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純水  作者: 水嶋


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純水

田所は嫌われてますね…


まあ仕方ないか


「アキラ、色々有難うな」


「高校の時に約束した事…マコトが困った事があるなら俺も力になりたいからって…やっと今回果たせたからな」


「そっか…ちゃんと覚えててくれて嬉しい。やっぱり僕達は親友で兄弟だな…」


「そうだよ!本当は志帆も手伝いたかったみたいなんだけど、まだ子供も小さいくて目が離せないし移植手術したのもあるから…今回は俺がやめさせた…ゴメンな」


「そうか、そんな事で謝らないでよ。相変わらずアキラはマジメで志帆ちゃんに一途だなあ…子供は元気にしてる?」


「うん。今の所安定してるよ!宮乃先生と出会えたのも、俺が医者を目指したのも志帆と添い遂げられたのも全部マコトが居たからだなあ。本当に感謝してる」


「僕も今回アキラに助けられたらんだから…もうお互いお礼の言い合いはやめにしよ?」


「うん…そうだな…何かキリが無くなりそうだしな。ははは」


「僕はもう医者をする事は出来なくなったけど…僕の分までアキラには頑張って欲しい」


「何か…寂しいし勿体無いけど…とりあえずマコトの命が有るだけで俺はホッとしてる。その内闇医者にでもなって活躍して欲しいよ」


「もうこれ以上僕を犯罪者にさせないでよ…」


「でも、マコトは裏の世界に行ってもきっと困ってる人に寄り添って人を救える医者になると思う。俺はどんなマコトでも応援するし支えるからな」


「有難う…あ!僕はもう神谷真だから外ではシンか神谷って呼んでよね」


「そうだった!気を抜くとうっかり言いそうだな…その内名前のふりがなををマコトに改名したらどうだ?漢字も『真』だし」


「そうだなあ…いずれ落ち着いたらそうしようかな…結局みんなマコトって呼んでるしなあ」


「見た目がそれだけ変わってたら誰も気がつかないよ。まあ声は同じだから付き合いあった人とは会わない方が良いと思うけど…」


「そうだね」




「でも…本当に変わったよなあ…多分知らないですれ違ったら付き合いの長い俺でも気付かないだろうなあ」


「まあ、中身は変わってないからさ。今まで通り親友で兄弟でいてくれたら嬉しいな」




「勿論!」






○○○○○○○○○○





「来たな害虫!何の用だ!」


「こら、やめなさいイン…すみません…」


「ははは、相変わらず嫌われてるね僕…」


「可愛いマコトに近付く害虫は駆除しなくちゃ!」


昔御月が僕に言ってた事と同じ事を言っている

やはり韻には御月が乗り移っているのだろうか…



「田所さんって呼びなさい!…本当にすみません…」


「お葬式で泣き喚いていたインくんをあんなに慰めてあげたのになあ…」


「黙れ!お前に貰ったお菓子を食べたら意識が無くなって目が覚めたら終わってたじゃないか!お別れも言えなかったんだぞ!」


「でも、今こうして会えてるじゃない。お別れなんて言う必要無かったでしょ?」


「田所先生…一体インに何を食べさせたんですか…」


「いえ、興奮してる様子だったんでちょっと落ち着かせてよく眠れるお薬を混ぜた物をね…ちゃんと滞りなく式を終えられたよ」



そういうのは僕の大切な子供にはやめてくれ…



「それだけじゃ無いぞ!お前のせいでマコトは表に出られない地下生活になったんだからな!」


そうだそうだ、韻、もっと言ってやれ



「でもそのおかげでインくんは大好きな『マコト』を独り占め出来てるでしょ?本来なら僕は感謝するべき相手だよ?」


「ぐう…」


あーあ…

やっぱり田所には韻も敵わなかったか…

ぐうの音は言ってるが


「僕、コイツが帰るまで勉強してくる!」


そう言って韻は地下施設を出て行った


父の僕はどうでも良いけど、頑張って田所を越えて欲しい…

勉強に励んでくれ…



「静かになった所で…近況報告でも」


「はあ…まあ僕の方は今の所こんな感じですね。目下の悩みと言えばインから狙われてる貞操の危機位でしょうか…」


「ははは、成る程。しかし八神先生は本当に見た目が変わりましたよね…」


「はあ…」


「何か…前は童顔で可愛らしい感じでしたが今は…随分お綺麗になりましたね…」


「そうですね…この顔は主に宮乃と韻の趣味ですね…隠れていなきゃいけないのに逆に目立つと思うんですが…」


そう、僕の顔は美人になってしまっていた

僕の趣味じゃ無い

最近はスキンケアにも口出しして来て面倒だ


「麻里奈ちゃんには今は僕の意志を引き継いで貰うために色々教えていますよ。境遇も考えも似たもの同士なんで筋も良いですよ」



「そうなんですか…しかし…」


「?」


「やはり田所先生はレヴィアタンですね」


「アダムとイブを唆した蛇…ですかね」


「ええ。僕や麻里奈に知恵の樹の実を食べさせて善悪の知識を得させたんですね」


「確かに…八神先生と言うアダムを創造し、囲われて守られていた統治された秩序ある神々の世界…八神家の使命に囚われていた狭い現実世界の檻から追放されるきっかけを作ったのでしょうね僕は」


「正に…そうですね」


「しかし誰かの手で作られた楽園でなく、これからは自分の力で八神先生のエデンを作れば良いんですよ」


「誰かさんのおかげで強制的にそうなりましたがね…」


「まあ、そう遠くない将来に僕も八神先生と同じ追放者…表に出られない道を辿る事になると思いますよ」


「そうですか…」


「その時にはまた宜しくお願いしますね」


「また僕を嵌めるんですか?勘弁して下さいよ…」


「そんな事はしませんよ。僕達は信頼してお互いの苦悩も秘密も暴露して心を預けている友人なんですから」


「そう思ってくれている事を願いますよ…」





田所が帰った後、僕はドライの元へ向かった


ドライも今は地下施設で暮らしている


お腹には僕と杏の受精卵の子供を宿している



その子は無事産まれてくるのだろうか


何の障害も無ければ八神の正式な子孫として外に出されて生活して行く


この先も続いて行くのであろう八神家の使命…

遺伝子の浄化…


何の意味が、目的が…

今はもう僕には理解できなくなっているが、父はこの先も八神家の使命に従って『純水』を精製して行くのだろう






僕は寝ているドライを起こさないようにそっとその『純水』を宿しているお腹に頬擦りした


今回は中々の問題作だったと思います。


ほぼエロか際どい内容のてんこ盛りでしたね…


まあ主人公が八神な時点であらかじめ予想して作品紹介でもアナウンスしてましたが…


今回は「地石」や「深海」とはまた別の、かなりモラルに反した話となりまして申し訳有りません。


八神の子供の頃から現在の壮年になるまでを書いたので話も長くなりました。


今まで書いた作品で今の所1番長いです…

こんなに長くなるとは書き始めた頃には予想してませんでした。


結末は「深海」で分かっていましたが、八神にはその後が有りました。

これは「深海」を書いた頃にはこの展開は考えていました。


まあ田所も同じような道に進む事になりますが、その前例を書けたので満足してます。


しかしアキラと田所の友人感の落差よ…

マコトにとっては田所は友人枠から外れてそうですが、今まで見えていなかった違う視点を指摘してくれる人物はそれが自分の望ましい意見で無いにしろ有難い存在だと思いますよ。

実際の人付き合いに於いても言える事ですが。


田所の場合は親切心ではなく自分の私利私欲の為みたいですが…



この話は一旦終了となりますが、ここで書けなかった杏と韻の話をこの後書く予定です。


今度はもう少し明るめの話にしたいと思っていますが、韻が絡んでいるのでまたエロは入ると思います…


杏と韻はこの先どの様な選択をして行くのか…


粗方ストーリーが纏まったら書き始めたいと思います。


それではここまでお読み下さり有難うございました!

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