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048:渦巻く欲望

 遊戯室から部屋に戻ると、もう布団が敷いてあった。

 まだ寝るには少し早いかな……と思ったが、ルミエルが背後からきゅっと抱きついてきた。


「アークさまぁ……」


 浴衣に包まれた大きな胸を、ぷにんぷにんと押し付けてくる。本当に好きだな。さっき露天風呂で洗いっこしたばっかりなのに。

 ただ、この欲望の強さは、同時に俺の欲望を受け止める器の強さでもある。実際、たった一人で俺の相手をし続けるなんて、そこらの女じゃ身がもたないだろう。いろんな意味でこいつは普通じゃない。そんなルミエルが俺に付き従っているのは、ある意味、幸運な巡りあわせなのかもしれんな。


「はしたない子だ。そんな顔して。なにか欲しいものがあるのか?」


 そっとルミエルの頬に手を当て、ささやいてやる。もうルミエルは全力牝犬モードだ。


「はいっ……欲しいです……アークさまのっ……」

「俺の……なんだ? はっきり言ってみろ」

「アっ、アーク……さまのっ……」

「ん?」

「…………」


 ルミエルは、とろりと瞼を閉じ、そのまま、ずるっと俺の胸に顔をうずめ……眠ってしまった。

 なんだ? 何が起こった?


 周囲を見渡す。どこからか、白い薄もやが漂ってきて、部屋全体に充満しつつある。

 睡眠魔法。かなり強烈な。誰の仕業だ……?


 何のつもりか知らんが、愚かな。勇者や魔王には、この手の状態変化系魔法が一切通じないことを知らんのか。

 とりあえず、様子を見てみよう。魔法にかかったフリをしてやれば、そのうち何らかのアクションがあるはずだ。


 ルミエルを横たわらせ、部屋の明かりを消して、俺は少し離れて布団にもぐり込んだ。

 そのまま息を潜めて、じっと待ち受ける。相手が何者かは、おおよそ察しがついている。その目的も。


 ──おお。そうだ。ちょいと面白いことを思いついたぞ。

 俺の推測が正しければ、今夜、俺のコレクションに、また一匹、可愛い新顔が加わることになるだろう。楽しみだ。





 布団に入って四、五分ほど経過した頃あい。

 障子の引き戸がススーッと開いて、何者かが部屋の中へ静かに歩み入ってきた。


 侵入者は、蝋燭がわりの小さな魔力球をかざし、室内の様子を確認している。すでに睡眠魔法の薄もやは消え去っているが、あれは一度かかると数時間は目覚めないほど強烈なものだ。俺も寝たふりしないと。目をつぶってと。

 俺が被っている布団を、侵入者がそっとめくり上げる。俺の寝顔を確認すると、そのまま布団を戻した。やはり、狙いは俺ではない。推測は正しかった。


 もそもそと衣ずれの音。黒い影が、横たわるルミエルの上に覆いかぶさり。

 同時に、はぁはぁ……と熱い息遣い。次第次第に、荒く、乱れてくるようだ。侵入者の興奮っぷりが伝わってくる。よっぽどルミエルが欲しかったんだな。吐息がハッキリ響いてくる。すっかり夢中になっているようだ。


 まさか夜這いとはねぇ。こいつ、いつも客にこんなことやってんのかね。やけに手慣れてる感じだし。ぼちぼちやめさせるか。

 俺は素早く布団を払いのけて立ち上がり、部屋の明かりをつけた。


「──ッ!」


 侵入者は、ルミエルの身体に覆いかぶさったまま、がばっと顔をこちらに向けた。美しい顔が、驚愕と恐怖にひきつり、凍りついている。無理もないが。


「やはり、おまえか」

「あ、あ……!」


 侵入者の正体は、あの金髪女将。和服をそこらに脱ぎ散らかし、素っ裸でルミエルの身体に絡みついている。そのルミエルはまだ気持ちよさそうに眠っているが、浴衣を脱がされ、足を開かされ、すっかりあられもない姿にされてしまっている。


「ど、ど、どう……して……!」

 女将は、ショックのあまり、固まってしまったようだ。腕一本動かせず、口だけぱくぱくと動かしながら、目を見開いて、ひたすら俺を凝視している。


「どうも何も……俺には、睡眠魔法なんて通じないからな。ああ、大事にするつもりはないから、心配しなくていいぞ。欲望に正直なのは、いいことだ」

「えっ……」

「だがおまえは、その欲望を向ける相手を間違っている。今から、そのへんじっくり矯正してやろう」


 俺は女将のそばへ歩み寄り、身をかがめて、その両肩を掴み、ルミエルの身体から引っぺがした。たわわな胸がぶるるんるんと揺れまくる。おおう、これは見事な。


「ひっ……! な、なにを……?」


 俺の腕に抱かれて。女将はすっかり怯えきった顔で、生まれたての小動物のように震えている。


「聞こえなかったか? 矯正してやると言ったんだ。俺なしではいられない身体にな」


 耳元でささやきつつ、俺は一気に女将の(自主規制)を(自主規制)して(自主規制)した。





 ……そして事後。


「名はなんという?」

「はっ……はひっ……め、メレスタ……ですぅ……」

「そうか。ではメレスタ。まだまだ、こんなものじゃないぞ。もっと激しく自主規制してやろう」

「あああっ……しょんなあぁ……!」


 俺は猛烈にメレスタを(自己規制)し続け、最終的にはメレスタのほうから(自己規制)を(自主規制)してくるようにまでなった。

 ──こいつは記念すべき出来事だ。たとえガチのあっちのエルフでも、俺様の力と技をもってすれば教育できるということがわかったのだから。


 今後出会うエルフの女も、機会があればどんどん(自主規制)して矯正してやろう。待ってろよ、かわいいエルフ女たち。俺が目覚めさせてやるからな!



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