696:特別編08「蘇生の光」
激しく燃え盛る大聖堂。
レール、アークらが駆けつけ、そこで見たものは――。
リネス「うりゃーっ! それそれーっ! いっけー!」
広間の中央、業火の真っ只中で、ヤケクソ気味に攻撃魔法を四方八面撃ちまくるリネスの姿だった。
テルメリアス「ちょ、ちょっと、これじゃ近付けないよ!」
ダイタニア「ていうか、あれ、あの子も火に巻かれちゃってるんじゃ……」
アーク「心配ない。リネスは自分の周囲にきちんと防御結界を張ってるからな。火傷ひとつしちゃいないさ」
選択肢
『じゃあ、放っといていいのかな』
『声をかけよう』
アロア「リネスちゃーん! わたしだよ、アロアだよー! みんなと一緒に迎えに来たよー!」
響き渡るアロアの声に、リネスはハッとした様子で振り向いた。
リネス「あっ、みんな来てくれたんだ!」
元気そうな笑顔を見せるリネスに、一同ほっと安堵の息を洩らした。見ると、そのリネスの足もとに、黒い大きなぼろきれのようなものが横たわっている。全身から煙を噴きながら、かすかに呻き声を発している。
アーク「そりゃなんだ?」
リネス「あー、これ? ボクをここに連れてきた誘拐魔だよ。ボクが魔法を使おうとしたら、なんか喚きながら、ボクにしがみつこうとしてきてね。気持ち悪いから、とりあえず蹴っ飛ばして、雷撃魔法を二発ほど撃ちこんだら動かなくなっちゃった。まだ生きてるとは思うけど」
アーク「そうか。まだ息があるなら、後で事情を聞けそうだな」
言いつつ、アークは燃える炎の真っ只中へと駆け出した。炎も熱もまったく意に介さず、まっすぐリネスのもとへ駆け寄り、床に転がるボロ雑巾――瀕死の最高司祭バークレーを肩に担ぎ上げる。
アロア「えええ! あ、熱くないんですか、アークさん!?」
アーク「うむ。ちょっと温めの風呂に浸かってるぐらいだな。あまり何時間もここにいたら、低温火傷ぐらいはするかもしれん」
テルメリアス「呆れた。化け物みたいな耐久力ね……」
ダイタニア「宇宙人がそれ言っちゃう?」
アーク「さて、詳しい事情は後で聞くとして……ここはもう駄目だな。脱出するぞ。リネス、少し結界を広げて、あいつらも保護してやれ。おまえを心配して駆け付けてきた連中だ」
リネス「うん!」
リネスの結界で炎熱を防ぎながら、一同は広間から急ぎ脱出した。大聖堂は今にも崩れ落ちようとしている。
まだ火の手のまわっていない神殿の中庭まで出ると、フライスターが静かに待ち受けていた。機神ボルガードの空中巡航形態である。
テルメリアス「なにか妨害でもあるかと思ったけど、思ったよりアッサリ出られたわね」
ダイタニア「いいじゃん。か弱い乙女のアタシとしては、争わないで済むなら、それにこしたことはないし」
テルメリアス「普通のか弱い乙女は、人間の頚椎を一撃でへし折ったりできないけどね……」
アロア「ボルちゃん! 脱出するよ!」
機神ボルガード「了解シタ。主ヨ、操縦席ヘ――」
そのとき、中庭の地面が激しく揺動した。思わず足をとられ、よろける一同。
リネス「わわっ! じ、地震!?」
アロア「ひゃああ!? レールぅー!」
レールは、咄嗟にアロアの手を掴んだ。
選択肢
『大丈夫だよ』
『華奢な指だ…』
アロア「ふふ、レールったら……」
アーク「なに見つめあってんだおまえら」
リネス「ま、まだぐらぐらするよー」
アーク「こいつは、ただの地震じゃないな。リネス、しっかりしがみついてろ。どうも悪い予感がする」
リネス「うん。なんか、向こうのほうから、すっごく大きな魔力が溢れてきてるみたい」
テルメリアス「見て、大聖堂が崩れる……!」
ダイタニア「え、なにあれ?」
ダイタニアが驚いて指差す先には、劫火に包まれ焼け崩れる大聖堂。そして――濛々たる黒煙の彼方に立ちそびえる、巨大な人型のシルエット。
テルメリアス「あれって、この教会のご神体とかいうやつじゃない?」
リネス「うん、祭壇の真ん中にあった、でっかい像だね。でも、なんだろ。さっきより大きくなってるような……」
大聖堂の中央に奉られていた黒い石像。逞しい半裸の男性が右手に杖、左手に石版を掲げた姿で、もとは古代の宗教遺構からの発掘品という。アルガム教の伝承では、古代神が宿る神秘の石像とされ、最も神聖なご神体として崇められていた。その手に掲げた石版には、誰にも解読できない不思議な文字列が刻みつけられているという。
バークレー「ふっ、ふふふ……ようやく、主が、動かれた……」
アークの肩に担がれていた瀕死のバークレーが、喘ぎつつ嘲笑を発した。
アーク「おや。まだ喋れるのか」
バークレー「ふっ……主が、我らにお命じになられたのは、二人の異邦人を、ここへ迎え入れること……少々手違いはあったが、キミが、わざわざここまで乗り込んで来てくれたおかげで、計画は成就した……」
アーク「なんだと?」
バークレー「これで、我等の使命は果たせた……ふふふふ……この世界に、真の終わりを……もたらさん……」
言うだけ言うと、バークレーはそのまま息絶えた。
アーク「ええい、しょうがねえな」
アークは担いでたバークレーの身体を地面に放り捨て、なにかの呪文を詠唱した。途端、白い輝きがバークレーを包み込み……。
バークレー「はっ!? え、あれ、これはどういう……」
アーク「知らんのか。俺は死人を甦らせることができるんだよ。さて」
地面の振動は次第におさまってきていた。アークは、バークレーの顔面を右手にがっしと掴んで、鋭い眼光を向けた。
アーク「俺たちにも理解できるよう、簡潔明瞭かつ詳細緻密に、三行以上四百字以内で、事情を説明してもらおうか。四の五の抜かすようなら、ここから三途の川の対岸まで128回ぐらい往復させてやろう」
バークレー「あ痛たたた! わ、わかった、わかったから、手を、手を離してあががが!」
機神ボルガード「周囲ニ敵ヲ感知!」
アロア「ええー、なんでこんなところに魔物がー?」
テルメリアス「グレートアースデビルが7体ね。色々と突っ込みを入れたいところだけど、先にあれを片付けなきゃいけないみたい」
アーク「厄介な仕様だなこれ……しょーがねえ、話は戦闘の後だ」
《ソロバトル「グレートアースデビル上級」が開放されました!》
《イベント進行により、ゲストキャラクター「アーク」のステータスが変更されました!》
(SSR)アーク
職業:魔王
種族:外道
戦闘力:53万
二身合体:可
備考:異世界から迷い込んできた魔王。戦闘力は現時点までの推定値であり、おそらく実際とは異なる。
アーク「種族は外道のままなのか……」
リネス「ねー、二身合体って何?」
アーク「このソシャゲは全年齢向けだが、もともとは18禁企画だったらしい。その名残りだとさ」
リネス「ふーん。大人の情事ってやつだね」
アーク「事情な」




