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043:はじめてのエルフさん

 マフラーで顔を覆い直して、馬車へ戻ると、ルミエルが大変なことになっていた。

 三人のエルフ娘のうち、金髪ストレートの二人が、左右からルミエルを地面に押し倒し、とてもここでは書けないような行為に及んでいる真っ最中だった。


「あっ、アークさまっ!あぁっ、ち、違うんですっ、こ、これはっ……」


 何やってんだこいつらは……。

 巻毛の娘が、ちょっと申し訳なさそうに俺へ声をかけてきた。


「すみません……。あの子たち、あっちなもので……」

「そういう問題じゃないだろう」


 あっちだろうが何だろうが、通りすがりの旅人を押し倒すなよなー。しかも野外で。エルフってのは、そのへんのモラルは持ち合わせていないのか。俺が言えた義理じゃないが。


「普段は、いくら人間相手でも、そんなことしないんですけど。あのお連れさん、よっぽど二人の好みだったらしくて、どうしても我慢できないって……本当にすみません、すぐやめさせますから」

「……ほっといていいぞ」


 見たところ、ルミエルも口でいうほど嫌がってないし、むしろ楽しそうだ。

 なんだかんだと言いながら、こいつはとっくに禁断の扉を開けてたみたいだな。相手が男だったら許さんが、あっちも美少女だしなあ。なんかもう、好きにしろって感じだ。


「いいんですか?」


 巻き毛の娘が、きょとんとした顔つきで聞き返してくる。美形なうえに表情も豊かで、なかなか可愛いじゃないか。


「ああ。別に害はないだろ。それより……」


 俺はマフラーを取っ払い、素顔を晒してみせた。たちまち、巻き毛娘の目の色が変わった。


「あ、あ……!」


 呆然と俺の顔に見とれている。どうやらストライクゾーン直撃したようだな。彼女はルミエルに興味がないようだし、ノーマルってことなんだろう。ならば俺のお相手をつとめてもらおうじゃないか。前々からエルフの女に触れてみたいとは思ってたからな。これはちょうどいい機会だ。


「あっ、あのっ、……わ、わたし、その」


 頬を染めて、モジモジしはじめる。もうジンジン来ちゃってるんだろう。顔つきでわかるぞ。しかしエルフってのは、洗練された容姿と裏腹に、変に野性的というか、そのへんの本能や欲望は人間より強いみたいだな。


「名前は?」


 優しく、囁くように尋ねてやる。


「ク、クレア……」

「クレアか。いい名前だ」


 俺はクレアの肩を両手できゅっと抱いて、箱馬車の中へと連れ込んだ。

 クレアは昂然と目を潤ませながら、もうすっかりお任せ状態。それではさっそく、(以下自主規制により誠に残念ですが割愛させていただきます)





 ……とてもここでは書けない、あんなことやそんなことの後。

 スッキリ爽快な気分でクレアと連れ立って馬車を出ると、ルミエルがエルフ娘二人を膝枕している姿。二人ともうっとりと満足げにルミエルの太股に頬をすりよせている。どうやらこっちも決着がついたようだな。見たとこ、ルミエルが途中から反撃して、逆転勝利を収めた様子だ。何に勝ったのかよくわからんが。


「アークさま、……すみません、わたし……」

「何もいうな。犬に噛まれたと思ってあきらめろ」

「それ、何か違うような……いえ、あってましたっけ……」


 どっちでもええわい。


「ともかく、気にすることはないぞ。ぼちぼち先に進もう。通せんぼしてた奴は、もうぶっ潰したからな」

「あ! そうでした、アークさま、結局、それって、なんだったんですか?」

「……よくわからん。ゴーレムの改良版みたいな感じだったが」


 と言いさして、フィンブルのことを思い出した。そうだ、すっかり忘れてたが、あの学者野郎、とんでもない大技を披露していきやがったんだ。正直、ロックアームとやらより、そっちのほうが気に掛かるわ。


「クレア。フィンブルという学者を知ってるか?」


 尋ねると、クレアはこっくりとうなずいた。


「ええ。知ってます。会ったことはありませんけど」

「俺はさっき、そいつに会ったんだ。通せんぼは、そのフィンブルの仕業だった」

「えっ、じゃあ、あれ、あの方が作ったものだったんですか」

「そうだ。俺がぶっ壊しておいたけどな。フィンブルってのは、どういう奴だ? 兵器関連の学者だと言ってたが」

「……学者というより」


 クレアは、いったん言葉を切ってから、ちょっと考えるような素振りを見せた。


「大魔術師というほうが近いです。長老さまに匹敵する、エルフ屈指の偉大な魔法使いですよ」


 なんですと?



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