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第14話: 「竜の巣でドラゴンと共にキャンプ」


「竜の巣でキャンプだって!?正気の沙汰とは思えないけど、ま、異世界だからな…。もう驚くことはない…と思いたい。」


異世界チャンネルのプロデューサー、タケシの新たな挑戦がやってきた。今回は「竜の巣」でドラゴンと一緒にキャンプをするという、どう考えても無謀としか思えない取材だ。ドラゴンというと、火を吹いたり巨大だったりと、危険なイメージしかないが、今回はどんな冒険が待っているのか。


「タケシさん、今回はドラゴンとキャンプですよ!すっごくワクワクしませんか?」


妖精のアシスタント、ミリーが目を輝かせながら笑っている。彼女の羽は今日も元気にパタパタと動き、その期待感がまるで伝染するかのようにこちらにも広がってくる。


「いやいや、ワクワクするのはいいけどさ…。ドラゴンって火を吹くんだぞ?もし俺たちがバーベキューの代わりに焼かれたらどうするんだよ。」


「大丈夫ですよ、タケシさん!今回はドラゴンのグレゴールさんが協力してくれるんです。彼はとっても優しいって評判なんですよ!」


「評判ねぇ…。まあ、信じるしかないか。よし、とにかく行ってみよう!」


俺たちは「竜の巣」と呼ばれる場所に向かうことになった。この場所は異世界の中でも特に神秘的で、巨大な山々に囲まれた谷底に位置している。到着すると、そこには巨大なドラゴンが悠然と座っていた。その名も「グレゴール」。見た目はまさに火を吹きそうな恐ろしい姿だが、目にはどこか温かみがある。


「おお、人間のプロデューサーと妖精のミリーか。よく来たな!今日のキャンプを楽しみにしていたぞ。」


グレゴールの声はまるで地響きのように低く、しかしその言葉には歓迎の意が感じられた。俺は少し緊張しながらも、礼儀正しく挨拶をする。


「ど、どうも、グレゴールさん。今日はよろしくお願いします。」


「ははは、そんなに緊張しなくてもいいぞ。今日は楽しい時間を過ごそうじゃないか。さて、まずは火を起こそう。私の炎でな!」


グレゴールはそう言って、大きく息を吸い込むと、次の瞬間、炎を吹き出した。その炎はまるで巨大なキャンプファイヤーのように広がり、周囲を一瞬で明るくした。


「うわっ!これがドラゴンの炎か…すごい迫力だな。」


「これで夜の寒さも心配ないですよ、タケシさん!」


ミリーも興奮気味に翼をパタパタさせている。俺たちは火の周りに座り、キャンプの準備を始めることにした。今回の目玉は、グレゴールと一緒に作る「ドラゴンのバーベキュー」だ。


「さあ、私の巣には特別な肉があるんだ。この肉は『魔獣のステーキ』と言って、普通の肉とは比べ物にならないほど美味いぞ。」


グレゴールが巨大な爪で持ち出したのは、まさに魔獣の肉塊。見るからに新鮮で、しかも筋肉の締まりが素晴らしい。彼はその肉を適切なサイズに切り分け、大きな鉄串に刺していく。


「タケシさん、魔獣の肉ですよ!どんな味がするんでしょうね?」


「いや、正直想像つかないけど…美味いといいな。」


グレゴールは肉を鉄串に刺し終えると、そのまま自分の炎で一気に炙り始めた。その手際は見事で、肉の表面が程よく焼けると、ジュワッと肉汁が溢れ出してくる。その香りはたちまち周囲に広がり、俺たちの食欲を刺激した。


「ほう、いい香りだろう?これがドラゴン直伝の焼き加減だ。」


「すごい…なんだかプロのシェフみたいですね、グレゴールさん!」


ミリーも目を輝かせながら、その様子を見つめている。グレゴールは満足そうに頷き、肉が焼けると大きな木の皿に乗せて俺たちに差し出してくれた。


「さあ、人間よ、妖精よ。この魔獣のステーキを味わってくれ。」


俺は恐る恐るその肉を一口かじってみた。すると、驚くほど柔らかくてジューシーな食感が口いっぱいに広がり、魔獣独特の深い旨味が溢れ出してきた。


「これは…すごい!こんなに美味しい肉、初めて食べたかも!」


「ほんとに美味しいですね!魔獣の肉ってこんなに美味しいなんて、びっくりです!」


グレゴールは満足そうに笑いながら言った。


「ははは、そうだろう。魔獣の肉は特別なんだ。しかも私の炎で焼いたことで、その旨味がさらに引き立ったんだ。」


俺たちはその後も魔獣の肉を堪能し、グレゴールと共に夜のキャンプを楽しんだ。星空の下、ドラゴンと一緒に焚き火を囲むというこの不思議な経験は、まさに異世界ならではのものであり、俺にとっても忘れられないものになった。


「タケシさん、今日の取材も大成功でしたね!」


ミリーが満面の笑みで言った。


「ああ、まさかドラゴンと一緒にキャンプをして、こんなに美味しいバーベキューを食べられるなんて…。異世界は本当に驚きが尽きないな。」


「またこういうキャンプ、やりたいですね!次はどんな冒険が待ってるんでしょう!」


「そうだな。まあ、次も何が起こるかわからないけど、楽しみにしておこうか!」


こうして俺たちの「異世界チャンネル」は、ますます異世界の人々に愛される番組へと成長していく。笑顔とハラハラが絶えない取材の日々は、まだまだ続くのだった。


「異世界チャンネルは、今日も元気に放送中だ!」



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