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第八話 1次テスト

プロテスト当日の朝。

会場の建物ロビーにはたくさんの観客と報道のカメラ集がまっている。


プロテスト会場と書かれた看板。

奥にはたくさんのドアが並び、手前にはスタッフが一名立っている。


「プロテスト出場者はこちらで背中のゼッケンを見せて、あちらのドアの前でお待ちください」

複数あるドアから一つを指差し、指示を出す。


部屋の前にはゼッケンをつけたテスト生が4人立っている。

そこにもう一人テスト生があらわれ、スタッフにゼッケンを見せ進み、5人揃うと部屋の中に入っていく。



シン・アキ・ナル・シュウサが会場に着くと多くの報道陣が詰めかける。

シュウサの周りを20人ほどのカメラが囲む。

「シュウサ選手いよいよですね!意気込みは?」


「がんばりまーす」

「今回は合格できそうですか」


多くの質問になれたように気軽に回答していく。


「ホントあいつは有名人だからな」

アキが言うとナルがシュウサのもとに駆け寄っていく。


「この子だれ?」

「なに?」

報道陣がざわつく中、ナルはカメラに向かい話し出した。

「私は世界一になるナルです。皆さん応援よろしくお願いします」


「ナルなに言ってんの?」

シュウサはおなかに手をあて爆笑する。


報道陣も声を我慢しながら笑っている。


「ナル選手はシュウサ選手のお友達ですか?」


ナルは少し右上を見ながら考えて

「私を助けてくれた恩人で、大好きな仲間です!」

満面の笑みで答えてカメラにウィンクする。


「やめろよ」

顔を赤らめたシュウサはナルの腕を引き報道陣の輪から抜け出して行った。



ドアが複数並ぶその場所に、ナル達4人がいる。

「私初めてだから緊張しちゃう。大丈夫かな?」

「ただベッドに寝ころべばワープするから」

シュウサは平然とした顔でナルに言う。


120番のゼッケンをつけた金の短髪で色黒の大柄な男がスタッフに背中のゼッケンを見せると、ガニ股で肩で風を切りながらゆっくりと歩いて向かってくる。


4人を見下ろすと無言でドアの前に並び、5人は揃って部屋に入る。


中に入るとカプセル型のべットが5台あり、1つのカプセルにつき一人、プロの選手が護衛としてついている。

ナルは周りの様子を見ながらベットに寝ころぶと、護衛の手でカプセルの蓋が閉じられた。

ナルの視界が一瞬で真っ暗になる。


青いドアから5人が出ると、そこは学校のグラウンドのような場所になっていて、外周を囲う柵の外は自然にあふれている。


グラウンドから校舎に向かって中央付近に朝礼台があり、付近にはゼッケンをつけたテスト生たちが集まっている。


校舎からタブレット型端末を持った審査員が20名、歩いて出てくる。

慌てるように4人は皆が集まる場所へ向かう。



校舎の中ーー

テスト生たちとは別のワープサークルが設置されている場所。そのワープサークルから、ミキタが2人の従者を連れて現れる。


ミキタと従者が出現後、続いて現王もスーツにサングラス姿の側近2人を引き連れ現れる。


「これはこれは現王になられたエントロシア王ではないですか。王になられた感想はいかがですか?」

ミキタが声をかけると王の側近2人は少し警戒する。


「今までと変わりはない」

王は冷静に答える。


「あなたの代で王のお立場がおなくなりにならないよう、心より願っております」

イヤミったらしい笑顔でお辞儀をするミキタ。


「では向かいましょうか」

ミキタが王を案内する。



グラウンドに設置された朝礼台の上では、水色の髪が特徴的なメガネの女性が形式的な挨拶を述べている。テスト生たちは()()女性の方を向き、退屈そうに話を聞いている。


朝礼台の横には、その女性を除いた審査員19名が並んで立っている。


「それではまず主催者ミキタ様からひと言いただきます」


ミキタ・現王それぞれの一行が校舎から出てくる。


「あれ王だよな」

「本物か?AIなのかな?」

「ヤバイ!ホントの王初めて見たよ」


ミキタが朝礼台に上ると従者達も続いて上り、ミキタの左右後ろに立つ。

朝礼台裏の階段横には王と側近が立っている。


「諸君。これからプロテストが始まる。ここで勝ち上がりプロになれば遊んで暮らせる。世界一になれば何でも買える。是非頑張りたまえ。以上だ」

ミキタの話をほとんどのテスト生が聞いてない中、ナルは一人真剣な眼差しで話を聞いていた。


ミキタ達は朝礼台を降りると王に嫌な笑いを一瞬見せながら、首だけ下げ校舎に戻っていった。


「次に、現在この国の王であるエントロシア王からのお話です」


王が朝礼台に上るが、側近2人は下で待機している。

王が登壇すると同時に、テスト生のうち20名程が片膝を床につき、立てた側の膝に腕を内側にくの字に曲げて乗せ、頭を下げた体制で深い敬意を表す。それを見たナルは周りを見渡す。


「まずは顔をあげてください。私は現王になったエントロシアです。私は王として、この国がまだまだ発展すべきだと考えております。より良い国にできるようこの国の為にすべてをささげます。しかしそれは一人では難しい・・・この中から心優しい勇敢な方が出てきて活躍してくれる事を心から願っております。」


深々と頭をさげる王。

今まで話を聞いていなかったテスト生の何人かは、なぜか自ずと王に正対し話を聞いていた。

また何名かは、王と同じく深く頭を下げていた。


王は朝礼台から降りると、側近と共に校舎に戻っていった。



「それでは1次テストに移ります。」

突然のアナウンスに皆の目の色が変わり、その場の空気が一瞬で変化したのをナルは感じとった。

 《いよいよか》


「1次テストは体力検査です。4つのテストを行います。まず初めの種目は50m走です!」

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