表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
79/856

079:一夜の夢

 お姫さま抱っこでミレドアを寝室に運ぶ。もうミレドアは半分、夢見心地だ。


「あ……そのお部屋です……」


 ミレドアの案内に従って、廊下から寝室へ入った。中は薄暗い。床に置かれた行灯の明かりがチラチラ揺れている。もう布団も敷いてあった。ダブルサイズ一組。

 俺はそっとミレドアを布団の上におろした。


「明かりは……消さないぞ?」


 俺が告げると、ミレドアは、ぷるぷる首を振ってみせた。


「は、恥ずかしいですよぉ……消してください……」

「だめだ。しっかり見ておきたいからな」

「うぅ……」


 ちょっぴり涙目で俺を見つめるミレドア。しかし、それ以上は抗わなかった。

 ミレドアの帯をするすると解く。あらわになる白い肌。たわわに実ったやわらかな膨らみ──そっと浴衣をはだけさせれば、意外なものが見えてくる。


 大きい。

 膨らみが、ではない。いや、それもけっこうな大きさだが。ピンク色の。輪が。ちょっと大きい。


「はぅぅっ、や、やっぱり恥ずかしい……」


 ミレドアは、肩をすぼめ、両手で覆い隠してしまった。なんという初々しさ。

 この反応が、一気に俺の煩悩に火を付けた。


 俺は無言で、ミレドアの身体へ覆いかぶさり(以下いいところですが自主規制)。


(自主規制)

(自主規制)

(激しく自主規制)




 ……で、翌朝。

 激しい自主規制の一夜を過ごした俺とミレドアは、日の出頃、連れだって店を出た。


 今頃はもうエナーリアが湖の魚を呼び戻してくれているはず。集落の連中に、漁の再開を呼びかけねばならない。

 結局、丸一晩を費やしてしまったが、これでようやく、幻の美味にありつけそうだ。


 昨夜は三ラウンド目でミレドアが完全にダウン。さすがに張り切りすぎたかな。ミレドアも、しっかりと俺を受け止め、最後まで俺を満足させようと頑張ってくれた。本当にいい娘だ。置いていくのは惜しいが、今連れていっても足手まといにしかならない。いつか必ず迎えに来よう。

 朝空は赤く染まっている。漂う浮雲に、まばゆく照り映える朝日の輝き。住民どもも、ぼちぼち目をさましている頃だろう。


 ──ふと。どこか遠くから、奇妙なざわめきが響いてきた。


「なんでしょうー……?」


 ミレドアは、怪訝そうに首をかしげた。


「おまえにも聞こえるか」

「ええ。これ、街道のほうからですよねぇ」


 街道のほう──というより、俺の馬車が置いてある方角、というべきだ。すっかり忘れてたが、ルミエルに留守番を命じたまま、ずっと放置プレイ中だった。もしや、何かトラブルでもあったか?

 ルミエル本人については、とくに心配していない。むしろ住民のほうが、何らかの被害にあっているかもしれん。昨日の昼間も極悪非道の限りを尽くしてたし。面倒なことになってなきゃいいんだが。


「行ってみよう」


 俺はミレドアの手を取り、急いで駆け出した。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ