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764:新生の堕天使


 正直、少々焦った。

 アルカンシエルの魔力吸引は凄まじい勢いだった。


 わずか数分で俺の保有魔力の半分以上を吸い取って、ようやく止まった。

 俺は、この世界じゃ最大級の魔力保有者。具体的には魔王FFFFFFFFFFFF人分ぐらい。


 強いていえば、以前ツァバトがエロヒム退治のために三万年溜め込んだという魔力は、現在の俺でもなお到底及ばないほどの規模に達していたが、それはすべてエロヒム封印の際に使い果たしている。

 ゆえに現状、俺に比肩するほどの存在はどこにもいないというも過言でない。


 森ちゃんやルードは別の意味で敵に回すとヤバい奴等だが、それはそれとして。

 そんな俺の特大保有魔力を、アルカンシエルは一気に半分以上持っていきやがったのだ。


 この時点で、アルカンシエルの保有魔力は、この世界の大精霊に匹敵する水準になっている。あっちの世界の大天使ってのは、よほどとんでもない種族なのか。あるいはアルカンシエルという個体が特殊なだけなのかもしれんが……。

 ともあれ、俺の魔力を吸って、アルカンシエルの全身を覆っていた黄金の燐光は次第に薄れてゆき――その姿がはっきりと見えるようになってきた。


 細い肩に、突き出た立派な胸が、ぷるるんと震えている。きゅっとくびれた腰つきも悩ましい。

 いつの間にか黄金のビキニーアーマー的な装束を身にまとい、その背には目にも眩い黄金の翼。


 なるほど、以前に「お世話」になった美女アルカンシエルの姿が戻ってきた。

 ……その金ぴかビキニアーマーはどっから出てきたのか。全裸より際どく見えるぞ。


「ふぅっ……うふふ、ご馳走様でした」


 アルカンシエルの腹から、そっと手を離す。アルカンシエルは、ぐっと俺のほうへ身を寄せ、艶やかに微笑んだ。


「はーっ……もう、お腹いっぱい。アーク様って、すんごいのねぇ。濃ゆいの、たーっぷり貰って、すっかり元気になっちゃった。ふふっ、クセになりそ」


 他人が聞いたら、あらぬ誤解を受けること必定だなこれ。





 アルカンシエルは、自身を縛りつけていた鉄鎖を引きちぎり、手枷と首枷をも、事もなげに握り砕いた。


「これで、おまえは自由の身ってわけだな。これからどうするんだ?」


 と聞くと、アルカンシエルは、きょとんとした目を向けてきた。


「え? とくに何も考えてないけど……」


 ノープランかよ。


「枷は、ちょっと窮屈だったから壊しただけよ。だいたい、ここって異世界でしょ? 右も左もわかんないのに、一人で飛び出したって仕方ないじゃない」


 なんか意外に淡々としてるな。もっとブランシーカーの面々への恨みつらみとか、噴き出してくるかと思ったが。



(☆☆☆☆☆)黄金の堕天使アルカンシエル

職業:ぱふぱふ娘

種族:最上級大天使(年齢不詳・雌)

戦闘力:53万

二身合体:可

備考:異邦人アークの魔力で生まれ変わった黄金翼の大天使。世界最強クラスの魔力を備えながらも、男漁りにハマりすぎて、もはや過去の遺恨など細かいことはどうでもよくなっている。なお戦闘力数値はカンスト値を超えてバグっており、正確な表記ではない。



 なんだよ、ぱふぱふ娘って。いや、わからんわけではないがここで詳しく語るわけにはいかん。

 表記がSSRじゃなく☆5になってるのも謎だが……そういえばワン子がガチャで出てきたときも同じだったような。なんか関係があるんだろうか?


 そして、戦闘力。表記されてる数字だけでもブランシーカー船内ではぶっちぎり。内部数値は、さらにその数倍ぐらいある。当人さえその気なら一瞬でブランシーカー丸ごと粉砕できるほどの強さだ。

 しかしもはや、当人にそんなつもりはないらしいな。備考欄を見るに、長いこと船内の男どもと関わり続けたせいで、かなり性格変わっちまってるようだ。こうなるともう、大天使というよりサキュバスの大親玉といったほうが相応しい気がする。


「助けてくれてありがと、アーク様」


 アルカンシエルは、穏やかに微笑んで礼を述べてきた。


「わたし、まだ当分はここにいるから。戦うつもりとか、あんまり無いけど……でももし、今後、わたしの力が必要なときは、いつでも言って。アーク様のためなら、わたし、なんでもしてあげる」


 おうおう、すっかり可愛らしくなりおって。以前は正気を奪われて常時アヘ顔になってたが、いまは瞳にしっかりと理性の輝きが宿って、顔つきも整っている。以前とはまた違う魅力があるな。


「あ、それはそれとしてぇ……」


 スッと表情を変えて、しなだれかかってくるアルカンシエル。この表情がまた実に扇情的。

 むむ。こいつ、戦闘力だけでなく、お色気もかなりパワーアップしてやがるな……。


「ね、アーク様、いまから、どう? 助けてくれたお礼にぃ、たーっぷりサービスしちゃうよ?」


 ……結局、たっぷりサービスしてもらってから、俺は機関室をあとにした。

 少々想定外の展開だったが、魔力供給役については、これで問題解決っと。


 あとは重水素燃料を入れれば、この船は再び動けるようになるだろう。

 そのうえで、この船にはちょっと働いてもらわねばならん。


 とりあえずリネスを迎えに操縦室へ戻るか。



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