表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
693/856

692:特別編04「大聖堂に響く声」


 黒砂の荒野に塵煙を蹴立てて、ブランシーカーの旅は今日も続く――。

 ブランシーカー食堂。


アロア「おはようございます、リネスちゃん!」

リネス「おはよーアロアちゃん。ゆうべは色々お話きかせてくれてありがとね。面白かったよ!」

アロア「でしょ、でしょ! わたしとレールの運命の出会い! 二人で手を取り合って、あらゆる障害をはねのけて突き進む愛の物語っ!」

リネス「とくにアレだね、帝国の首都めがけて主砲発射するあたり、もうドキドキものだったよ! やっぱ悪の帝国は皆殺しにすべきだよね!」

アロア「えへへ、わたしのお話、最後まで寝ずに聞いてくれたのって、リネスちゃんが初めてだよ」

リネス「そうなの? 最後まで夢中で聞いてたよボク」

アロア「それって、気が合うってことかも。わたしたち、仲良くやっていけそうな気がする!」

リネス「うん、仲良くしよーよ! ……あ、そういえば、アークは?」


選択肢

『動力室に行ってるはずだよ』

『アルカンシエルに用事があるとか』


精霊ブラン「アルカンシエルってのは、もと大天使でね。色々あって今はうちの船に乗り込んで動力源……もとい、エンジン技師みたいなことをやってるの。美人だから、クルーの男どもにも人気があってね。専属の……えーと、セラピスト……みたいなことも、やってるから」

リネス「セラピスト?」

精霊ブラン「その、なんというか、クルーの精神安定……のために、色々と相談に乗ってあげる……お仕事よ」

リネス「そっか。なんか相談しに行ったってこと?」

精霊ブラン「たぶんね……子供には言えないことって、あるでしょうし……」


 その頃、ブランシーカー後甲板上。

 モップを手にひとり甲板掃除にいそしむ少年。そこへ、動力室から上がってきたアークが声を掛ける。


アーク「よう、少年。ずいぶん精が出るな」

オレイン「あ、お客さん。もう用事はお済みですか。ずいぶんスッキリしたご様子で」


(SR)破衣孤剣オレイン

職業:剣士

種族:人間(14・男)

戦闘力:5000

二身合体:可


アーク「いやーまさか、動力室で、鎖に繋がれた美人のねーちゃんが待ってるなんてな。おかげで随分スッキリさせてもらった」

オレイン「船旅ですからね。どうしても、こういうのは必要ですよ。でも、あまり女性陣には大きな声でいわないでくださいよ」

アーク「わかってるよ。しかし見たとこ、この船、乗ってる奴らの半分以上が女みたいだけど」

オレイン「そうですね。それも美女と美少女ばかりです。……見ためは、ですが」

アーク「なんか問題でもあるのか」

オレイン「そうですねえ。例えば、いま、あちらの船楼の下で、手毬遊びをしてる子がいるでしょう」

アーク「ああ。見たとこ、小さな子供のようだが」


(SSR)紅蓮の復讐姫アルジェリン

職業:炎獄殲滅魔神

種族:人間(9・女)

戦闘力:12280

二身合体:不可


オレイン「彼女は、さる小国の姫君だったそうですが、クーデター騒ぎで両親と兄弟を惨殺され、命からがら国を脱出して、いまはクーデターの首謀者である大臣に復讐するため、この船に乗り込んで、機会を待っているそうです」

アーク「いきなりくっそ重いな!?」

オレイン「それから、向こうの舷側で、ぼーっと突っ立ってる若い娘が見えますか」

アーク「あー。景色でも眺めてるのか」


(SSR)幻想竜神マルティナ

職業:滅殺竜女王

種族:不明(862・女)

戦闘力:9800

二身合体:可


オレイン「外見は若くて美人ですが、竜神の化身で、実年齢は八百歳以上だそうです。どうもボケが始まっているようで、あんなふうに船内を意味も無く徘徊している姿をよく見かけます」

アーク「職業欄がいちいち物騒なのはなんでだ……」

オレイン「……とまあ、これはほんの一例ですが、この船の女性陣はだいたいこんな調子で、アクが強すぎるといいますか、ともかくおいそれと声を掛けられるような相手じゃないんですよ。結局、我々がまともに話せるのは守護精霊のブラン様ぐらいという」

アーク「個性派揃いってのも考えものだな……」





 その頃、メメント神殿の大聖堂内。

 黒衣の男がひとり、聖堂に祀られた巨大な神像を見上げていた。


???「時は近い……」


 男の周囲には、姿こそ見えないが、複数、人間の気配がある。

 聖堂内に、低く、獣の唸るような声が響いている。


???「聴いておられるか。我等の慟哭。この見捨てられた空と大地へ投げかけられる、大小無数の嘆きの声を。そして御覧あれ。美しくも物悲しき、この荒廃の夕空を。ただ衰退の一途を辿る世界の黄昏を……」


 男は、静かにその場に拝跪し、呪詛とも祈りともつかぬ文言とともに呼びかける。


???「再び、御声を聴かせたまえ。我らが新しき神よ……」


 ふと、それまで響いていた獣声がやみ、静寂が降りた。

 ほどなく――。


(滅びの火種、今まさにこの地へ至らん)


 どこからともなく、重厚荘厳なる「声」が響き渡る。


(汝、すみやかに行きて、白き船を迎えよ)


 黒衣の男は拝礼を施し、応えた。


???「御意のままに……!」


 男は、音もなくその場から姿を消した。

 無人となった大聖堂。その祭壇上で、巨大神像の両眼が、青く妖しく輝いた。


???(596328)

???(38528544975……)


 その不思議な「声」は、誰の耳にも届くことはなかった。





 ブランシーカー操縦室。

精霊ブラン「メメントに着いたら、すぐに燃料と物資の補充だよ。レール、アロア、よろしくね」

アロア「うん! えーっと、カラメルマキアートゼリーをいっぱい買ってくればいいんだっけ?」

精霊ブラン「それアンタが食べたいだけでょ?」


選択肢

『じゃあマンゴープリン山盛りで』

『まずは燃料公社に掛け合ってくるよ』


精霊ブラン「だからデザートは後回しにしなさいよ! 燃料なきゃ動けないでしょーが! まずは燃料公社よ!」

アーク「燃料公社?」

精霊ブラン「この船の主動力は魔力核融合でね。魔力の他に重水素燃料が必要なのよ。それを一手に扱ってるのが燃料公社。公社といっても名ばかりで、各地で勝手に独自商売してるけど……」

機神ボルガード「左舷、敵影ヲ認ム。警戒セヨ」

リネス「また敵ー?」

精霊ブラン「えっと、グラスハウンドジャガー、5体ね。話の続きは、この敵を蹴散らしてから!」

アーク「いちいち話の途中で敵が出て来るの、なんとかならんのか」

精霊ブラン「諦めなさい。そういう仕様なのよこれ。さあ戦闘準備よ!」



《新規戦闘エリア「メメント森」が開放されました!》

《イベント期間中、当該エリア内での戦闘経験値及びアイテムドロップ率が1.2倍になります》



アーク「倍率しょぼくないか?」

リネス「さらに倍率上げたいならアイテム買えってヘルプに書いてあるよ」

アーク「容赦ねえなこの運営」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ