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802:秋の大運動会


 魔王城正面上空。

 迫り来るは、偵察型と思しき空間戦車、五十輌。


 その前面から、一斉に主砲――ブレイクカノンが放たれる。空間戦車の主兵装たる荷電粒子砲だ。

 碧空を裂いて、二十本の光線が収束し、ぶっとい白光の束と化して、ハネリンへ迫り来る。騎乗しているトブリンの反応速度からいっても、これは到底、回避不能だろう。


 そのとき、さらに上空から、雷鳴のごとき大音声が響いた。


『宇宙シールドぉ!』


 声とともに、空から巨大な銀色の盾のようなものが降ってきて、ハネリンの前面で、ひたと空中静止した。

 荷電粒子砲の束は、その巨大な浮遊盾によって真正面から遮られた。さしも強力な荷電粒子砲も、盾を貫通することはかなわず、やがて八方にエネルギーを散らして消滅した。


『危ないところだったわね!』


 聞き覚えのある声。その巨大盾を、上空から遠隔操作していた者がいた。

 すなわち――。



(期間限定SSR)宇宙魔神テルメリアス

職業:宇宙くノ一

種族:リトルグレイ(宇宙年齢265周期・宇宙雌)

戦闘力:24900

二身合体:宇宙A

備考:宇宙の彼方からやってきた宇宙忍者。正体はツルンツルンの銀色宇宙ボディに大きな黒い目を持つ宇宙人だが、宇宙忍術によって美女に化けている。しかし、あまりに長いこと化けていたため、もはや本来の姿に戻る方法を忘れてしまった宇宙残念美女。宇宙忍術によって空を飛び、宇宙忍術で武器防具を自在に浮かして操ることもできる。宇宙忍術で確定申告も楽々こなす。



 物凄いドヤ顔とともに、まっ先に駆けつけてきたのは、かの宇宙人テルメリアス。宇宙忍術でふわふわと空を飛び、宇宙シールドなる巨大金属盾を宇宙忍術で操り、ハネリンを守ってくれたようだ。すげえな宇宙忍術。確定申告もできるのか。どうやって?

 いまのテルメリアスの格好は、ド派手で超目立つショッキングピンクの忍者装束に、キラキラ輝く銀髪をなびかせた美女。全然忍んでねえ。忍者なんだから少しは忍べ。あと、宇宙Aって地形適正では?。


 テルメリアスは、こちらの指揮所と通信可能な端末を持ってきているらしい。ドローンを介さずとも、発声を直接拾えている。ちび妖精のブランが、あらかじめ持たせておいたんだろう。


「ハネリン、そいつは味方だ。礼をいっとけ」


 と、ハネリンに通信を送る。


『う、うん。いまのは、あぶなかったぁ……。助けてくれてありがとう』

『話はだいたい聞いてるわよ。無事でよかったわ。私はテルメリアス。一緒に戦いましょ?』

『うん! わたし、ハネリン! よろしくねっ!』


 ハネリンの自己紹介とともに、ピキャー……、と、トブリンの声が響く。


『ハネリンに、トブリン? あらあら、面白い名前ね。ええ、二人とも、よろしく』


 くすくす微笑むテルメリアス。……って、どういうことだ。もしかして、トブリンとも会話できるのか、あのリトルグレイ。それも宇宙忍術か。俺も一応、トカゲ竜どもと意思疎通は可能だし、そう不思議な話ではないのかもしれんが、侮れんな宇宙忍者。なんでもかんでも宇宙って付ければいいってもんじゃねーぞ。


「敵に新たな動きがあります!」


 オペレーター席から報告が飛ぶ。


「複数、高熱源体の射出を感知! ミサイルです!」

「反応……二十!」


 主砲が通じぬとみて、今度はミサイルを飛ばしてきたか。遠隔操作と全方位攻撃でテルメリアスの浮遊盾をかいくぐる作戦かもしれん。

 指揮所のモニターに、新たな通信音声が届く。


『出番じゃな! わしにまかせよ!』


 迫り来る黒いミサイルの大群。

 そこへ出現した小さな人影が、横ざまから、素手で殴りかかってゆく――ミサイルを殴るだと?



(期間限定SSR)運動会の大仙女カーサ・レミグラス

職業:天仙娘々

種族:天神族

性別:TS美少女(年齢不詳・外見12歳)

戦闘力:28900

二身合体:不可

備考:天帝の孫弟子たる天仙娘々……を名乗る、なぜか美少女化してしまった天帝本人。今年の秋は半袖体操着に赤ブルマ、頭には赤白帽の赤、さらに赤ランドセルまで完全装備の運動会バージョン。これで一等賞間違いなし!



 いつぞや報告書でみた、わしかわいいとか口走りそうな中身ジジイのTS美少女……の、運動会バージョン? ランドセルまで付いてるのが意味不明だが。誰の趣味だこれは。

 そのブルマランドセル美少女のカーサとやらが、とんでもない速さで空中を飛び回り、素手でミサイルをぶっ叩いて、次々と爆発させてゆく。そんなことすりゃ、本人も至近距離でダメージ食いそうなもんだが、まったく平気な様子。どうなってんだ。


 あれよという間に、二十基のミサイルは、すべてカーサの手で叩き落とされた。白い体操着には煤汚れひとつない。


『ふふん。ま、こんなもんじゃな!』


 すっごいイイ笑顔で、ドローンに向かってピースをかます体操着美少女。なんだこのシュールな絵面は……。


『さて、そこな宇宙人と鳥娘よ。あらためて、わしも参加させてもらうぞ。カーサちゃんと呼ぶがよい』


 なんか偉そうだなこの赤ブルマ娘……いや実際偉いんだっけ。設定上は。


『あれ、そういえば初対面だっけ。私はテルメリアス。あなたの噂は聞いていたわ。それはそうと、宇宙人はやめてよねー』

『ハネリンだよっ! よろしくねカーサちゃん!』


 それぞれ自己紹介を済まし、ハネリンを真ん中に、右にテルメリアス、左にカーサが並び、三人、本格的に空間戦車を迎撃すべく身構えた。

 さらに後方から、上級アンデッド部隊も合流しつつある。


 ぼちぼち反撃の時間か。本番はここからだな。



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