春休みを夜へ堕として。
主人公は春休みの日数を数えてただけなのに見事に脱線してしまい2023年のことを振り返る。その中で一冊の本を手に取り—
2023年。とても忙しかった。受験勉強なんてものがまとわりつき、「やっと終わった。」なんて思う頃にはもう卒業だ。結局、この一年は勝手にどっか過ぎ去っていた。
別に悲しいわけではないのだが。
「受験勉強か。最近のことなのに懐かしく感じるな。」
僕はそう思いながらゲーミングチェアから立ち上がって本棚にある一冊の本を手に取り、再び座る。机の隅にあったアルミホイルハットをかぶり、本を開いた。
「魔法史」
僕は歴史が嫌いだ。しかし、魔法についての歴史は好きだ。古代魔法とか、複合魔法とか究極魔法とか。
他の人は信じないようだが。僕らを「オカルト」という怪しげな言葉警戒している。まあ、魔法なんて怖くて真実への一歩を踏み出せていない凡人には理解に苦しむ。
そういえば、友達の田中の家に行ったとき、ゲームをしたのだが、彼はアルミニウムハットをつけずにゲームをしようとした。慌てて声をかけるとアルミニウムハットなんて家にない。そもそもアルミニウムハットの存在すら知らないのを聞いて驚いた。僕は彼にアルミニウムハットの大切さを教えた。通信電波は体に悪影響をもたらすだとか、アルミニウムハットは通信電波を遮断できるだとか、トップバリュが効果はないだとか。
まあ、僕には関係ないのだが。
僕は「魔法史」の53ページをめくった。古代ゴルアージ魔法の使い手ウィールドの統治時代、時代でいうと紀元前10034年のこと。まあ、これを他人に言うとなぜか「変人」なんて言うから、とりあえず、もう周囲には話さないことにした。
半月が輝いている闇の中、ただ一人。半月に見守ってもらいながらまた一つ、脱線をしてしまった。
前回よりは長くしました。小説って難しいですね。みなさんはオカルトを信じますか?