●僕のラン●
オタク世界へどうぞ。笑
『おはよう。今日も一日頑張ろー!』
ランの声で僕は目覚める。毎朝毎朝彼女に起こしてもらえて、ランを見ることができる。
今日は高校も休み。
一日中ランと一緒に居れて、触れていられる。
でも優しく触れないと本当すぐに壊れてしまいそうなんだ。
そんな君が愛おしい。
あぁ…休み以上な幸せなことなんてない。
僕はテレビをつけてDVDを入れる。
――――――――――――『悪い事は許さないわっ!くらえー!エンジェルアターック!』
「ぐっ…お前は…!?」
『私の名前は魔法戦士エンジェルよっ!』
「エンジェル…お前の名前覚えといてやろう。」
『今日も魔物を一匹追い払ったわ。』
ある時は悪者をやっつける魔法戦士エンジェル、ある時は普通の高校生。
私の名前はラン。
――――――――――――
ラン…君はなんて可愛いんだ。僕は毎日ランの目覚ましで起き、休みの日は専ら部屋いっぱいのフィギュアの整理、DVD鑑賞が唯一の楽しみだ。
なんか世間からすると僕は相当のオタクらしい。
人が人を好きになる様に僕だって好きになる。
それがたまたまアニメキャラクターだったってだけなのに。
あぁ…毎日が休日だったらいいのに。
そしたら僕はランと毎日一緒に過ごせる。
でも楽しい時間はあっとゆう間に過ぎちゃうもんだよね。
『おはよう。今日も一日頑張ろう。』
今日もランの声で起き上がる。
憂鬱な学校もランの声で頑張ろうって思える。僕今日も一日頑張るよ。
学校に着いたって僕浮いてるけど。
周りでは女子が化粧してスカート短くしてギャーギャー騒ぎ、一緒にニヤニヤしながら話す男子。
何が楽しいんだかわかんないんですけど。
てゆうか世間の若者の話す言葉は僕には聞き取れない。
あるギャル男とギャルが僕の席の前に座った。
香水の匂いどうにかなんないんですか?
そう言ってやりたいよ。
でも怖いから言わない。
『おー、お前何でいつも一人なんだよー。淋しいじゃん?』
ギャル男はたまに来てはからかうんだ。なんだよ。
肌の色が黒いからって…、髪が金だからって…、腰パンしてるからって…、シャツのボタン開けてるからって…。
その鼻に付いてるピアスは何の為なの?
何がかっこいいんだかさっぱりわかんない。
そこに群がる女子も理解できない。
『ねぇねぇ、お前好きな奴とかいないわけ?』
「「私も聞きたあーい!」」
こんなこと聞いてどうすんだろ。
どうせ笑うんでしょ?
でもあまりにも二人がしつこいんだよ。
香水の匂いで頭はクラクラするし。
「僕はランが居れば何もいらない。」
そう下を向きながらだけど言ってやったんだ。そしたらほら…、シーンとなった。
二人は顔を見合わせて笑ったんだ。
別に予想してたけどね。
『お前馬鹿じゃん。叶うわけねぇじゃん。』
知ってるよ。
ランがアニメキャクターだってことくらい。
でもいいんだ。
誰に何言われ様と僕はランが好き。
それは変わらない。
「関係ないだろ。」
そう言ってやって僕は教室から飛び出した。
後ろからギャル男が追ってくるんじゃないかってヒヤヒヤしたけど。
あの日からギャル男とギャルがよく僕に話しかける様になった。
僕は嫌だったんだけど。
無視なんかできないし。
『おーい!』
そう言ってギャル男が後ろから肩を組んできた。
相変わらず香水の匂いがきつい。
しかも耳元でガムをクチャクチャ食べないでほしい。口を閉じて食べれないもんかな。
『お前ランの事好きなんだろ?ライバルだな。』
ニヤニヤ笑いながらそう言った。
僕はビックリしてギャル男の顔を二度見した。
『まぁお前のランはいただきまあーす☆』
僕はこの言葉にショック受けた。
だってランの事なら僕が一番知ってるし、好きでいる時間も長いはず。
あんなギャル男に取られてたまるか。
誰にも負けないんだから。
「「ねぇ、ジュース買ってきてよー。」」
ある日からギャルが僕をパシリにしてくる。
何で僕が?って思うけど怖いから。
あの化粧だらけの目で睨まれるとたまったもんじゃない。
どうしたらあんなまつ毛が長くなるんだろ。
まぁそんな事はどうでもいい。
いつも通りイチゴミルクを買いに行った。
そしたらギャル男が付いて来て肩を組まれるて、
『すげぇパシられてんなあー。』
ってニヤニヤしながら言うんだ。
僕はニヤニヤしてんのが嫌いだ。
それに左手でいつも襟足をいじってるのはなんで?
それを聞いてみたいよ。
「なんでこんなことしなきゃいけないんだろ。」
そう本音が出た。
『ランのこと好きなら当たり前じゃん。』
ランとは関係ないよ。
『ランはわがままだからな。だから優しい奴が好きなんだよ。』
僕は、はっとした。
ランがわがままで優しい人が好きって事は本当のマニアしか知らない事なんだもん。
「君すごいね!僕位ランの事知ってるよ!」
僕は少し興奮してしまった。
だってこの学校で僕以外こんなにランの事知ってる人いないと思ってたし。
『いや、お前より知ってるって。』
ギャル男はそう言ってニヤっと笑った。
僕よりランの事詳しい?
まさか…。
でも僕は少し焦ってその日はランのDVDをずっと見ていた。
だって悔しいじゃん。
ギャル男とギャルがからかってくる様になったけど、僕はそんな嫌でなくなった。
だって唯一ランの事で話せるんだもん。
今日もいつも通り二人が前の席に座ったんだ。
ギャルがあの黒い目でじっと見るからとっさに、
「何?」
って聞いた。
「「髪の毛切れば?」」
ギャルが冷たい目で僕を見たんだ。
もうこの目線も慣れたけどね。
「ランが長髪好きだから。」
本当は僕も邪魔だって何回も思ったんだけど。
「「そーだけど。」」
ちょっとでもランの理想の姿でいたいんだ。
『お前以外によくわかってんじゃん。』
ギャル男がそう言った。
「当たり前だよ。」
って言ってやった。
あぁ…ランが本当の人間ならいいのに。
僕こんなに好きになったの初めてなんだ。
周りから見たらキモイだの変だの、そう思われるかもしれない。
それでもいい。
「はぁ。」
僕はいつも持ち歩いてるランカードを見ながら溜息をついた。
このカードを見たら少し元気になるんだ。
「「おい!」」
そう言ってギャルが後ろから背中を叩く。
――ボトッ――
ランカードが落ちる。
「あぁっ!」
落とした事なんてないのに…。
ギャルがランカードを手早く拾った。
「触るなよっ!」
僕は必死にギャルから取り返そうとしたけど、なかなか返してくれなくて。
「「何これ!キャラクターカード?」」
ギャルは笑った。
ランを見て笑うな。
「ランを返せっ!」
そう大声で言ってやった。そしたら案の定ギャルの動きも止まったんだ。
「「ラン?」」
「そーだよ!ランカードを返せ!」
僕がランを好きなの知ってるんだからそんな驚く事じゃないだろ。
――ベチッ――
ギャルがいきなり叩いてきた。
「馬鹿らしい。」
ギャルがそう言ってランカードを床に捨てたんだ。
で、何したと思う?
――グシャッ――
ランカードを踏んだんだ。
「何すんだよ!」
僕は力いっぱいギャルを押してすぐにランカードを拾った。
「「あんたそんなんが好きなの?馬鹿じゃん。」」
「馬鹿じゃない!」
そう言ったらギャルはどっか行ってしまった。何でこんなことされなきゃいけないの?
ぶたれて、カードまで踏まれて。
だからギャルは嫌いなんだよ。
何考えてんのかさっぱりわかんない。
『あれー、どーしたの?』
ギャル男がそう言ってしゃがんで僕を見た。
「あの女にぶたれた…。」
『はっはっは!フラれたかあ。』
ギャル男はいきなり笑ったんだ。
「フラれてなんかいない!いきなりだよ。」
『変な事でもしたんでねぇの?滅多にそんな怒んねぇーし。』
「変な事なんかしてない!」
ギャルがいきなり…。
『まぁお前が何されようが別にどうでもいいけどあんまりランを怒らせんなよ。』
「違う!あのギャルが怒ったんだ!」
『だぁから、あんまラン怒らせんなって言ってんの。機嫌悪いと周りが大変なんだから。』
「周り…?」
『だから俺だってば。好きなのは勝手だけど、俺に迷惑はかけんな。』
そう言いギャル男はいなくなった。
『ランの事怒らせんな』って怒ったのはギャルだよ?
えっ…?
どうゆうこと…?
そして後からあのギャルの名前が【蘭】だと知ったのは、あの叩かれてからすぐのことだった。
いつも通りランの声で起きてつまらない学校に行く。あれからパシられる事もなくたったし。
昔の僕に戻った。
でも何であのギャルがあそこまで怒ってたかは、今だに謎なんだけどね。
―――END―――
読んで頂きありがとうございました☆オチが早く気かれてしまったかもしれないですが、楽しんで頂けていたら嬉しいです。