタニアは普通に直撃食ってるんだがビクともしてない。なんだよ筋肉の盾って……。


『では、迎え撃つとするかの!』

『ハネリンもいくよっ!』


 敵の砲撃が一時止まる。その僅かな間隙を狙って、テルメリアスの宇宙シールドの陰から、ハネリン・トブリンが飛び出し、赤ブルマのカーサが打ち続く。

 二人は、巨大な円錐陣の真横に回り込み、それぞれ攻撃を放った。


 ハネリンの魔弓が、空間戦車の側面装甲を貫く。そこへカーサが、手から丸い光の刃のようなもの……回転する光輪を飛ばし、命中させた。

 側面から二人の攻撃を受けた空間戦車は、あっさり空中で爆発四散した。


『殺ったぁー!』


 まずは一輌撃破。ハネリン大はしゃぎ。

 ……テルメリアスの見立て通り、本当に側面が弱点とは。これならハネリンでも十分戦えそうだな。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ