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549:反射攻撃


 厳密な語義は別として――古典SF的な定義によると、レーザー兵器とビーム兵器は別物という。

 大雑把に分類するならば、レーザー兵器は純粋なエネルギー収束放射による熱光線。ビーム兵器は荷電粒子の塊を弾丸のように発射するもので、性質的には質量弾に近いものだとか。ピンポイントの超高温で焼き切るのがレーザー兵器、荷電粒子の質量を高速で叩き込むのがビーム兵器。だいたいそんな感じになるそうで。


 いま、俺たちの頭上から撃ち込まれてきてるのは、たぶんレーザー兵器のほう。なにせ光そのものなので、俺の動態視力と身体能力をもってしても回避は不可能だ。さいわい威力はたいしたことないようで、リネスの物理結界で問題なく防げている。

 そういえば以前、フィンブルが中央霊府にビーム砲台を設置していたことがあるな。あれらは魔術師の魔力を「荷電粒子っぽい何か」に変換して撃ち出す構造で、効率がいいんだか悪いんだかよくわからん代物だった。普通に攻撃魔法を撃ったほうが、多分威力あるし。ただ、実際に食らうと鈍器で強く突かれたような感覚があり、常人なら一発で死ぬくらいには強力な代物だった。


 いっぽう、ここのレーザー砲は、おそらくエリクサーからエネルギー供給を受けてるんだろう。レーザー砲を打ち出すのに必要なエネルギーがどれほどのものか知らんが、どっかのアニメじゃ陽電子砲一発撃つのに本州全体の電力をかき集めて使ってたからな。ここのレーザー砲も、相当なエネルギーを消費してるはず。無駄遣いもいいとこだと思うが。

 ……にしても、ボッサーンの註釈には、こんなもの載ってなかったぞ。冷却系の罠が数多く控えてるとは書いてあるが、むしろレーザー砲なんて冷却系とは真逆じゃないか。


「どうしよ? このまま進む? それとも……」


 リネスが訊いてくる。結界でレーザーを防ぎつつ、このまま前進するか。あるいは、天井の砲台を潰して危険を排除してから進むか。

 今の時点ではリネスの結界でも余裕で防げているが、もしこのまま進んで、先のほうに複数の砲台が設置されていたら厄介だ。前後から集中砲火を浴びれば、負荷が限界を超えてしまう可能性もある。俺はそれでもたぶん平気だと思うが、リネスは直撃食らったら死ぬだろうし。ここは、ひとつずつ潰して、慎重に進んでいくべきだろう。


「俺が出ていって潰す。上のほうに出口を開けろ。俺が出たら、またすぐに閉じるんだぞ」


 リネスの物理結界は薄いピンクの半透明で、俺たちの頭上から周囲まで、ドーム状にすっぽり覆いかぶさっている。いっぽうレーザー砲台は、やや前方の天井から、こちらへ間断なく攻撃を続けている。この状態だと、外部からの物理攻撃は遮断できるが、こちらからも物理攻撃を仕掛けることができない。いや、できなくはないが、その場合、俺が内側から結界をぶち破ることになってしまうので無意味だ。


「ん。あけるよー」


 リネスが結界を操作し、天頂部に大きな穴を開く。俺はアエリアの柄を叩いて垂直に舞いあがり、穴から結界の外へ飛び出した。

 見上げる天井は、床と同じく鏡面処理が施されている。そこにぶら下がる白いメカニカルアームが、カクンと動いた。アームの先にあるレーザー兵器の砲身がグンッと持ち上がり、その砲口がぴったり俺を狙ってくる。これは自動照準なんだろうか? こちらの体温か何かを検知しているのか、あるいは、誰かがどこかで遠隔操作してる可能性もある。そのどちらにせよ、この世界の文明レベルじゃ考えられないほど高度な技術だ。これも超古代の産物なんだろうか?

 銀の砲身から、まっすぐ光線がほとばしり、俺の胸もとを突く。さすがにこれはかわせない。おそらく何千度という超高温の熱光線。


 ちょっと、チリッときた。火を消した直後のマッチ棒の先……ぐらいの熱さかな。耐えられないこともない。あまり続くと軽く火傷しそう。もちろん常人なら一発で胸を貫かれて即死してるだろう。

 俺はおもむろにアエリアを抜き放つや、天井へ向けて黒刃一閃。衝撃波が見えざる刃と化して大気を切り裂き、アームを撃ち叩いた。


 アームはすっぱり切断され、銀色のレーザー砲はぽろりと落っこち、床に転がった。意外にあっけない。

 これでレーザー攻撃も止んだ――と思いきや。



「アーク! まだ来るよ!」


 リネスの声が響き渡る。

 はるか前方から、複数の白いレーザー光が音も無く飛んできた。天井や床に反射しながら、上下斜め、様々な角度から幾筋もの光条が俺を狙ってくる。というか手足にバチバチ当たってる。これは……痛いというほどでもないが、かなり鬱陶しい。眩しいし。


 下を見れば、リネスの物理結界にも何発か炸裂している。一応まだ余裕をもって防げているようだが――。

 そうか。天井と床がわざわざ鏡面になってるのはこのためか。通路の先のほうに設置されてる砲台が一斉に動いて、レーザーを複雑に反射させ、予測も回避もできない立体的な攻撃を仕掛けてきている。


 こいつは少々面倒くさいことになってきた。どう対処すべきか?



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